総論
・乳児期は発達上の変化がめざましく、けいれんが起きやすくなる年齢である。
・脳が未熟であるため、発作は年長児に比べ非典型的である。
・乳児期の主なてんかんには、難治性ではWest症候群、Dravet症候群(乳児重症ミオクロニーてんかん)、他の症候性てんかんがある。良性のものでは、乳児良性部分てんかん、乳児良性ミオクロニーてんかんなどがある。
West症候群
・典型例では、頭部・体幹・四肢が対称的に屈曲する数秒のスパズムが群発(シリーズ形成)する。
・精神運動発達遅滞
・脳波検査:ヒプスアリスミア
・治療:ACTH療法が奏効することもあるが、発作消失は一時的であることが多い。
Dravet症候群
・発熱や入浴によって誘発される。
・頻回に重積発作を起こす極めて難治性のてんかん症候群。
・精神運動発達遅滞をきたすことが多く、一部では遺伝子診断も行われている。
乳児良性部分てんかん
・大半が生後6ヶ月までに発症する。
・意識減損、眼球偏位、チアノーゼ、二次性全般化をきたす。
・重積をきたすことはなく、群発はしやすい。発作間欠期の意識は清明で発達に問題はない。
・カルバマゼピンの少量投与が有効。
乳児期のてんかんとの鑑別疾患
胃食道逆流症
・哺乳後に頭や背中を反らせる。
・無呼吸、一点凝視、四肢のピクつきなどの症状。
・下気道症状を繰り返す
乳児突然危急事態(ALTE)
・無呼吸、チアノーゼ
・緊張低下
・呼吸促迫….など
薬物中毒、薬物誘発性ジストニア
・意識障害
・後弓反張
・斜頸
・両眼上転発作
QT延長症候群
・致死性失神
・発作後の意識回復が早い
・運動歴、家族歴あり
泣き入りひきつけ(憤怒痙攣)
・激しく低休止、息を吐き出した状態より移行する
・チアノーゼ型と蒼白型がある
・鉄欠乏と関連あり
乳児自慰
・会陰部に圧がかかる姿勢をとる
・気をそらすと治る
常同症
・頭をぶつけたり体をゆらしたり舌を出す
・自閉症スペクトラム、Rett症候群など
睡眠時随伴症
・睡眠時徘徊
・夜驚、錯乱など
小児周期性症候群
・周期的なめまい
・嘔吐、頭痛など


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