小児の脚気(ビタミンB1欠乏)について | ゆるっと小児科医ブログ
PR

小児の脚気(ビタミンB1欠乏)について

内分泌代謝

1. はじめに

脚気(かっけ)は主に糖代謝において重要な補酵素として作用するビタミンB1(チアミン)の欠乏により生じ、末梢神経障害、うっ血性心不全と浮腫を3主徴である。

腎疾患や心不全、神経疾患が疑われる場合もあるが、食生活の問診から診断される例もある。

2. 病態

ビタミンB1は経口摂取されると小腸で吸収され、リン酸が結合しチアミン二リン酸となり補酵素活性を示す。糖代謝ではビルビン酸脱水素酵素(PDHC)やα-ケトグルタル酸脱水素酵素(αKGDH)、アミノ酸代謝では分枝鎖ケト酸脱水素酵素の補酵素として働く。ビタミンB1が欠乏しPDHCやαKGDHの酵素反応が阻害されると、ミトコンドリアにおいて、解糖系で生成されたピルビン酸をアセチルCoAに変換しTCA回路へ取り込む段階と、TCA回路内でのαケトグルタル酸からサクシニルCoAへの段階が阻害されATPの産生が低下する。このためエネルギー消費の盛んな心臓や骨格筋、脳や末梢神経が障害され脚気やWernicke脳症を呈すると考えられている。

3. 経口摂取の目安

ビタミンB1の1日摂取必要量の目安は、生後6-11ヶ月では0.3mg、1-2歳では0.4-0.5mgと微量であるが、半減期が10-20日程度のため2-3週間の摂取不足と需要増加で欠乏症状を生じる可能性がある。

精白米やインスタント食品に極端に依存した食事や、アトピー性皮膚炎に対する過度の食事制限が要因となって脚気を発症した症例もある。

4. 治療

成人の軽症例では、ビタミンB1を10-20mg/日、心不全例やWernicke脳症などの重症例では100-300mg/日との報告もある。

ビタミンB1含有総合ビタミン剤のチアミン量は50mgの製剤が多く、25-50mg/日での投与も行われる。

5. 予防

離乳食開始から断乳完了までの水分の摂らせ方や、感染症時の家庭での食事について、乳幼児健診や外来受診の機会を利用して繰り返し指導することが必要である。

コメント

タイトルとURLをコピーしました
google.com, pub-9029171507170633, DIRECT, f08c47fec0942fa0