総論
・JAK(Janus kinase)はインターロイキンやインターフェロンなどが細胞膜受容体に結合し、細胞内シグナル伝達が行われる際に働く。
・多くのインターロイキンは細胞内シグナルの下流にSTAT分子をもち、その仲介をするのがJAKである。
・JAKは上流のインターロイキン受容体と下流のSTAT分子の両者をリン酸化する。リン酸化されたSTAT分子は2量体を形成し、核内に移行し炎症に関与する分子の遺伝子発現を促す。
・JAK-STAT系によるシグナル伝達は4つのJAK(JAK1, 2, 3, TYK2)と7つのSTAT分子の組み合わせで決定する。
・JAKの呼称は、2つのドメインを持つ構造かえあ、ローマ神話で前向きと後ろ向きの顔を持つ双面神ヤヌスにちなんでJanus kinaseと名付けられた。
JAK・STATファミリー
・JAKファミリーは120130kDAの分子であり、JAK1、JAK2、JAK3、TYK2の4種類が同定されている。
・サイトカインの受容体サブユニットには各々特有のJAKが非共有結合で会合し、受容体にサイトカインが結合すると、JAKがインターロイキン受容体をリン酸化し、次いで対応する転写因子であるSTATが受容体に引き寄せられ、リン酸化を受けて活性化する。活性化したSTATは二量体を形成して核内に移行、遺伝子転写を開始し、サイトカインの作用が発揮される。
STATファミリーは7種類あり、JAKとSTATの組み合わせが多様なシグナルをもたらしている。
・JAK1、JAK2およびTYK2は多様な細胞で発現しているが、JAK3はほぼリンパ球のみに発現している。
・Ⅰ型サイトカインのうち、IL-2, 4, 7, 9, 15, 21は受容体の共通γ鎖と会合するJAK3がリガンド特異的α鎖と会合するJAK1とともにシグナル伝達を担う。
・IL-3, 5, GM-CSF, エリスロポエチン, トロンボポエチン, 成長ホルモンはJAK2を介してシグナル伝達を行う。
・受容体にgp130分子を用いるIL-6, IL-11, IL-27はJAK1, JAK2, TYK2を介する
・受容体にp40分子を用いるIL-12, IL-23はJAK2とTYK2を介する。
・一方、TypeⅠインターフェロンのIFN-α/βはJAK1、TYK2を介してシグナル伝達。Type-ⅡインターフェロンのIFN-γはJAK1、JAK2を介してシグナル伝達。IL-10ファミリーのIL-10, 20, 22はJAK1, TYK2を介してシグナル伝達する。
・IL-13は共通γ鎖を用いず、JAK1, JAK2, TYK2が関わる。
・一方で、TNF, IL-17, IL-1はJAK-STAT経路による制御を直接は受けていない。
JAK阻害薬内服について
・現在まで、様々なJAK阻害薬の内服薬が登場している。
・阻害するJAKの種類や範囲により、臨床効果や副作用は異なる。
本邦承認済の薬剤
トファシチニブ(ゼンヤルツ)
適応症:関節リウマチ、潰瘍性大腸炎
JAK選択性:JAK1, JAK3
バリシチニブ(オルミエント)
適応症:関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、SARS-CoV2による肺炎、円形脱毛症
JAK選択性:JAK1, JAK2
ペフィシチニブ(スマイラフ)
適応症:関節リウマチ
JAK選択性:JAK1, JAK2, JAK3, TYK2
ウパダシチニブ(リンヴォック)
適応症:関節リウマチ、関節症性乾癬、アトピー性皮膚炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎
JAK選択性:JAK1
アブロシチニブ(サイバインコ)
適応症:アトピー性皮膚炎
JAK選択性:JAK1
フィルゴチニブ(ジセレカ)
適応症:関節リウマチ、潰瘍性大腸炎
JAK選択性:JAK1
デュークラバシチニブ(ソーティクツ)
適応症:尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症
JAK選択性:TYK2
ルキソリチニブ(ジャカビ)
適応症:骨髄線維症、真性多血症
JAK選択性:JAK1、JAK2
リトレシチニブ(リットフーロ)
適応症:円形脱毛症
JAK選択性:JAK3/TEC
副作用
・基本的には免疫能低下による感染症に注意が必要。特に帯状疱疹、上気道感染の頻度が比較的高い
・稀な副作用として、消化管穿孔、間質性肺炎などが挙げられる。
・詳しい副作用については各々の使用する薬剤の添付文書をチェック。


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