【小児科医blog:論文, 児童精神発達】幼少期のデジタルメディア体験と非定型感覚処理の発達(jamapediatrics.2023.5923) | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog:論文, 児童精神発達】幼少期のデジタルメディア体験と非定型感覚処理の発達(jamapediatrics.2023.5923)

児童精神・発達

当blogでは、主に小児医学情報まとめを行ってきましたが、今年からは小児科領域の医学論文まとめも並行して行っていきたいと思っています。

初回として、JAMA Pediatricsの児童精神・発達領域の論文を紹介します。

テレビ・ビデオなどデジタルメディアに幼少期から暴露された場合、感覚について影響はあるのかという研究です。

感覚のタイプ

・まず、感覚のタイプ(乳幼児の感覚刺激への反応傾向)は児童精神領域では4つのタイプが知られています。

・今回の研究の話題からは一旦離れますが、乳幼児の感覚刺激への反応傾向を評価するInfant/Toddler Sensory Profile(ITSP)の日本版では、生後0カ月から使用することができます。乳幼児の保護者が質問票に回答し、検査者がスコアを集計する形で検査を行えます(以下リンク↓)

ITSP 乳幼児感覚プロファイル

低登録・感覚鈍麻

・刺激に対する反応が低く、感覚が鈍い傾向がある。

・名前呼びや話の内容が頭に入ってこない

感覚過敏(過剰反応性)

・光や音など特定の刺激を過剰に受け取ってしまう状態。

・強い刺激、新しい変化を好まない。ASD(自閉スペクトラム症)に多い

感覚回避

・刺激に対す過剰な反応があり、変化や不快な刺激を回避し安定した刺激を好む。

・感覚過敏と異なる点としては、刺激を「回避」するための行動を取ることができる。

・いつも同じ場所、食事、活動のみを繰り返すことがある。

感覚探求

・新しい刺激を常に求めるタイプ。刺激に対して反応が弱いため強い行動を求める。

・あらゆる刺激に興味を示し、カラフルな色彩や注目をあびることを好む。

・気分の波が大きくなりやすい。

さて、それでは論文の内容に戻ります。

最初に論文のキーポイント・結果です。

キーポイント


・幼少期のデジタルメディアへの曝露は、その後の非定型的な感覚処理と関連するか?

結果

・このコホート研究において、早期からのテレビやビデオへの曝露は、乳幼児感覚プロファイルの低登録、感覚探索、感覚過敏、感覚回避領域における非定型的感覚処理と関連していた。

・つまり、早期からのデジタルメディアへの暴露は、非定型的な感覚処理と関連している可能性がある。早期からのメディア曝露が、自閉症スペクトラム障害にみられるような特定の感覚関連行動となぜ関連するのか、また、幼少期にスクリーンメディアを最小限にすることが、その後の感覚関連の転帰を改善することができるのか、さらなる研究が必要である。

以下、要旨を日本語でまとめます。

要旨

目的

・幼児期におけるデジタルメディアへの曝露と感覚処理の転帰との関連を明らかにすること。

デザイン、設定、参加者

・この米国の多施設共同研究では、子どもの健康と発達に対する環境的影響に関するコホート研究であるNational Children’s Study(NCS)の2011年から2014年に登録されたデータを用いて解析した。

・データ解析は2023年に行われた。調査対象は、出生時にNCSに登録され、その保育者がデジタルメディアへの曝露と感覚処理に関する報告書を記入した子どもである。

曝露

・ 生後12ヵ月、18ヵ月、24ヵ月における子どものテレビまたはビデオ視聴(1日あたりの視聴時間で)

方法

・生後約33ヵ月の乳児/幼児感覚プロファイルで感覚処理を報告。四分位スコア(低登録、感覚探求、感覚過敏、感覚回避)を典型的・高・低の感覚関連行動を表すグループに分類し、多項回帰分析を行った。

結果

・合計1471名の小児(50%が男性)が対象となった。生後12ヵ月におけるデジタルメディアへの暴露は、低登録の高カテゴリーに入るオッズの2倍上昇と関連していた(オッズ比[OR]、2.05;95%CI、1.31-3.20)が、感覚探求(OR、0.55;95%CI、0.35-0.87)、感覚回避(OR、0.69;95%CI、0.50-0.94)、低登録(OR、0.64;95%CI、0.44-0.92)では、典型的カテゴリーではなく低カテゴリーに入るオッズが減少した。

・生後18ヵ月では、デジタルメディアへの暴露が多いほど、感覚回避(OR、1.23;95%CI、1.03-1.46)および低登録(OR、1.23;95%CI、1.04-1.44)のリスク増加と関連していた。

・生後24ヵ月では、デジタルメディアへの暴露が多いほど、感覚探求(OR、1.20;95%CI、1.02-1.42)、感覚過敏(OR、1.25;95%CI、1.05-1.49)、感覚回避(OR、1.21;95%CI、1.03-1.42)のリスク増加と関連していた。

結論と関連性


・このコホート研究において、早期からのデジタルメディアへの曝露は、複数の領域における非典型的な感覚処理の結果と関連していた。

・これらの所見は、デジタルメディアへの曝露が非定型的な感覚プロファイルの発現の潜在的な危険因子である可能性を示唆している。

・スクリーンタイムと特定の感覚に関連した発達および行動の結果との関係を理解し、早期からの暴露を最小限に抑えることがその後の感覚に関連した結果を改善できるかどうかを理解するためには、さらなる研究が必要である。

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