症状
・精巣の痛みを訴えるのは、病状が進行した状態の時で緊急度が高い。
・その前に、下腹部痛の訴えで受診することも多い。これは、精巣が発生学的にTh10-12の神経の位置(交感神経の求心性節後繊維)でつくられ、腹部から股間まで下がってきているためである。
・鼡径部痛の訴えも起こりうる。これは停留精巣に捻転を伴う症例があるためである。
・また、背部痛の訴えがある場合、尿路結石の放散痛が精巣に及んでいる可能性もある。
総論
・精巣捻転はすべての年齢で起こりうるが、好発年齢は2峰性であり、新生児と思春期に多い。特に12-18歳ごろに起こりやすく、捻転のうち60-70%が発症している。
・男児の12-17%は精巣が固定されておらず、そのうち40%は両側とも固定されていない。
・時には自然に戻ることもあるので、過去に同様のエピソードがなかったか聞くことも重要。
・陰部外傷で精巣挙筋が収縮することもあり、注意が必要。
身体所見
・片側の精巣の腫大,固さ, 発赤
・精巣全体の圧痛
・立位で軸が横になっている
・立位で患側精巣の位置が高い
→精巣捻転では、精巣が捻れた精索に巻き上げられて、軸が横を向く。そのため位置も高くなる。
・精巣挙筋反射消失
→大腿の内側を下から上にするっとなでると、少し遅れて精巣が挙上する。感度は90-100%と高いが、緊張した状態だと反射が出なくなることも。患者の注意をそらすように話ながら行う。
・微熱
TWISTスコア
・TWIST=testicular workup for ischemia and suspected torsion
・症状、所見から精巣捻転のリスクを評価できる(感度95.5%, 特異度97.2%)
| 嘔気・嘔吐 | 1点 | Throw up(nausea, vomit) |
| 精巣位置が高い | 1点 | Wind up testis |
| 精巣挙筋反射消失 | 1点 | Indistinct cremaster deflex |
| 精巣の腫脹 | 2点 | Swollen testis |
| 精巣が硬い | 2点 | Tough testis |
| 0-2点 | 低リスク:感度95-100% | フォローアップ |
| 3-4点 | 中リスク | 超音波検査 |
| 5-7点 | 高リスク:特異度97-100% | 泌尿器科コンサルト |
【2023.5.5. 記事更新】
しかし、低リスクとはいえ、発症からの経過時間が短い場合や回転が少ない場合はスコアが低くなってしまうこともあるようです。
よって、少しでも疑う場合はエコー検査を行う(精巣内部の血流評価:患側の精巣内部血流低下、健側は正常)、また身体所見を大事にすることがやはり重要になります。
泌尿器科医にすぐコンサルトできない場合
・精巣捻転は平均540°回転しており、450°以上回転すると血流は見えなくなる。
・もし泌尿器科にすぐコンサルトできないが、明らかに精巣捻転がある場合、本を開くように精巣を回す。これを『open book rotation』という。
・つまり、左側(足側からこちらがみると、右側)は時計まわり回転、右側(足側からこちらが見ると左側)は半時計回転で回せば良い。
・回した後は、1回転ごとに超音波検査で血流を確認する。
鑑別疾患
・精巣上体炎
・精巣付属器捻転症(精巣垂、精巣上体垂捻転)
・外傷
・特発性陰嚢浮腫
・IgA血管炎
・流行性耳下腺炎に伴う精巣炎


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