令和6年度(2024年9月)の即時型食物アレルギーの原因食物では、全体第4位(8.1%)を占める、小麦アレルギーについてのまとめです。
以前は全体第3位となっていましたが、減ってきたというよりは、第2位の木の実類(24.6%)が大幅に増えてきた印象であり、やはり即時型食物アレルギーの中で重要な原因食物であることに変わりはありません。
また、乳児期(~1歳)では以前として原因の中で12.2%と多く、鶏卵・牛乳についで第3位の多さの原因食物となっています。
本記事では、小麦アレルギーの特徴、診断方法についてをまとめていきます。
疫学・予後
・本邦では、鶏卵、木の実類、牛乳に次いで4番目に多い原因食品。
・乳児期発症の場合、3歳で約60%が耐性を獲得する(アレルギー2006 ; 55 : 533-41)。
・小麦特異的IgE抗体価が高いほど、耐性化率が低い。
原因タンパク質
コンポーネント
・水、塩に不溶性のグルテン、グルテンの中のω-グリアジン(Tri a 19)がアレルゲンとして重要。加熱や消化に安定している。
・グルテンを構成するタンパク質のうち、アルコールに溶解するものをグリアジン、溶解しないものをグルテニンという。
・グリアジンとグルテニンは、水を加えて練り合わせると分子間ジスルフィド結合により高分子化して、不溶性のグルテンとなる。その調理特性から多くの加工食品に利用されている。
→症状出現時間が遅いこともあり、注意が必要。
交差抗原性
・大麦やライ麦には、ω-5グリアジンと交差反応するタンパク質が存在する。そのため、麦茶や麦飯など給食にも使われる大麦との交差反応の報告例もあり。
→とはいえ、実際は小麦アレルギーとの関連性は低く、不要な除去は行わなくてもOK。しかし、重症小麦アレルギーの症例では注意しなければならない。麦茶などは日常的に飲む頻度も多く、体調不良の際に重症小麦アレルギーの子供が麦茶を飲んだ際に強いアレルギー症状が起きる可能性は、十分あり得る。負荷試験での評価も一つの方針。
・また、イネ科の花粉からの交差反応によって小麦アレルギーを発症する可能性も指摘されている。
診断
・小麦特異的IgE抗体価は感度は高いものの特異度は低く、クラス6(≧100UA/mL)であっても、食物経口負荷試験(OFC)を実施すると陽性的中率は75%にとどまるという報告もある。
・対して、ω-5グリアジン特異的IgE抗体価は特異度が高く、3.5UA/mLで陽性適中率90%とされる。しかし感度は高くなく、陰性であっても小麦アレルギーの否定とはならない。
血液検査の評価基準
小麦/グルテンでクラス3以上、ω-5グリアジンでクラス1以上では、特異的IgE抗体価「高値」
小麦/グルテンでクラス2以下、ω-5グリアジンでクラス0では、特異的IgE抗体価「低値」
→高値の症例では、入院対応も可能な専門機関へ紹介。
食物経口負荷試験(OFC)
負荷量について
現在の摂取量より、ひとつ上の段階の負荷を目標とする。
(未接種・完全除去中→少量、少量レベル摂取中→中等量、中等量摂取中→日常摂取量)
少量:ゆでうどん1-3g
中等量:ゆでうどん10-30g
日常摂取量:ゆでうどん200g (幼少児では下記参照)
※ゆでそうめんでも可。
そうめんを使用する場合
ちなみに、ゆでうどんのタンパク質量は含有率2.6%
→ゆでうどん20gには 20g×2.6/100 =0.52g のタンパク質が含まれる
対して、ゆでそうめんのタンパク質量は含有率3.5%であり、ゆでうどんの1.3倍のタンパク質が含まれる。そのため、負荷試験ではうどん10gあたり、そうめんは7gくらいに抑える必要性がある。
幼少児の日常摂取量について
・うどん200gは、6枚切り食パンの1枚相当となり、幼少時は食事摂取量が少ないため、普段食べる量より多いことになってしまう。
・そのため、幼少児においては、児の1食分が摂取できれば日常摂取可と判断する。
負荷試験実施後の方針
負荷試験陰性の場合
・負荷試験総量の半分から摂取開始、問題なければ増量(上限は負荷試験総量まで)
・増量目安は、「3回食べて問題なければ2割増量」、くらいのペースで。
負荷試験弱陽性(軽症程度)の場合
・同上
負荷試験強陽性(中等症以上)の場合
・負荷試験前の摂取レベルを継続する。
うどん重量あたりの加工食品の摂取量目安
| うどん重量 | 薄力粉重量 | 加工食品 |
| 100g(1/2玉) | 32g | 食パン1/2枚、ロールパン1/2個、フランスパン28g、ドーナツ1/2切れ、ホットケーキ1枚、中華麺1/4玉、茹でパスタ50g、そうめん(乾燥)28g、ショートケーキ1カット |
| 50g | 16g | 天ぷらかき揚げ1個、とんかつ1枚、カレー・シチュー1人前、春巻き1本 |
| 30g | 10g | コロッケ1個、餃子1個 |
| 10g | 3.2g | ムニエル、クッキー・ビスケット1枚、しゅうまい1個、マカロニ(乾燥)2g、鳥の唐揚げ3個 |
| 5g | 1.6g | コンソメ、かまぼこ、ちくわ、調味料(しょうゆ、味噌、す、麦茶) |
|
|
参考
食物アレルギー研究会HP:小麦アレルギー


コメント