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【小児科医blog:神経】小児の抗けいれん薬 (Anticonvulsant/Antiepileptic drug:AED)について

神経
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小児のけいれん発作は、できるだけ早く発作を停止させる必要があり、そのためにはすぐに使用量を参照できるように準備しておかなければなりません。

ここで問題なのが、小児では体重あたりで薬剤使用量が決まること…。暗記しておくのもなかなかに大変….。ということで、今回は、抗けいれん薬として本邦で使用されるものを、表にまとめておきます。

※薬剤の選択や用量は、年齢、体重、合併症、併用薬によって調整が必要ですが、ここでは一般的な目安(主に日本小児神経学会ガイドラインや添付文書に基づく数値)を記載します。


急性期治療

単位:mg/kg/回 (1回あたりの投与量)

薬剤名一般名1回投与量最大投与量(目安)備考
ドルミカムミダゾラム (IV)0.1〜0.2mg/kg10 mg静注。呼吸抑制に注意。効果不十分なら追加投与可。
ブコラムミダゾラム (口腔)年齢別固定用量
3ヶ月-1歳未満: 2.5mg
1-5歳未満: 5mg
5-10歳未満: 7.5mg
10-18歳未満: 10mg
頬粘膜投与。病院到着前やルート確保困難時に有用。
セルシン/ホリゾンジアゼパム (IV)0.3 ~ 0.5 mg/kg10 mg静注。急速投与で呼吸抑制リスク。
ダイアップジアゼパム (注腸)0.4 ~ 0.5 mg/kg家庭用・初期対応用。
ホストインホスフェニトイン22.5 mg/kg750-1000 mgフェニトイン換算で約15mg/kg相当。ルート確保時の第2選択。心電図モニター推奨。
イーケプラレベチラセタム (IV)20 mg/kg3000 mg負荷投与。15分かけて点滴静注。安全性が高い。
ノーベルバールフェノバルビタール15 ~ 20 mg/kg800 mg新生児や乳児で優先されることが多い。鎮静作用が強い。

希釈方法

・以下に薬剤ごとの希釈方法をまとめます。

ドルミカム:ミダゾラム

10mg/A (2mL)

希釈:1Aに生食8mLを足して、計 10mg/10mL 

投与量:0.1〜0.2mg/kg/dose  ※合計0.6mg/kgまで繰り返し使用可

ホストイン:ホスフェニトイン

750mg/V (10mL)

希釈:1Vに生食40mLを足して、750mg/50mL(=15mg/mL)

用量:1.5mL(=22.5mg)/kg 10分かけてIV

ノーベルバール:フェノバルビタールナトリウム

250mg/V

希釈:250mg/Vを生殖10mLで溶解。250mg/10mL(=25mg/mL)

用量:0.6mL(=15mg)/kg 10~15分かけてIV

※散剤100mg/g, エリキシル4mg/mLなど内服もある。


慢性期治療(てんかん維持療法)

単位:mg/kg/日 (1日あたりの総量)

※開始量は少量から始め、維持量まで漸増(徐々に増やす)のが原則です。

主要な抗てんかん薬

薬剤名一般名開始量 (mg/kg/日)維持量 (mg/kg/日)服用回数有効血中濃度 (µg/mL)
デパケン/セレニカバルプロ酸 (VPA)10 ~ 1520 ~ 402~3回50 ~ 100
イーケプラレベチラセタム (LEV)10 ~ 2020 ~ 602回測定不要*
テグレトールカルバマゼピン (CBZ)5 ~ 1010 ~ 202~3回4 ~ 12
ラミクタールラモトリギン (LTG)(※併用薬による)
下記参照
1 ~ 12
(併用薬で大差あり)
1~2回参考: 2 ~ 10*
エクセグランゾニサミド (ZNS)2 ~ 44 ~ 81~2回15 ~ 40
ビムパットラコサミド (LCM)26 ~ 122回測定不要*
フィコンパペランパネル (PER)2 mg/body (固定)4~8
mg/
(体重による)
1回測定不要*
ザロンチンエトスクシミド (ESM)10 ~ 1515 ~ 302~3回40 ~ 100

*LEV, LCM, PER等は通常TDM(血中濃度モニタリング)は必須ではありませんが、コンプライアンス確認や中毒疑い時に測定することがあります。


日常で使用しやすい抗てんかん薬

以下は、日常的に非専門医も比較的使用しやすい薬剤の特徴です。

レベチラセタム(イーケプラ)

