【小児科医🍎Blog】子どもの吃音(きつおん)で自分を責めているママ・パパへ。知って起きたい正しい寄り添い方 | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医🍎Blog】子どもの吃音(きつおん)で自分を責めているママ・パパへ。知って起きたい正しい寄り添い方

児童精神・発達

こんにちは!小児科医として、日々たくさんの親子の笑顔と涙に向き合っている、小児科医りんごです。

お子さんの言葉が急に増えて「おしゃべりが楽しくなってきたな」と思い始めた矢先、「あ、あ、あのね」「ぼ、ぼ、ぼくがね」と、一生懸命に言葉を紡ごうとするものの、どうしてもつっかえてしまう。

そんな我が子の姿を見て、

「厳しく怒りすぎたストレスのせい?」

「いじめられたらどうしよう…」と、

一人で検索魔になり、涙を流しているママやパパは決してあなただけではありません。

今回は、小児科医の視点から、お子さんの未来を守るための「吃音(きつおん)」の正しい知識と接し方を、お伝えします。最後までじっくり読んでみてくださいね。

真実1:吃音の原因・頻度について

まずは、一番の誤解から解かせてください。

吃音は「親の育て方」や「愛情不足」「一時的なストレス」が原因で発症するものではありません。

吃音は「生まれ持った体質(遺伝的要因)」と、「言葉を処理する脳のネットワークの発達段階」などが複雑に絡み合って起こる「神経発達の個性」であることが分かっています。だから、どうかこれ以上ご自身を責めないでください。

どれくらいの子に起こるの?(発症率)

実は、幼児期の約5%(20人に1人)が経験します。

保育園のクラスに1〜2人はいる計算になり、決して珍しいことではありません。

いつから始まるの?

言葉が爆発的に発達する2歳〜5歳頃(特に2〜3歳)に突然始まることが多いです。

男女差はある?

幼児期は男女差があまりありませんが、自然治癒していく過程で女の子の方が治りやすく、学童期以降は男の子に多く残る傾向があります(男女比は約3〜4:1)。

真実2:吃音のサインを見逃さない。3つの症状とSOS

幼児期の吃音(発達性吃音)の症状は、大きく3つのステップで現れます。お子さんが現在どの段階にいるのかを知ることは、適切なサポートの第一歩です。

① 連発(れんぱつ):音や言葉の一部を繰り返す

「か、か、か、からす」「ぼ、ぼ、ぼく」

※初期の吃音で最も多く、子ども自身はつっかえに気づいていないことが多いです

② 伸発(しんぱつ):音を長く引き伸ばす

「かーーーらす」「ぼーーーく」

③ 難発(なんぱつ):言葉が詰まって出てこない

「(……っ)からす」「(……)ぼく」

※言葉が出にくくなり、話すことに力みが生じてきている状態です

⚠️ 要注意な「随伴症状」

症状が進行し、子ども自身が「うまく話せない」と自覚し始めると、なんとか言葉を絞り出そうとして体に力が入ります。

 ・話すときに目をパチパチさせる

 ・顔をしかめる

 ・手足をバタバタさせる、太ももを叩きながら話す

これらは、お子さんが言葉と戦っている「SOSのサイン」です。

真実3:経過と予後について。「波」を繰り返しながら、多くの子は治っていきます

「このまま一生治らなかったら…」という不安になりますよね。

幼児期に吃音を発症した子どもの約70〜80%は、就学前後(小学校に上がる頃)までに自然に消失します。

ただし、ここで絶対に知っておいてほしいのが「吃音には波がある」ということです。

「今週はすごくスムーズに話せていたのに、今日になったらまた急にひどくなった…」と一喜一憂してしまう親御さんはとても多いです。

しかし、数日〜数ヶ月単位で良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、徐々に落ち着いていくのが一般的な経過です。悪化したからといって、パニックにならなくて大丈夫ですよ。

真実4:検査と受診目安

「いつ病院に行けばいい?」「どんな検査をするの?」と疑問に思いますよね。

以下のサインがあれば、かかりつけの小児科や保健センター、言語聴覚士(ST)へ相談をおすすめします。

受診の目安

 吃音の症状が半年以上続いている

 難発(言葉が出ない)や随伴症状(顔をしかめる等)が目立つ

 子ども自身が「お話しできない」「どうして?」と気にし始めている

 保護者の不安が強くてたまらない(※これも立派な受診理由です!)

検査

吃音の診断に、血液検査やMRIなどは行いません。主に言語聴覚士(ST)や小児科医が以下を行います。

1 問診: いつから、どんな場面で出やすいか、家族歴などをヒアリング。

2 発話の観察と評価: 遊びを通して自然な会話を引き出し、吃音の頻度やタイプ、本人の「気づき(ストレス)」の度合いを評価します。

3 発達的評価: 必要に応じて、他の言語発達の遅れなどがないかを確認します。

真実5:治療とサポート、自宅での関わり方

幼児期の吃音に対する最大の治療は、投薬や手術ではなく「環境調整(周りの関わり方を変えること)」です。

「吃音を治す」のではなく、「話すのって楽しい!という自信を守る」ことが最大の目的になります。

💡 吃音の「氷山モデル」を知っていますか?

水面から見えている氷山(=言葉のつっかえ)よりも、水面下に隠れている見えない氷山(=話すことへの恐怖、恥ずかしさ、劣等感)を大きくしないことが何よりも大切です。

⭕️ 今日からできる!大正解の接し方

 「内容」に全集中する: 「話し方」は一切気にせず、「それでどうなったの?」「すごいね!」と、話している「中身」に耳を傾けて共感してください。

 最後までゆったり待つ: 言葉が詰まっても、表情を変えずに「うんうん」と優しい目で見守りましょう。

 親自身の話すスピードを落とす: 大人がゆっくり、間をとって穏やかに話すことで、子どもの「早く話さなきゃ!」というプレッシャーが魔法のように減ります。

❌ 絶対に避けてほしいNGな接し方

 言い直しをさせる: 「もう一回、落ち着いて言ってごらん」「ゆっくりね」という善意のアドバイスは、子どもに「今の話し方じゃダメなんだ」という強烈なプレッシャーを与え、水面下の氷山(劣等感)を巨大化させます。

 言葉を先取りする: 言葉に詰まっている時に「〇〇でしょ?」と大人が先回りして言ってしまうのは、子どもが話す機会を奪うことになります。

最後に:あなたは一人じゃありません

吃音のあるお子さんは、感受性が豊かで、言葉を一生懸命に伝えようとする、とてもエネルギーに満ちた素敵な子どもたちです。

言葉がつっかえても、ママやパパがニコニコと自分の話を最後まで聞いてくれる。

その安心感こそが、お子さんの心を育む最強の土台になります。

焦らなくて大丈夫。不安な時はいつでも私たち小児科医や専門家を頼ってくださいね。

一緒に、お子さんのかわいいおしゃべりを見守っていきましょう。

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