【小児科医blog:救急】小児の異物誤飲 | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog:救急】小児の異物誤飲

救急

今回は異物誤飲についてまとめました。

救急外来で「この場合は経過観察で良いのか?」「どんな異物が危険なのか?」と迷うケースも多いと思います。緊急摘出の対応や、異物の形状ごとの対応、また危険なボタン電池の対応について確認しましょう。

総論

・発生場所は、「居間」が最も多い。これは子どもが過ごす時間が長い場所が理由の一つ。他には台所なども多い。

・発生時間帯は、午後5〜9時台に約半数が集中している。

・1歳半以上では医療医薬品が最多、1歳半未満ではタバコが最多。

緊急摘出の適応

・まずは、異物誤飲を疑わせるエピソードがあって、以下のような特徴があれば緊急摘出が適応となります。

①気道閉塞の徴候がある

・下のスライドに画像がありますが、choking signというのどをおさえて苦しそうにする仕草がある場合は注意です。

②完全に近い食道閉塞

・食道異物は気道閉塞のリスクもあるため緊急度が高いです。

③鋭利なもの、長いもの

・5歳未満で2.5cm、5歳以上で5cm以上の鋭利で長いものは腸管穿孔のリスクがあるので注意です。

④複数個の磁石

・磁石と磁石が腸管を挟んでしまうので注意です。また磁石と金属の場合も挟んでしまうリスクがあります。

⑤ボタン電池が食道にある

・この内容については、個別で下記にまとめます。

⑥炎症や腸閉塞を示唆する所見がある

・実際に、腸管損傷を起こしているリスクがあります。腹部所見にも要注意です。

 

鈍・鋭的な異物の対応

・緊急での摘出が必要な異物を確認したところで、次に異物対応の一般についてまとめます。

・異物対応で重要なのは異物の「形状」と「サイズ」です。形状は鈍なのか鋭なのか。またサイズはどれくらいから大きいものと考えるのか。確認しましょう。

鈍的なもの:小さいもの(直径2cm未満、長さ5cm未満)

・鈍的で小さいものは、基本的には必ず排泄されるので、とりあえず安心して大丈夫です。

・本当に誤飲したのか確認のため、頚部・胸部・腹部のレントゲン検査を行います。誤飲したものと同じものがあるなら持ってきてもらい、一緒にレントゲン検査で撮影します。

・レントゲン検査でうつらないものである場合、経口摂取可能かどうかを確認します。無症状で経口摂取可能であれば、少なくとも食道内ではなく胃内に落ちている、もしくはそもそも誤飲していない可能性が高いです。

・胃内におちたのであれば、約3日間、最長で2週間で排便として排泄されます。

鈍的なもの:硬貨、直径2cm以上のもの

・直径が2cm以上あれば、食道で停滞する可能性があります。

・ちなみに、1円硬貨でさえも2.0cmであり、角度によっては食道で停滞する可能性があります。

・食道内に停滞した硬貨に関しては、無症状で1日経過観察するという対応も報告されていますが、透視下での除去も、処置としては有用です。

・胃内におちた硬化は、大部分が1-2週間で問題なく排出されます。2週間経過しても出てこない場合は、内視鏡的除去も一案です。

鈍的なもの:長さ5cm以上(5歳以上)、2.5cm以上(5歳未満)

・幽門を通過すると回盲部に衝突する可能性が高いので除去する必要あり。

鋭利なもの

・折れた割り箸、串、ピン、針、釘、魚骨、ガラス片、PTPシートなど鋭利なものでは腸管穿孔のリスクがあるため、十二指腸を超えていない場合には直ちに内視鏡的異物摘出術を行うのが望ましい。

・胸部レントゲン検査で位置の確認できない鋭利なもの(串などうつらない)の誤飲では、CT検査をすることが推奨されている。

・鋭利なものが胃を超えた場合、慎重に経過観察を行う。3日間位置が変わらない場合、外科的介入を考慮する。腹痛、嘔吐、発熱、吐血、下血など、閉塞または穿孔を示唆する症状がある場合は緊急の外科的介入が必要となる。