・焦点起始発作、全般起始発作の両者に使用可能

・重篤な副作用は比較的少ない

・点滴製剤もあり、経口摂取不良時に使用しやすい

・生後1ヶ月以上から適応あり

・妊娠可能女性にも使用しやすい

・半減期が短く、怠薬するとすぐに血中濃度が下がる

・易怒性、攻撃性の増加がみられる。

・腎排泄のため、腎機能障害のある患者には使用しにくい。

・添付文章の初回量から開始すると、眠気や易怒性などが強く出ることがある。そのため、急がないケースでは5mg/kg/dayから開始しても良い。2週間おきくらいで20mg/kg/day まで増量を。

バルプロ酸(デパケン、セレニカ)

・全般起始発作に対する第一選択薬としての実績豊富

・焦点起始発作に対しても有用な場合多い

・年齢による適応制限なし

・血中濃度のモニタリングが必要:40-120 μg/mL 目標値

・妊娠可能女性には原則禁忌

・他剤と相互作用があり、代表的なのはカルバペネム系抗菌薬やアスピリン。

・肝機能障害、高アンモニア血症、汎血球減少、膵炎、腎炎、Fanconi症候群、SIADH、消化器症状、カルニチン欠乏など副作用様々多い。。。

ラコサミド(ビムパッド)

・焦点起始発作に対しての有効性が示されている。

・重篤な副作用や眠気が比較的少ない

・点滴製剤もあり経口摂取不良時に役立つ。

・新しい薬剤であり、全般起始発作に対する使用経験が少ない(今後変わってくるかも)

・4歳未満に適応なし(今後変わるかも:2025/10)

・副作用報告は少ないが、不整脈、失神、めまい、悪心、複視などの可能性が指摘されている。

・体重30kg未満では初回量2mg/kg/day、維持量6-12mg/kg/day

・体重30kg〜50kgでは初回量2mg/kg/day、維持量4-8mg/kg/day

・体重50kg以上では初回量100mg/day、維持量200-400mg/day

ペランパネル(フィコンパ)

・焦点起始発作に対しての有用性あり

・半減期が長く、1日1回の服用で良いので、アドヒアランス不良の患者に有用。怠薬しても血中濃度がすぐに下がることはない。

・4歳未満に適応なし(2025/10)

・眠気、イライラ、攻撃性の増加の副作用あり

・体重30kg未満の小児においては、初回投与量を1mg/dayと少なめから開始し、維持量も2-8mg/dayと少なめで。

特に注意が必要な用量調整

ラモトリギン (LTG) の開始・増量スケジュール

重篤な皮膚障害(SJS/TEN)を防ぐため、併用薬によって開始量と増量ペースが厳密に決まっています

  • VPA併用時(代謝阻害あり):
    • 半減期が著しく伸びるため、通常量の半量以下から開始します。
    • 例:0.15 mg/kg/日から開始など、極めて少量スタート。
  • 酵素誘導薬(CBZ, PB, PHT等)併用時:
    • 代謝が早まるため、通常より多めの量が必要です。
    • 例:0.6 mg/kg/日から開始。
  • 単剤またはVPA/誘導薬なし:
    • 中間的な量(0.3 mg/kg/日)から開始。
  • ※詳細なスケジュールは必ず添付文書の「小児の漸増スケジュール表」を参照してください。

レベチラセタム (LEV) の腎機能用量調節

  • 腎排泄型の薬剤であるため、腎機能障害がある患児ではクレアチニンクリアランス(Ccr)に応じて減量が必要です。

ペランパネル (PER) の体重別用量

  • 4歳以上の小児に適応があります。
  • 体重30kg未満: 開始2mg/日 → 維持4~6mg/日
  • 体重30kg以上: 開始2mg/日 → 維持8~12mg/日

カルバマゼピン(テグレトール)

・古典的に焦点起始発作の第一選択薬として使用されていた。

・年齢での適応制限なし。

・増悪する発作、禁忌的な発作がある(ミオクロニー発作、欠神発作など)

・重大な副作用として、再生不良性貧血、汎血球減少、肝腎機能障害、SIADH、SjS・TENを含む発疹がある。他にも、眠気、ふらつき、眼振、運動失調、聴覚障害など副作用が多い。


参考:主な薬剤の血中濃度に関する補足

  • VPA: 100 µg/mLを超えると血小板減少や高アンモニア血症のリスクが増加します。
  • CBZ: 12 µg/mLを超えるとふらつき、眠気、複視が出やすくなります。また、自己誘導能があるため、投与開始数週間で血中濃度が下がることがあり、増量が必要になる場合があります。

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