【小児科医blog:感染症】麻疹(measles)について  | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog:感染症】麻疹(measles)について 

感染症

総論

・麻疹は空気感染し、重症化しやすい感染症です。

・新型コロナウイルス感染症と同様の5類感染症ですが、感染力に関しては、コロナよりかなり強いウイルスです。

・最近、本邦でも国内感染の報告例が多発しており、麻疹の症状経過、検査方法については、全ての医療従事者、特に小児医療関係者は知っておくべきです。今回のBlogでは、麻疹について勉強していきましょう。

検査

・発症2-3日前〜皮疹出現して3日間程度が検体採取に適切な時期とされている。

・血清診断では、EIA法(酵素抗体法)により麻疹特異的IgM抗体を検出し診断する。皮疹出現後72時間以降が適切なタイミングとされる。

・IgM抗体で初感染を示すことができるが、偽陽性には注意が必要。

・ペア血清(急性期および回復期)で、HI法(赤血球凝集抑制反応)では抗体価の陽転化or4倍以上の増加、EIA法ではIgG抗体価の2倍以上の増加によって確定診断できる。しかし、回復期まで待つことは望ましくないため、保健所に依頼し地方衛生研究所でPCRやウイルス分離で検査をしてもらことも一案。

疫学

・日本では2006年から麻疹・風疹混合(MR)ワクチンの2回接種が定期接種として導入されている。

・本邦は、2015年にはWHOから麻疹の排除状態にあると認証された。それは2015年のMRワクチンの接種率が1期(1歳)で96.2%、2期(小学校就学前)92.9%と予防接種率が95%以上であったことが理由の一つである。また、過去に多く検出された麻疹ウイルスの遺伝子型D5が検出されなくなったことも理由の一つである。

・しかし、海外旅行者を発端とした集団発生などは発生している。特に、予防接種を未接種、1回接種の成人の感染例が多い。

感染様式

・咳、くしゃみなどによう飛沫感染に加えて、飛沫核による空気感染で感染成立する。

・極めて高い感染力があり、感受性者の発症率は90%とされる。

・ウイルス排出期間は皮疹出現4日前から皮疹出現4日後までである。

・潜伏期間は8-12日である。

臨床症状

カタル期

・10-12日間の潜伏期間の後に、軽〜中等度の発熱、それに続いて咳嗽、鼻汁、結膜充血、全身倦怠感が出現する。この期間を『カタル期』という。カタル期は潜伏期とは異なる。一見、ふつうの風邪と同じ感冒症状なので、この段階での診断は難しいです。

・2-3日の間に頬粘膜(頬の内側)に直径1mmほどの白色斑状の病変が出現する。この小さい白い斑点を『コプリック(Koplik)斑』という。コプリック班は、この後全身に出てくる全身の皮疹が出現後消えてきます。しかし、この所見がないからといって麻疹でないということではありません。

発疹期

・その後、体温は1℃程度下がり、その後半日くらいのうちに、再び高熱(多くは39℃以上)が出るとともに、発疹が出現します。

・発疹は耳後部、頚部、前額部から出始め、翌日には顔面、体幹部、上腕におよび、2日後には四肢末端にまでおよびます。発疹が全身に広がるまで、高熱(39.5℃以上)が続きます。

・カタル期から一回解熱したあとに高熱が出るので、二峰性発熱となることが特徴的です。

・発疹ははじめ鮮紅色扁平ですが、まもなく皮膚面より隆起し、融合して不整形斑状(斑丘疹)となります。指圧によって退色し、一部には健常皮膚が残っています。次いで暗赤色となり、出現順序に従って退色します。この時期には高熱が続き、カタル症状が一層強くなります(以上、『発疹期』)。

・皮疹出現後2-3日で発熱はピークに達し、その後解熱傾向を示す。

回復期

・皮疹は3日で褐色調へと変化し、色素沈着を経て治癒する。合併症がなければ、7-10日間ほどで症状は軽快する。しかし、リンパ球機能は低下しているので、他の感染症に罹患しやすくなっている。そのため、結局元の体調に戻るには1ヶ月ほどを要する。

参照:国立感染症研究所HP

https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ma/measles/221-infectious-diseases/disease-based/ma/measles/549-measles-qa.html

合併症

・中耳炎:最も頻度の高い合併症。ほぼ小児のみ。

・肺炎:ウイルス性の場合と、二次性細菌性肺炎の場合がある。

・巨細胞性肺炎:主に細胞性免疫不全患者に起きるウイルス性肺炎。

・脳症:合併率は0.1%くらい。頭痛、嘔吐、意識障害などの症状あり。皮疹出現後2-6日後に起きる。

・亜急性硬化性全脳炎(SSPE:subacute sclerosing panencephalitis):ウイルスの中枢神経への持続感染により起こる進行性かつ致死的な脳炎。麻疹発症から平均7年で発症し、初期は気分障害、多動などの精神面などの変化から始まり、亜急性の経過で退行をたどりミオクローヌス、運動障害、意識障害を起こす。

修飾麻疹について

・麻疹抗体価は、麻疹ワクチン接種の数年後から徐々に減少し、ワクチンの1回接種のみでは10代後半になると、2-3割程度が麻疹感受性になる。

・このような状態で麻疹に感染すると、通常の麻疹に比べて軽症の修飾麻疹になる。

・発熱は軽度で、発疹も淡いものが多く、Koplik斑も見られないことが多い。

・特徴として、血液の麻疹IgM抗体価は陰性でも、麻疹IgG抗体価を測定すると異常高値を示す。

治療

・基本的には、感染対策による予防が最も重要です。空気感染を起こすので、病棟では個室(可能であれば陰圧室)に隔離して人との接触を避けます。

・感受性者が患者と接触した場合、感染予防あるいは軽症化のための治療がある。

・接触後72時間以内であれば、麻疹ワクチン、6日以内ではγ-グロブリン投与である。できるだけ早期の治療により軽症化しやすい。

・麻疹はカタル期が最も感染力が高い。よって家族内では、診断のついていないカタル期を同じ家で過ごしていることが多いため、患者の診断がされた際にはワクチンあるいはγ-グロブリン治療を開始するべきである。

・また、WHOやUNICEFでは、麻疹患者にはビタミンA投与を推奨している。投与量は、生後6ヶ月〜1歳には10万単位、1歳以上は20万単位の経口投与1日1回、2日間である。追加投与は(3回目)は、2-4週後にビタミン欠乏の症状のある児に同量を投与する。

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