【小児科医blog:薬剤, アレルギー】抗ヒスタミン薬について | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog:薬剤, アレルギー】抗ヒスタミン薬について

アレルギー

Intro

主訴:「毎年春・秋に鼻水がとまりません」「じんましんが出て、痒そうにしてます」

・空気が乾燥したり、花粉が増えると上記のような症状の患者さんも増えてきますね。

・今回は、アレルギー性鼻炎や蕁麻疹の治療として使われる、抗ヒスタミン薬についてまとめていきます。

 

1. 抗ヒスタミン薬の種類

・抗ヒスタミン薬は、第1世代と第2世代に大別されます。

・この2種類の違いとして、「傾眠作用の程度の差」があります。また、第2世代抗ヒスタミン薬の中でも、「非鎮静性」かが重要になります。

・非鎮静性とは、「脳内移行性が低く傾眠などの副作用が少ない薬剤であり、一般的に脳内ヒスタミン受容体の占拠率が20%以内の薬剤」を指します。できるだけ、傾眠の副作用の少ない非鎮静性抗ヒスタミン薬を使用すべきです。

・また、第1世代抗ヒスタミン薬の副作用として、気づかないうちに集中力や判断力、作業効率が低下する『インペアードパフォーマンス(意識されない能力の低下)』と言われる副作用も懸念されます。小児においても、勉強で影響を及ぼすことがあり、特に受験の近い児への処方には、より注意が必要です。眠気を自覚しているかどうかは問わず、自覚しにくい、鈍脳とも呼ばれることがあるそうです。

・よって、漫然と使用せずに、原則としてH1受容体拮抗薬成分の少ない第2世代の非鎮静性薬剤を使用すべきです。

・服用回数、眠たくならないことをポイントに処方を変更すると使いやすいです。

 

2 適応

・アレルギー性鼻炎:鼻汁・くしゃみによく効く。

・蕁麻疹:症状があれば、ためらわず内服。

・アトピー性皮膚炎:かゆくて引っ掻いてしまうとコントロール不良となるので、寛解導入期には痒み止めとして処方。

 

3. 種類・年齢ごとの用量

以下に代表的な第2世代抗ヒスタミン薬をまとめます。

①エピナスチン(アレジオン®︎)

1-6歳:ドライシロップ

 用量:0.5mg/kg/day、分1  または 3-6歳:5-10mg、分1

7歳-:10mg錠(or20mg錠)

 用量:10-20mg、分1

 

②ロラタジン(クラリチン®︎)

3-6歳:ドライシロップ

 用量:5mg、分1

7歳-:10mgレディタブ錠

 用量:10mg、分1

 

③オロパタジン(アレロック®︎)

2-6歳:顆粒

 用量:5mg、分2

7歳:5mgOD錠

 用量:10mg、分2

 

④レボセチリジン(ザイザル®︎)

6ヶ月-:シロップ

 用量:6-11ヶ月:2.5mL分1、1-6歳:5mL分2、7-14歳:10mL分2

 

⑤フェキソフェナジン(アレグラ®︎)

6ヶ月-6歳:ドライシロップ

 用量:6ヶ月-1歳:30mg分2、2-11歳:60mg分2

7歳-:30mg錠、60mg錠

 用量:2-11歳:60mg分2

 

保険診療で処方できる年齢

・抗ヒスタミン薬は生後6ヶ月から使用できる。

・生後6ヶ月-2歳で使用できる薬剤で、脳内ヒスタミン受容体占拠率の低い非鎮静性抗ヒスタミン薬となると、フェキソフェナジン(アレグラ)が有効。

 用量:6ヶ月-1歳:30mg 分2、2-11歳:60mg 分2

 

眠気の副作用への配慮

・添付文書上、自動車運転に関する注意喚起文が記載されていない薬物は、眠気やインペア−ドパフォーマンス等副作用の影響が少ない。

・注意喚起文の記載がない抗ヒスタミン薬は、以下の薬。

 フェキソフェナジン(アレグラ):6ヶ月から使用可

 ロラタジン(クラリチン):3歳から使用可

 デスロラタジン(デザレックス):12歳以降使用可

・上記から選択するとなると、小児ではアレグラやクラリチンを使用する方がベターかもしれない。

 

抗ヒスタミン薬の変更

・抗ヒスタミン薬の効果が不良の場合、別の構造の薬への変更が考慮される。

三環系

・ロラタジン(クラリチン)、エピナスチン(アレジオン)、オロパタジン(アレロック) etc

 

ピペリジン/ピペラジン系

・フェキソフェナジン(アレグラ)、ベポタスチン(タリオン)、レボセチリジン(ザイザル)

※しかし、十分なエビデンスはない。

 

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