【小児科医blog】『様子を見ましょう』の裏側。小児科医が診察室で密かに観察している『3つの見極めポイント』 | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog】『様子を見ましょう』の裏側。小児科医が診察室で密かに観察している『3つの見極めポイント』

子育て
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「せっかく病院に来たのに、『様子を見ましょう』と言われてお薬だけ出された…」 大切なお子さんが辛そうにしている中、そんな風に言われるとモヤモヤしたり、不安になったりした経験はありませんか?

実は、小児科医の言う「様子を見ましょう」は、「何もしない」「見放す」ということでは決してありません。むしろ逆です。医師の頭の中では、重症な疾患や緊急を要する状態が隠れていないか、フルスピードでチェックリストを走らせています。

今回は、私たちが診察室に入ってきた子どもを一目見た瞬間から密かに観察している、「3つの見極めポイント」を解説します。


小児科医が診察室でチェックする3つのポイント

私たちが最も警戒しているのは、「ただの風邪」ではなく、髄膜炎、重症な肺炎、極度の脱水などの「すぐに入院や処置が必要な状態」です。これらを見分けるため、以下の3つを重点的に観察しています。

1. 機嫌と活気(全身状態)

診察室に入ってくる足取りや、親御さんに抱っこされている時の様子をまず見ます。小児科医にとって、体温計の数字以上に大切なのが「活気」です。

  • チェックポイント
    • おもちゃに興味を示すか、遊ぶ元気はあるか
    • あやせば笑うか、目がしっかり合うか
    • 泣き声はしっかりしているか(か弱くウツラウツラしていないか)

熱が39度あっても、診察室のシールを見て目を輝かせたり、親御さんにあやされて少しでも笑顔を見せたりすれば、私たちはホッとします。

逆に、熱が37度台でも、視線が合わず、ぐったりして全く反応がない場合は、こちらも重症疾患の可能性があるのではと、要注意のランプが灯ります。

2. 呼吸のサイン(呼吸状態)

子どもの急変リスクが高いのが「呼吸」のトラブルです。聴診器を当てる前から、呼吸の「回数」と「苦しさのサイン」を目視で確認しています。診察で必ず服をまくり上げて胸やお腹を見るのはこのためです。

  • チェックポイント
    • 陥没呼吸(かんぼつこきゅう): 息を吸うたびに、肋骨の間やのどの下、みぞおちがペコペコと深くへこんでいないか
    • 鼻翼呼吸(びよくこきゅう): 小鼻をピクピクさせて一生懸命息をしていないか
    • 肩呼吸: 肩を上下させて息をしていないか
    • 呼吸のスピードが異常に速くないか

ゼーゼー、ヒューヒューという音だけでなく、こうした「一生懸命に息をしなければならない状態(呼吸窮迫)」がないかを確認し、安全圏にいるかを判断しています。

3. 水分摂取と顔色・おしっこ(循環・脱水)

食欲が落ちている時、親御さんは「何も食べてくれません」と心配されます。しかし、小児科医がより気にしているのは「食べ物」ではなく「水分」です。

  • チェックポイント
    • 顔色や唇が真っ青、あるいは極端に白くないか
    • 唇の中(粘膜)が潤っているか、カサカサに乾いていないか
    • 泣いたときにしっかり涙が出ているか
    • 皮膚に張りがあるか

また、問診でよく「おしっこは半日以内に出ていますか?」「色は濃くないですか?」と質問されたこともあるかもしれません。これは脱水傾向を確認するための質問です。

おしっこがしっかり出ているということは、全身に血液と水分が回っている証拠だからです。食事がとれなくても、水分が摂れて尿が出ていれば、ひとまず危険な脱水状態は回避できていると判断します。


「様子を見ましょう」の本当の意味

これら3つのポイント(活気・呼吸・脱水)をクリアし、「今すぐ命に関わるような危険なサインはない」「自分の免疫力でウイルスと闘って乗り越えられる状態である」と確信できた時、初めて私たちはこう言います。

「お薬を出しておくので、お家で様子を見ましょう」

つまり「様子を見る」とは、「今のところ危険なサインはないから、安心してご自宅という一番リラックスできる環境で、体を休ませてあげてくださいね」という、医師からのゴーサインなのです。

お家で看病する際の目安にも

この3つのポイントは、お家で親御さんがお子さんを看病する時にもそのまま使えます。 もし「様子を見ている」間に、

  • 水分が全く摂れず、おしっこが出ない
  • 肩や胸をペコペコさせて息苦しそう
  • 熱が下がったタイミングでもぐったりして目が合わない

といった変化があれば、それは「再受診のサイン」です。迷わずもう一度小児科を受診してくださいね。

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