【小児科医🍎blog】GWのキャンプ・山遊び。マダニに噛まれたら「絶対に自分で引っ張って抜かないで!」ライム病・SFTSを防ぐために | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医🍎blog】GWのキャンプ・山遊び。マダニに噛まれたら「絶対に自分で引っ張って抜かないで!」ライム病・SFTSを防ぐために

感染症
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こんにちは!小児科医りんご🍎です。

いよいよGWですね!気候も良く、ご家族でキャンプやハイキングなど、自然と触れ合うお出かけを計画されている方も多いと思います。

我が家の2歳の娘もすっかりお外遊びの虜になっており、連休は自然の中で思い切り体を動かして遊ばせたいなと、親の私たちもワクワクしています。

自然のなかでの遊びは、子どもの心を豊かに育む素晴らしい機会です。

しかし、山や森へ入る際に、親として「絶対に知っておかなければならない、ある危険な生き物」がいます。

それが「マダニ」です。

お風呂に入れようと服を脱がせた時、子どもの皮膚に黒いイボのようなものがくっついているのを発見したら……。

今回は、「もし子どもがマダニに噛まれたらどうすればいいのか?」「なぜ絶対に自分で抜いてはいけないのか?」について、小児科医の視点から解説します。


1. 「マダニ」の恐るべき生態

まず大前提として、布団などに潜む「家ダニ(肉眼では見えない)」と、アウトドアで遭遇する「マダニ」は全くの別物と考えてください。

マダニは通常3〜8mmほどの大きさですが、動物や人間に噛み付くと、長い場合は1週間以上も血を吸い続け、最終的には1cm以上のパンパンの「小豆」のような大きさに膨れ上がります。

彼らは草むらや笹の葉の裏などに潜み、動物が通りかかるのをじっと待ち構えています。そして恐ろしいことに、マダニの唾液には「麻酔成分」が含まれています。そのため、噛まれても全く痛みや痒みを感じず、気づかないことがほとんどなのです。

2. 「絶対に自分で引っ張って抜いてはいけない」2つの理由

着替えやお風呂の際に、子どもの体に食い込んでいるマダニを発見したら、親としてはパニックになり、思わず指でむしり取りたくなる衝動に駆られるでしょう。

しかし、ここで深呼吸です。絶対に、自分で無理に引っ張ってはいけません。

① マダニの「頭(口器)」が皮膚の中に残ってしまうから

マダニは皮膚に噛み付くと同時に「セメント物質」と呼ばれる強力な接着剤を分泌し、自分のアゴを人間の皮膚にガッチリと固定します。

無理に引っ張ると、マダニの胴体だけがちぎれ、皮膚の奥深くにマダニの頭(口器)が残ってしまいます。これが異物となり、後から皮膚が赤く腫れ上がったり、しこり(異物肉芽腫)になったり、そこから細菌感染を起こす原因になります。

② 病原体を子どもの体内に「逆流」させてしまうから

マダニのパンパンに膨れた胴体を指でつまんで圧迫すると、マダニの消化管の内容物や唾液が、まるでスポイトを押した時のように人間の体内に押し出されて(逆流して)しまいます。 これにより、マダニが持っている恐ろしい病原体を、自らの手で子どもの体内へ注入してしまうことになりかねません。

3. マダニが媒介する恐ろしい感染症と、地域的なリスク

マダニは様々な感染症を媒介しますが、特に注意すべき2つを挙げます。

🔴 ライム病(特に東北・北海道エリアは注意!)

マダニ(主にシュルツェマダニ)が持つ「ボレリア」という細菌によって引き起こされます。刺された数日〜数週間後に、刺された部分を中心に「遊走性紅斑」という赤い輪っか状の発疹が出現し、発熱や関節痛を引き起こします。

放置すると神経や心臓に症状が出ることもあります。 実はこのシュルツェマダニ、東北地方や北海道などの寒冷地・山岳地帯に非常に多く生息しています。北日本にお住まいの方、遊びに行く予定の方は特に警戒が必要です。

🔴 SFTS(重症熱性血小板減少症候群)