ボタン電池の対応

・以下に、米国のボタン電池誤飲の際のフローチャートを示します(小児外科 Vol. 47 NO. 10 2015参照)。

①まず12歳以下or 電池の直径12mm以上の場合は、すぐにXp撮影。

②食道内にあれば緊急摘出。

③胃以下にある場合、有症状・磁石との誤飲・複数個誤飲あれば摘出考慮。

④ ③に該当しなくても、6歳以下かつ15mm以上であれば再度評価し、胃内に停滞あれば摘出考慮。

⑤上記にあてはまらない場合は経過観察。

タバコの対応

・ニコチンの幼児致死量は10-20mgくらい。

・タバコ1本には16-24mgほどのニコチンが含まれるとパッケージに記載されているが、これは火をつけて吸入した場合の量であり、実際ニコチンを体内で吸収する量とは異なる。

・しかし、タバコを水に浸すとニコチンの100%が溶出してしまうため、灰皿にのこったタバコの浸かった液体を飲んだ場合は危険である。

・80%は5歳以下に起こり、そのうち半数は生後6か月〜1歳に集中している。

症状

・摂取から10-60分以内に嘔吐を生じる。

・その後2-4時間いないに興奮、頭痛、振戦、呼吸促拍、重症例ではけいれん、呼吸停止を認める。逆にいうと、誤飲から4時間以上無症状であれば問題ない。

対応・処置

・誤飲量がタバコ2cm未満であれば処置不要で経過観察も不要。

・2cm以上の場合、2時間の経過観察。

・タバコの浸かった水を飲んだ場合、1時間以内であれば胃洗浄、4時間以内であれば活性炭投与を行う。

加熱タバコの誤飲

・たばこ葉やそれを加工したものを燃焼させずに、電気的に加熱し、エアロゾル(霧状)化したニコチン等を吸入するたばこ製品です。

・喫煙後の吸い殻は、そのままゴミ箱に捨てても火災の危険はないとされます。

・日本たばこ協会の統計データによると、2021年度の加熱式たばこの販売数量は前年度比111.4%の460億本で、紙巻たばこ(937億本、前年度比94.8%)の半分程度となっています。

・近年、新たに発売された、誘熱体として金属片が内臓された加熱式タバコのスティックを誤飲したという事故も報告されています。

日本小児科学会HP  Injury Alert(傷害速報)

Injury Alert(傷害速報)|公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY
公益社団法人 日本小児科学会公式サイト

・年齢、月齢別では、9-11ヶ月が41.1%と最多で、6-14ヶ月で全体の8割以上を占めています。寝返りをしたりハイハイをする、つかまり立ちをするようになると危険な事故が起きやすいということです。

金属片を含むタバコを誤飲したときの対応

・製品では、金属片の誤飲の報告があり。

【事例1】2022年6月、10か月・男児

・レントゲンで金属片を認めた。経過観察後帰宅。金属片は翌日自然排出された。

【事例7】2021年11月、11ヶ月・女児

・腹部レントゲンで金属片を確認。誤飲した金属の形状から、腸管損傷のリスクは高くないと判断

された。年齢も考慮し、無理な処置は行わず経過観察とした。金属片は1週間後に自然排出された

https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20171116_2.pdf

磁石の対応

・1個であれば鈍的なものと同様の対応。

・2個以上であれば、長官をはさみこんでしまう可能性があり、マグネットカテーテルで摘出しなければならない。

豆の注意点

・基本的に、5歳未満では避けた方が無難。

・初めて食べる時は、半分にするなどの工夫も必要。

最後に

・日本中毒情報センターのHPには、対応や事例についてまとまってあります。下記リンクを参照です

一般の皆さま | 公益財団法人 日本中毒情報センター
身のまわりにある洗剤、化粧品、殺虫剤、医薬品、園芸用品などはすべて、中毒事故の原因となる物質です。子どもは「はいはい」や「伝い歩き」をするようになると、手に触れたものを何でも口に入れるようになります。生後6ヵ月~2歳頃はもっとも中毒事故に注...

・家庭での事例も多いので、我々小児科医にとっても、親御さんにとっても役立つ内容です!

・受診の必要性や、対応についての目安については、中毒110番という専用電話もあります↓

一般専用電話(365日24時間対応)(情報提供料:無料)
  ■大阪中毒110番    072-727-2499
  ■つくば中毒110番   029-852-9999

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