こんにちは!小児科医のりんご🍎です。
外来で診察をしていると、1歳〜4歳くらいのお子さんを持つパパやママから、こんな相談を受けることがよくあります。
「先生、子供の手のひらと足の裏に、急に赤いブツブツがたくさんできたんです。近くの小児科ではステロイドの塗り薬を処方されたけど、中々治らなくて….。」
実はこれ、「砂かぶれ様皮膚炎(すなかぶれようひふえん)」と呼ばれる、幼児期特有の皮膚トラブルの可能性もあるかもしれません。名前に「砂」とついていますが、実は砂は関係ありません。
今回は、名前が紛らわしいこの病気について、正式名称や原因、お家でのケア方法を小児科医の視点から解説します。
「砂かぶれ様皮膚炎」ってどんな病気?
まず、この病気の正体からお話しします。
- 通称: 砂かぶれ様皮膚炎(すなかぶれようひふえん)
- 正式名称: 小児掌蹠丘疹性紅斑性皮膚炎(しょうにしょうせききゅうしんせいこうはんせいひふえん)
とても長い正式名称ですが、分解すると「子供の(小児)」「手のひらと足の裏に(掌蹠)」「ブツブツと(丘疹性)」「赤い(紅斑性)」皮膚炎、という意味です。
その見た目が、まるで砂場で遊んでかぶれた時のように見えることから、「砂かぶれ様〜」と呼ばれています。
どんな症状が出るの?
主に1歳〜4歳(特に1、2歳)のお子さんによく見られます。
以下のチェックリストに当てはまる場合、この病気の可能性があります。
- [ ] 手のひら・足の裏に、小さな赤いブツブツ(1〜2mm程度)がたくさんできている
- [ ] ブツブツがくっついて、手足全体が真っ赤に見えることがある
- [ ] 手の甲や足の甲にも広がることがある
- [ ] かゆがることが多い(痛がることは少ない)
- [ ] 発熱はない(あっても微熱程度か、発疹が出る前に風邪をひいていた)
特徴的なのは、「元気なのに手足だけ真っ赤」という点です。全身状態は良いことが多いのが特徴です。
原因はなに?
病気の名前から誤解されがちですが、原因は砂でも土でもありません。 現在の医学では、「ウイルス感染への免疫反応」であると考えられています。
何らかのウイルス(EBウイルスやコクサッキーウイルスなど、ありふれた風邪のウイルス)に感染した後、体がそのウイルスと戦った「反応」として、手足に発疹が出ると考えられています。 つまり、アレルギーや不潔にしていたからなるわけではないので、安心してくださいね。
治療法とホームケア
実はこの病気、特効薬はありません。 ウイルス性の反応なので、基本的には自然に治るのを待つことになります。
病院での治療
小児科や皮膚科に行くと、かゆみが強い場合には「抗ヒスタミン薬(かゆみ止め)」や「ステロイド軟膏」が処方されることがあります。
ただし、この病気はステロイド軟膏が効きにくいことでも知られています。塗ってもすぐに赤みが引かないことが多いですが、焦らず経過を見守りましょう。
お家でのケアのポイント
- かきむしり対策: かゆがってかきむしると、そこから「とびひ」になることがあります。爪は短く切り、寝ている間にかいてしまう場合は手袋をするのも手です。
- 保冷剤で冷やす: お風呂上がりや体が温まった時にかゆみが強くなります。保冷剤をハンカチで包んで冷やしてあげると、かゆみが落ち着きやすいです。
- 保湿: 治りかけの時期には皮がむけてきます。保湿剤で保護してあげましょう。
どのくらいで治る?登園は?
- 治癒までの期間: 意外と長く、3週間〜1ヶ月以上かかることがあります。
- 最初の1〜2週間:赤みとブツブツのピーク
- その後:薄皮がボロボロとむけてくる(脱皮のような感じです)
- 最後:きれいに治ります。跡は残りません。
- 保育園・幼稚園: 登園OKです。 この発疹自体が他の子にうつることはありません(原因となったウイルスは風邪として既に通過していることが多いため)。ただし、先生には「砂かぶれ様皮膚炎と診断されましたが、うつりません」と伝えておくとスムーズです。
⚠️要注意!すぐに受診が必要なケース
「手足が赤い」症状で、一番除外しなければならないのが「川崎病」です。 以下の症状が発疹と一緒にある場合は、様子を見ずにすぐに小児科を受診してください。
- 38度以上の高熱が続いている
- 目が充血している
- 唇が赤く腫れている
- BCGの跡が赤く腫れている
川崎病は早期発見・早期治療が重要な病気ですので、発熱の有無は必ずチェックしてくださいね。
また、手足口病もよく鑑別疾患に上がります。この疾患の場合は、高熱や口腔内の痛みなどが伴うことが多く、この点が鑑別ポイントになります。
まとめ
「砂かぶれ様皮膚炎」は、見た目が派手で治るまで時間がかかるため、親御さんはとても心配になる病気です。でも、「跡も残らず、必ずきれいに治る良性の病気」です。
ちなみに…..。この病気は多くの小児科の教科書には出ていません。皮膚科の教科書にはのっていたりしますが、私も実は最近まで知らず、上司に教えて頂いたのをきっかけに調べました。
だから、たとえ小児科医であっても確実に診断できる訳ではないのです。
しかし、たとえそうであっても、「見落としてはいけない重要な疾患ではない」ことは確かです。
あまり気にせず、長い目で見ていくことが大事ですよ。


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