Introduction
Pt:15歳男児, 蜂窩織炎の既往あり
「腕が腫れて、赤くなっているんです、熱もあります」
今回は、皮膚の炎症である蜂窩織炎についてまとめます。
病態
・真皮深層〜皮下脂肪組織の感症。侵入門戸となる外傷があることが多い。
・発症要因には、既存の皮膚感染症(膿痂疹など)、外傷や虫刺されによる皮膚の破損、リンパ管閉塞や浮腫、下肢潰瘍、肥満がある。
・鑑別疾患である丹毒はより浅い真皮を中心とした感染。
・四肢の蜂窩織炎で発赤の境界が比較的不鮮明な場合、骨髄炎の合併を考慮する。
・波動が触れる場合は皮下膿瘍を考慮する。
起炎菌
・S. aureusおよびS. pyogenesの頻度が高く、四肢が好発部位。
・新生児ではB群溶血性レンサ球菌(GBS)が重要で菌血症の可能性がある。
・顔面蜂窩織炎の場合、S. pneumoniaeや、口腔内嫌気性菌が特に歯の膿瘍、咬傷、外傷などがある場合に起因菌となる。
・Fournier壊疽(鼠径部から発症)の場合は、S. aureusやグラム陰性桿菌、嫌気性菌が関与。
・けがをしたまま海・川に入った場合、海産物の摂取がある場合はV. vulnificus
・好中球減少症ではP. aeruginosa、C. septicumによる壊死性筋膜炎の報告あり。
症状
・境界不明瞭な紅斑、腫脹、局所熱感として始まり急速に浸潤して自発痛や圧痛を伴う。
・浸潤は吸収され治癒することが多いが、中央部が軟化し膿瘍形成することもある。
・時に発熱、頭痛、悪寒、関節痛など全身症状を伴う。
・眼窩周囲で発生し菌の侵入門戸となるような皮膚の損傷がない場合、眼窩蜂窩織炎を考慮し眼科にコンサルトする。
・境界は丹毒と異なり不明瞭である。
検査
・診断は臨床的に行う。
・発熱など全身症状がある場合や若年の場合は血液培養を採取する。免疫不全児では起炎菌同定が重要
・明らかな皮下膿瘍を呈している場合や、膿疱を合併している場合は穿刺排膿を行い、Gram染色と培養を提出する。
壊死性筋膜炎について注意!
①病態:急激に進行する皮膚軟部組織細菌感染症。皮下組織と表在筋膜の間に急速に広がり、広範囲の壊死を引き起こすため死亡率が高い。外傷・熱傷(受傷1-4日後)、水痘(発症3-4日後)などが関連することがある。
②症状:高熱、不機嫌、皮膚所見に比して激しい疼痛、24-48時間以内に拡大する紅斑所見、水疱形成、皮下出血、紫斑、握雪感。
③検査所見:左方移動、血小板減少、低アルブミン血症、腎機能障害、造影CTでgas所見、筋膜の造影効果消失
④治療:外科的デブリドマン
治療
・基本的に罹患肢の挙上、安静を行う。
・加えて、抗菌薬による薬物療法を行う。
Empiric therapy
下記のどちらかの治療を選択する。
・セファレキシン 25-50 mg/kg 分4
・セファゾリン 100 mg/kg 分3
切開排膿を要さず、全身状態がよい場合
セファレキシン 50 mg/kg/day 分4、内服
切開排膿を要し、全身状態が良い場合
セファゾリン 50-100 mg/kg/day 分3、点滴静注
投与期間:局所所見改善後3-5日間(全身状態良好なら点滴静注から内服に移行)
頬部・眼窩周囲病変を伴う乳児または軟部組織病変を伴うが明確な感染病巣のない乳児
・セフォタキシム 100-150 mg/kg/day 分3 点滴静注
※クリンダマイシン 30mg/kg 分3 点滴静注 を併用する
全身状態が悪い場合
・バンコマイシン 60 mg/kg/day 分4 30分以上かけて点滴静注
免疫不全患者
・血液培養を採取し、抗緑膿菌作用のある抗菌薬を選択
セフェピム 100 mg/kg/day 分2+バンコマイシン 60 mg/kg/day 分4
MRSAが起炎菌で全身状態がよい場合
ST合剤 10mg/kg/day 分2
予防と予後
・湿疹や乾燥性皮膚炎のケア、リンパ浮腫の治療を行う。
・S. aureusやS. pyogenesによる蜂窩織炎は毒素性ショック症候群(TSS: toxic shock syndrome)に進展しうる。また、48-72時間以内に心・腎・肝機能障害や急性呼吸窮迫症候群(ARDS)が起こりうる。
・病巣が広がる症例では、壊死性筋膜炎との鑑別が難しい。


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