【小児科医🍎blog】Precordial catch syndrome (プレコーディアル・キャッチ症候群) とは | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医🍎blog】Precordial catch syndrome (プレコーディアル・キャッチ症候群) とは

小児

こんにちは!小児科医・育児ブロガーの「小児科医りんご🍎」です。日々の子育て、本当にお疲れ様です。

ある日突然、お子さんが胸を押さえて「胸が痛い!」「チクチクする!」と言い出したら…親としては「まさか心臓の病気!?」「心筋梗塞!?」とパニックになってしまいますよね。

でも、ちょっと待ってください。もしその痛みが「安静にしている時」に「突然数秒〜数分だけ」起こったのなら、それは「プレコーディアル・キャッチ症候群(Precordial Catch Syndrome)」という状態だったのかもしれません。

今回は、名前は難しそうですが実は子どもにとても多く、そして全く心配のいらないこの症状について、分かりやすく解説します!

プレコーディアル・キャッチ症候群って何?

プレコーディアル(Precordial)は「心臓の前(前胸部)」、キャッチ(Catch)は「ズキッとする痛み」を意味します。突然発症し短時間で消失する胸部痛です。

小学生〜思春期(性差なし)、そして若い成人(おおむね8歳〜20代前半頃)に非常に多く見られる胸の痛みの原因の一つです。

心臓のあたりが痛むためドキッとしてしまいますが、心臓や肺の病気とは全く関係のない、無害(良性)の症状ですので、まずはご安心ください。

どんな症状が起きるの?

以下の特徴に当てはまる場合、この症候群の可能性が高いと言えます。

痛みの種類: 針で刺されたような、ズキッとする鋭い痛み。

場所: 多くは胸の左側(心臓のあたり)の非常に狭い範囲(指一本で「ここが痛い」と示せる程度の範囲)。

タイミング: 運動中ではなく、座ってテレビを見ている時など「安静にしている時」や「姿勢が悪い(猫背)時」に突然起こる。

深呼吸で悪化: 息を深く吸い込むと痛みが強くなるため、子どもは痛みを避けるように浅い呼吸になります。

持続時間: ほんの数秒から数分(長くても3分程度)で、嘘のようにスッと完全に消え去ります。

誘引なく発症し、呼吸や運動とは関係ないことが多いです!

なぜ痛くなるの?

「心臓が悪いわけじゃないなら、何が痛いの?」と不思議に思いますよね。

実は、はっきりとしたメカニズムは完全には解明されていません。

しかし、現在の医学では「胸壁の筋肉の一時的なけいれん」や、「肋骨の裏にある神経(胸膜や肋間神経など)が一時的に挟まれたり刺激されたりすること」が原因だと考えられています。

急激な成長による骨格の変化や、ゲーム・スマホ操作中の「猫背」などの悪い姿勢が引き金になりやすいことが分かっています。

検査について

  • 胸痛の原因は局所的な肋間筋けいれんと考えられており、胸部X線写真や心電図に異常を認めないことが診断のポイントです。
  • 検査では、肋骨骨折や気胸など器質的疾患や頻拍性不整脈がないことを確認することが重要です。

痛がっている時の対処法と予防

この症状は無害で、後遺症もなく自然に治るため、痛み止めなど特別な治療や薬は必要ありません。お子さんが痛がっている時は、焦らず以下の対応をしてあげてください。

まずは安心させる

「大丈夫、心臓の病気じゃないからすぐに良くなるよ」と優しく声をかけてあげてください。大人がパニックになると子どもも不安になり、痛みをより強く感じてしまいます。

姿勢を正す

猫背になっていることが多いので、肩を後ろに引いて背筋をピンと伸ばすように促します。姿勢を変えるだけで痛みが和らぐことがあります。

呼吸の工夫

痛みが強い間は浅い呼吸でやり過ごします。少し落ち着いてきたら、あえて「ゆっくり深呼吸」をさせてみてください。魔法のように痛みがスッと消えることがよくあります。

    🚨こんな「胸の痛み」には要注意!

    プレコーディアル・キャッチ症候群は心配いりませんが、中には本当に注意すべき胸の痛みもあります。以下の「危険信号(レッドフラッグ)」がある場合は、自己判断せず早めに小児科を受診してください。

    • 運動中に痛みが起きる(または運動で悪化する)。
    • 痛みが数十分以上長く続く。
    • 胸がギューッと締め付けられるような、重苦しい痛み。
    • めまい、ふらつき、冷や汗、顔面蒼白、息苦しさを伴う。
    • もともと心臓の病気(先天性心疾患や川崎病の既往など)がある。

    おわりに

    子どもの「胸が痛い」という言葉は、親の心臓に悪いですよね。でも、この「プレコーディアル・キャッチ症候群」の知識がお守り代わりになり、いざという時の冷静な対応に繋がれば嬉しいです。大半の胸の痛みは、成長とともに自然と起きなくなっていきますよ。

    もちろん、少しでも「いつもと違う」「なんだかおかしい」と親の直感が働く時は、迷わずかかりつけ医に相談してくださいね!

    +α:医療従事者向け:家族への説明

    • 家族には、「肋間筋の成長痛」と説明するとわかりやすい。
    • 有効な治療法はないが、身体の成長とともに消失していく。

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