はじめに
食物アレルギーやハチ刺されなどによる重篤なアレルギー反応「アナフィラキシー」。
その緊急治療薬として長らくスタンダードだったのが、自己注射薬の「エピペン」です。しかし、「注射針が怖い」「緊急時にうまく打てるか不安」といった声も少なくありませんでした。
そんな中、ついに「針を使わない」アドレナリン製剤が登場しました。それが点鼻スプレータイプの「ネフィー(Neffy)」です。
今回は、この画期的な新薬「ネフィー」について、従来のエピペンと何が違うのか、そのメリット・デメリットを含めて詳しく解説します。
アドレナリン点鼻薬「ネフィー(Neffy)」とは?
「ネフィー(Neffy)」は、鼻の中にシュッと噴霧するだけで投与できる、世界初のアドレナリン点鼻薬です。
これまでのアナフィラキシー治療は、太ももへの筋肉注射(エピペン)が唯一の選択肢でした。ネフィーは、鼻の粘膜から薬剤を急速に吸収させることで、注射と同等の効果を発揮するように開発されています。
米国FDA(食品医薬品局)での承認に続き、日本国内でも承認に向けた動きが進んでおり、アレルギーを持つ患者さんやご家族にとって大きな希望となっています。
●画像:ARS PHARMA neffy
エピペンと何が違う?徹底比較
では、具体的に「ネフィー」と「エピペン」はどう違うのでしょうか?主なポイントを表にまとめました。
| 比較項目 | ネフィー(点鼻薬) | エピペン(自己注射薬) |
| 投与方法 | 片方の鼻の穴に噴霧 | 太ももの筋肉に注射 |
| 針の有無 | なし | あり |
| 痛み | 基本的になし | 針を刺す痛みあり |
| 心理的ハードル | 低い(怖くない) | 高い(恐怖心がある) |
| サイズ・携帯性 | 小型・軽量(ポケットサイズ) | ペン型でややかさばる |
| 使用期限 | およそ30ヶ月(※1) | およそ12〜20ヶ月 |
| 温度管理 | 凍結・高温を避ける | 15〜30℃保存が必要 |
(※1) 海外データに基づく目安であり、国内承認時の仕様により異なる可能性があります。
ネフィーの3つの大きなメリット
1. 「針への恐怖」がない
最大の特徴はこれに尽きます。特に小さなお子様の場合、暴れてしまって注射が打てない、あるいは保護者の方が「自分の子供に針を刺す」ことに躊躇してしまい、投与が遅れるケースがありました。点鼻タイプであれば、この心理的・物理的なハードルが一気に下がります。
2. 携帯しやすいコンパクトサイズ
エピペンはペン型で長さがありますが、ネフィーは非常にコンパクト。外出時や学校生活でもポケットやポーチに入れて持ち運びやすく、常に携帯するストレスが軽減されます。
3. 誰でも使いやすい
「鼻に入れてボタンを押すだけ」という直感的な操作のため、医療知識のない教職員や周囲の人でも、緊急時に迷わず使用しやすい設計になっています。
気になる疑問点・デメリットは?
Q. 鼻詰まりがあっても効くの?
臨床試験のデータでは、風邪やアレルギー性鼻炎で鼻が詰まっている状態でも、十分な血中濃度が得られることが確認されています。
Q. エピペンより効果が出るのは遅い?
注射(筋肉内)と点鼻(粘膜吸収)の違いはありますが、アナフィラキシー時の血圧上昇作用や薬物動態において、エピペンと同等の効果が得られることが示されています。
Q. 失敗したらどうするの?
エピペン同様、症状が改善しない場合のために2回分を携帯することが推奨されると考えられます。また、使用後は速やかに医療機関を受診する必要があります。
参考文献
・実際の論文での報告例は、以下のようなものがあります。
Pharmacokinetics/pharmacodynamics of epinephrine after single and repeat administration of neffy, EpiPen, and manual intramuscular injection (neffy、EpiPen、および手動筋肉内注射の単回および反復投与後のエピネフリンの薬物動態/薬力学)
J Allergy Clin Immunol. 2023 Dec;152(6):1587-1596. doi:10.1016/j.jaci.2023.08.007. Epub 2023 Aug 19.

薬力学的反応は、注射製剤と同等もしくはそれ以上の効果があり、注射装置の持ち運びや使用に消極的な患者や介護者にとって、安全で効果的な選択肢となることが期待されています。
まとめ:選択肢が増えることの意義
「ネフィー」の登場は、アレルギー治療におけるゲームチェンジャーと言えます。
もちろん、長年の実績があるエピペンがなくなるわけではありませんが、「注射がどうしても怖い」「持ち歩きをもっと楽にしたい」という方にとって、ネフィーは非常に有力な選択肢となるでしょう。
大切なのは、「いざという時に、躊躇なく使えること」です。
ご自身やお子様のライフスタイルに合わせて、医師と相談しながら最適な備えを選んでいきましょう。
【免責事項】
※本記事は2025年12月時点の情報に基づき作成されています。薬剤の処方や使用にあたっては、必ず主治医の指導に従ってください。
※日本国内での発売時期や適応詳細については、最新の医療情報をご確認ください。
2025年12月現在、まだ『ネフィーサイト』では非医療従事者向けの紹介ページはできていないようですが、おそらくこれからアップされてくるかと思います!ぜひチェックを

また、ARS PHARMAのサイトでは、英語ですが紹介されています。


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