SFTSウイルスを持つマダニに刺されることで感染します。

発熱、嘔吐・下痢などの消化器症状に加え、血液中の血小板や白血球が減少し、致死率が10〜30%にもなる非常に恐ろしい感染症です。肝機能障害なども生じます。

通常、特別な皮膚症状は出現しません。皮膚にマダニの吸着が確認された例もありますが、確認できない例もあり、刺し口の皮疹も明確ではありません。
症例によっては意識障害、出血症状などが急速に進み、特に高齢者では重症化して多臓器不全で亡くなる場合もあります。

以前は西日本中心でしたが、近年は東日本でも報告が相次いでおり、全国的な問題となっています。

💡 小児科医からの安心ポイント マダニがライム病などの病原体を人間に感染させるには、「噛み付いてから24〜48時間以上の吸血」が必要だと言われています。つまり、その日のうちにお風呂で発見できれば、感染のリスクは大幅に下げられます。見つけても焦らず、冷静に対処しましょう。

4. 正解は「そのまま皮膚科へ」。どんな処置をするの?

マダニを見つけたら、「何も塗らず、何も触らず、そのままの状態で、できるだけ早く医療機関(皮膚科がベスト)を受診する」のが大正解です。(休日や夜間の場合は、救急外来や外科などにご相談ください)。

皮膚科では、専用のピンセットを使って慎重に除去を試みます。しかし、すでに深く食い込んでセメント物質で固まっている場合は、「パンチ切除」という処置を行うことが一般的です。

これは、局所麻酔の注射をした後、専用の丸い刃がついた器具で、マダニの周囲の皮膚ごと2〜3ミリほど小さく丸く切り取る処置です。「皮膚を切る」と聞くと親御さんはヒヤッとするかもしれませんが、小さな傷跡で済みますし、病原体やマダニの一部を残さず確実に除去するためには、これが最も安全で確実なゴールデンスタンダードです。

局所麻酔の注射や処置は、子どもにとって怖いものです。この時、親が「どうしよう!」とパニックになっていると、その不安は子どもに伝染してしまいます。

まずは親御さんが「大丈夫、お医者さんが取ってくれるよ」と冷静な態度で接してあげてください。処置中は手をしっかり握り、そして処置が終わったら、「注射、痛かったのによく頑張ったね!」と、結果だけでなく困難に立ち向かった「勇気」を認めてあげる声かけをしてあげてくださいね。

5. 子どもをマダニから守る!鉄壁の予防策3箇条

一番の対策は「噛まれないこと」そして「すぐに気づくこと」です。

服装の工夫(白っぽい服を選ぶ!)

森や草むらでは長袖・長ズボンが基本。

ズボンの裾は靴下の中に入れましょう。

そして「白っぽい明るい色の服」を着せるのがポイントです。黒いマダニが付着した時に、すぐに目で見て気づくことができます。

適切な虫除け剤(イカリジンがおすすめ)

マダニには「ディート」や「イカリジン」が有効です。

小児科医のパパとして激推ししたいのは「イカリジン」です。ディートは効果が強力ですが、年齢によって1日の使用回数制限があります。イカリジンはお子さんの年齢・回数制限がなく、顔以外の全身に気兼ねなくたっぷり塗れるため、非常に使い勝手が良いです。

帰宅後の「即お風呂&全身チェック」をルーティンに

帰宅後は玄関で上着やズボンをバサバサと払い、そのままお風呂へ直行しましょう。体を洗いながら、マダニがいないか指の腹で触って全身をチェックします。

⚠️マダニは皮膚の柔らかい場所を好みます。髪の毛の生え際(頭皮)、耳の後ろ、首周り、わきの下、足の付け根、膝の裏、おしりは念入りに確認してください。


    いかがだったでしょうか?

    「マダニは怖い」という正しい知識を持つことは大切ですが、過剰に恐れて自然体験の機会を奪ってしまうのはもったいないことです。 しっかりと予防策を講じ、万が一の時の「正しい対処法」さえ親御さんが知っていれば大丈夫です。

    今年のGW、安全対策をバッチリ整えて、ご家族で最高の思い出をたくさん作ってきてくださいね!

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