定義
・マダニ咬傷を介して、マダニ唾液や消化管内に存在する糖鎖の一種galactase-α-1,3-galactose(α-Gal)に感作されると、α-Galを含む食品や薬剤によってアレルギー症状が誘発されることがあり、これをα-Gal症候群という。
・主に牛肉や豚肉などの獣肉により誘発され、遅発型に発症するのが特徴である。
臨床的特徴
・獣肉を摂取して2-6時間後に、蕁麻疹や血管性浮腫などの皮膚症状、下痢などの消化器症状現れることが多く、時にアナフィラキシーに至る。
・上記のように、通常のIgE依存性食物アレルギーに比べて経口摂取後に遅れて発症するのが特徴。
・再現性は必ずしも一定せず、同一患者でも飲酒後、NSAIDs内服後、運動後などに二次的要因により症状の出現や増悪が認められる。
原因
・非霊長類哺乳類動物、たとえばウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、シカなどの4つ足動物の肉が主な原因になあるが、一部の症例では牛乳、内臓肉、または内臓組織などでも症状が誘発される。
・また抗がん剤である抗ヒトEGF受容体モノクローナル抗体製剤セツキシマブやゼラチン含有コロイドもα-Galを含むので、アナフィラキシーを生じる可能性がある。
疫学
・2009年にアメリカとオーストラリアの報告以来、世界のマダニ咬傷発生地域から報告されている。
・我が国でも2012年以降、全国から報告あり。
・日本では、フタトゲチマダニやタカサゴキララマダニの報告あり。
・獣肉アレルギー患者の97%は血液型がB型以外であったとの報告がある。ABO式血液型は糖鎖で決定され、B型の糖鎖はα-Galと類似の構造を有するため、自己抗原に対しての抗体を産生しにくく少ないのではと言われている。
遅発型発症の理由
・α-Galは、獣肉として経口摂取した際、糖脂質や糖タンパク質として吸収される。これまでの知見から、糖脂質として吸収された場合、脂質の吸収や低分子化に時間を要し、マスト細胞への到達が遅れるために遅発型になると推察されている。
診断
・問診で、獣肉を摂取して2-6時間経過してから蕁麻疹やアナフィラキシーなのアレルギー症状が出現した場合に疑われる。
・マダニに噛まれていないからといって、本性を否定する根拠にはならない。
・検査としては、牛肉や豚肉に対する特異的IgE抗体測定を行う。
・またα-Galに対する監査については、抗ウシサイログロブリン(α-Galを含む)に対する特異的IgE抗体測定を用いた評価も提案されている。
治療と指導
・原則、獣肉や内臓の経口摂取を避けるように指導する。
・加熱により抗原性が低下はするが、豚の腎臓は95℃10分間の加熱でも抗原性の低下はないなど、あくまで摂取しないことが原則。
・また牛乳は抗体価が陽性になっても、乳製品中のα-Gal含有量はわずかなので、ほとんどの患者では症状なしに摂取でき、原則牛乳やチーズは回避の対象にならない。しかし、もちろん症状を呈する症例では回避するように指導する。
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