【小児科医blog:消化器】肥厚性幽門狭窄症について | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog:消化器】肥厚性幽門狭窄症について

医学

C.C (主訴)

生後2〜3週の児を連れた母。児はぐったりとしていて活気不良

「ミルクを飲む度に、噴水のように吐くんです」

「今までは、ミルクを飲んだ後に吐いたりしていませんでした」

「大丈夫なんでしょうか??心配です。」

↓ 上記の主訴で受診した患者さんの鑑別疾患は??

Introduction

今回は、生後2−3週の乳幼児の嘔吐で鑑別疾患として挙げられる、「肥厚性幽門狭窄症」についてまとめていきます。

症候

・出生直後は無症状で、生後2-3週ごろに嘔吐で発症する。1-2週経過するうちに、次第に特徴的な噴水状嘔吐(projectile vomiting)を認めるようになる。

・狭窄部位は幽門のため、原則として吐物に胆汁は含まれない。

・嘔吐により胃が空になり空腹状態が続くため、吐いた直後でも患児はミルクを欲しがる。

・嘔吐が続くと脱水状態となる。

身体所見・検査所見

・触診では、上腹部正中やや右側に主流として触知する。腫瘤は固く、可動性があり、長さ約2cmでオリーブの実様(olive shaped)と表現される。

・哺乳後、胃内圧の上昇にともなって胃の蠕動が亢進し、その様子が左上腹部から右下方に向かう蠕動波として見られることがある。

・ときに黄疸が出現。多くの場合は間接ビリルビン優位で、通過障害が改善すると軽快する。

・HClを含む胃液を嘔吐するため、低Cl代謝性アルカローシスが見られる。

・アルカアローシスを補正するため、H+が細胞外に移動し、交換でK+が細胞内に移動する。また腎尿細管でのH+排泄が阻害され、代わりにK+排泄が増加する。よって、K濃度が低下し、低K血症を起こす。

レントゲン所見

・胃泡が著明に拡張し、一方小腸・結腸ガスは欠如する。

腹部超音波所見

・幽門筋の横断面で、肥厚した幽門筋が低エコー領域としてドーナツ状に描出され(doughnut-sign)、その内側には粘膜が高エコー域として描出される。

・幽門筋厚が3mm以上、長軸方向の長さが14mm以上あれば診断される。

治療

初期輸液

・初期輸液として、血清濃度以上のK(カリウム)を含まない輸液を選択し、利尿が得られたらK 20 mEq/LとなるようにKを含んだ輸液を行います。

・アルカローシスが見られた場合、乳酸を含む輸液製剤(乳酸リンゲル液)は禁忌となります。

外科的加療

・肥厚した幽門部の筋肉を切開し通過をよくする「Ramstedt手術」が行われる。

・尿量を確保し、低Cl性代謝性アシドーシスの補正後に行うべきです。

内科的加療

・硫酸アトロピンを静注、内服する。外科的治療では術後12-24時間後に哺乳が開始されますが、硫酸アトロピンが効果を発現するには数日かかる。

・全身麻酔、手術を回避できる有効な治療法ですが、10-20%程度で不成功となります。そのようnケースでは、入院期間も当然長くなります。

●治療法

用量:アトロピン静注 0.06 g/kg/day 4時間毎で開始

哺乳開始タイミング:アトロピン投与開始の翌日から10-20 ml/回 を投与直後に行う。

ミルク増量判断:噴水様の嘔吐が1日2回以内ならミルクを増量します。

内服スイッチタイミング:哺乳量が150 ml/kg/dayになったら、アトロピン 0.12 g/kg/day (静注の倍量)内服に切り替えます。

退院目安:哺乳が良好であれば退院。2週間毎に3段階で漸減終了する。

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