タバコ誤飲について | ゆるっと小児科医ブログ
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タバコ誤飲について

救急

Introduction

タバコを子供が誤飲するケースは、救急外来でもよく見られます。

特に、普段行かない親戚・祖父母の家という場面や、気が緩んで普段気をつけているのに管理があまくなってしまうケースなどでは注意が必要です。

今回はタバコ誤飲の際の対応についてまとめます。

ニコチンの致死量

・致死量は約10-20mg

・タバコ1本には8.6-12.6mg(平均9.9±1.0mg)のニコチンが含まれるため、もし仮にタバコ1本分のニコチンを全部吸収してしまったら致死量となってしまう。

・しかし、タバコは食べても美味しくないので通常飲み込むことは少なく吐くことが多い。

・また、たとえ飲み込んでもニコチンは酸性胃液中では15分で3%と極めてゆっくりとしか吸収されず、一方ニコチンの半減期は1時間で肝臓に速やかに代謝される。よって、たとえタバコを1本食べてしまったとしても血中濃度はそこまで上昇しない。

・例外はタバコの浸かった液体を飲むケースである。それはタバコを30分間水に浸すと、ニコチンの100%が吸収されてしまうからである。

・タバコを誤飲したあとに慌てて水を飲ませたところ、顔色不良、徐脈が出現しアトロピンを必要とした症例もある。

症状

・嘔吐の発現量は2-5mgとされている。

・嘔吐発現量を超えた摂取では、10-60分以内に嘔吐を生じ、2-4時間以内に興奮、頭痛、振戦、呼吸促拍、重症例ではけいれん、呼吸停止を認める。逆にいうと、4時間以上経過すれば安全性が高いといえる。

誤飲時の対応

2cm以下の場合

・特別な処置は不要。

2cm以上または不明の場合

・症状がない又は嘔吐のみの患者には胃洗浄は必要ない

・水を飲むのは良くないが、口の中をすすぐ程度は問題ない。

・摂取後4時間は経過観察が必要といわれているが、実際は誤食後2時間でよいという説もある。

・嘔吐発現量である2-5mg以上を摂取していた場合では、摂取後60分で嘔吐を生じるため、1時間無症状なら心配いらないかもしれない。

・興奮、頭痛、振戦、呼吸促拍、けいれん、呼吸停止などの症状が見られる場合、タバコが浸かっていた液体を飲んだ場合には1時間以内に胃洗浄と活性炭の投与の適応

タバコが浸かっていた液体を飲んだ場合

・胃洗浄および活性炭投与の適応

・1時間以内であれば胃洗浄、活性炭投与

・しかし、活性炭投与には臨床的に改善するかは定かではない。4時間以内であれば有用かもしれないが、4時間を過ぎた例では効果がなかったという研究もある。

加熱式タバコの場合

・加熱式タバコと電子タバコは新型タバコと総称されるが、現在の日本の法律上では電子タバコにはニコチンが含まれていないので割愛する。

・アイコスなどの加熱式タバコの誤飲例は近年増加傾向である。

・紙巻タバコより短く飲み込みやすい形状が危険である。

加熱タバコの誤飲

・たばこ葉やそれを加工したものを燃焼させずに、電気的に加熱し、エアロゾル(霧状)化したニコチン等を吸入するたばこ製品です。

・喫煙後の吸い殻は、そのままゴミ箱に捨てても火災の危険はないとされます。

・日本たばこ協会の統計データによると、2021年度の加熱式たばこの販売数量は前年度比111.4%の460億本で、紙巻たばこ(937億本、前年度比94.8%)の半分程度となっています。

・近年、新たに発売された、誘熱体として金属片が内臓された加熱式タバコのスティックを誤飲したという事故も報告されています。

日本小児科学会HP  Injury Alert(傷害速報)

Injury Alert(傷害速報)|公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY
公益社団法人 日本小児科学会公式サイト

・年齢、月齢別では、9-11ヶ月が41.1%と最多で、6-14ヶ月で全体の8割以上を占めています。寝返りをしたりハイハイをする、つかまり立ちをするようになると危険な事故が起きやすいということです。

金属片を含むタバコを誤飲したときの対応

・製品では、金属片の誤飲の報告があり。

【事例1】2022年6月、10か月・男児

・レントゲンで金属片を認めた。経過観察後帰宅。金属片は翌日自然排出された。

【事例7】2021年11月、11ヶ月・女児

・腹部レントゲンで金属片を確認。誤飲した金属の形状から、腸管損傷のリスクは高くないと判断

された。年齢も考慮し、無理な処置は行わず経過観察とした。金属片は1週間後に自然排出された

https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20171116_2.pdf

・その時の児の状態にもよりますが、タバコの誤飲量が少なく、無症状であれば、一緒に金属片を摂取しても経過観察で排泄を待つ対応も考慮されるかもしれません。

・もちろん児の状態が悪ければ、入院での経過観察を行う必要があるでしょう。

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