こんにちは!小児科医・育児ブロガーの小児科医りんご🍎です。
お子さんがお熱を出してぐったりしている時や、吐き気が強くてお薬が飲めない時、頼りになるのが「座薬」ですよね。でも、いざ入れようとすると……
「入れた瞬間にロケットみたいに飛び出してきた!」
「お尻を閉じようとしたら、ヌルッと戻ってきちゃった…。」
なんて経験、ありませんか? 実はこれ、座薬あるあるなんです。
でも、ちょっとしたコツを知っているだけで、成功率は格段に上がります。
今日は、小児科の現場でも実践している「座薬を確実に『IN』するためのテクニック」を、わかりやすく伝授します!
なぜ座薬は「戻ってくる」の?
まずは敵(?)を知りましょう。なぜ座薬は入れたそばから出てきてしまうのでしょうか。
実は、肛門のすぐ入り口には「肛門括約筋(こうもんかつやくきん)」という筋肉のリングがあります。この筋肉は、普段は便が漏れないようにギュッと閉まっていて、異物が入ってくると反射的に押し出そうとする働きがあります。
つまり、座薬が戻ってくる最大の原因は、「この筋肉のリングを通り越せていない(浅い)」ことにあるのです。
確実に成功させるための3ステップ
それでは、具体的な手順を見ていきましょう。
STEP 1:準備は「滑り」が命
座薬が乾いたままだと摩擦で入りにくく、お子さんも痛がります。入れる前に必ず滑りを良くしましょう。
水で濡らす
・下記のような油分のあるものを塗るのがベストですが、ない場合は、さっと水にくぐらせるだけでもまだマシ。
油分を塗る
・ベビーオイル、ワセリン、オリーブオイルなどを座薬の先端やお尻の穴に塗ると、スルッと入ります。正直水で濡らすだけだと痛いと思うので、油分を加えてほしいところです。
手で温める
・冷蔵庫から出したばかりでカチカチの場合、包装の上から指で少し温めて表面をわずかに溶かすと、それ自体が潤滑剤になります(溶かしすぎに注意!)。
STEP 2:体勢を整える
お子さんの年齢に合わせて、入れやすい姿勢を選びましょう。
赤ちゃん(ねんね期)
オムツ替えの時のように、仰向けで両足を持ち上げます。もし介助者がいるのであれば、足を持つかかりと坐薬を入れる係に分かれてもgood
幼児期以降〜
嫌がる場合は、横向きに寝かせて身体を「く」の字に丸めるか、うつ伏せでお尻を少し突き出すポーズが入れやすいです。ベターんとお腹を床につけられてしまうと、中々大変。
STEP 3:勇気を持って「奥」まで入れる
ここが最重要ポイントです!
座薬の尖った方を先にし、お尻の穴にセットしたら…… 肛門から1-2cm奥まで、しっかりと押し込んでください。
「そんなに奥まで!?」と怖くなるかもしれませんが、先ほどお話しした「筋肉のリング」を通過させないと、何度やっても押し返されてしまいます。「スッ」と抵抗がなくなる場所まで入れるのがコツです。
入れた直後の「1分ホールド」
奥まで入れたら、すぐに指を離してはいけません。反射でいきんでしまい、飛び出してくることがあるからです。
- 指を抜くと同時に、お尻のほっぺた(臀部)同士を両手でギュッと寄せ合わせます。
- そのまま1分〜2分程度キープ!
- この時、ティッシュでお尻の穴を押さえておくと、もし少し漏れてきても手が汚れず安心です。
お子さんが「ふーっ」と息を吐いたり、力が抜けたら成功のサインです。
トラブル発生!「出てきちゃった」時の対処法
どんなに頑張っても、出てきてしまうことはあります。そんな時の「入れ直し」の判断基準は以下の通りです。
ケースA:入れてすぐ(1〜2分以内)に出てきた
座薬の形がまだ残っている(固形)なら、そのまま再挿入してOKです。 もし便と一緒に出てきた場合も、座薬の形がしっかり残っていれば、新しいものではなく、出てきた座薬を(汚れを拭き取るか洗って)入れ直すのが基本です。
ケースB:15分以上経ってから出てきた
座薬がドロドロに溶けていたり、形がほとんどなくなっている場合は、成分の大部分がすでに吸収されています。 この場合は追加で入れないでください。薬の量が倍になってしまう恐れがあります。まずは様子を見ましょう。
ケースC:形はあるけど、角が取れて少し溶けている
一番迷うパターンですね。目安としては「原形を3/4以上とどめている」なら入れ直しても良いとされますが、半分くらい溶けているなら追加は控えるのが無難です。迷ったら、かかりつけの医師や薬剤師に電話で相談するか、次の投与時間まで待つのが安全です。
小児科医からのメッセージ
座薬を入れる時、お子さんが泣いて暴れると、親御さんも焦ってしまいますよね。「痛いことしてごめんね」と罪悪感を持つこともあるかもしれません。
でも、座薬は「辛い症状を和らげるための味方」です。 「これを入れれば楽になるからね、すぐ終わるよ!」と、ドンと構えて声をかけてあげてください。
親御さんの迷いがない方が、結果的に処置も早く終わり、お子さんの負担も少なくて済みます。
今日の夜、もし座薬を使う場面が来たら、この記事の内容を思い出してください。応援しています!


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