精巣の発生
・腹腔に存在していた精巣は、胎生8-16週にかけて内鼠径輪のすぐ内側に下降してきます。
・同時に腹膜より憩室様に突出した腹膜鞘状突起と呼ばれる鞘膜腔の形成がありますが、胎生7ヶ月以降急速に陰嚢内まで伸び、精巣も鼠径管から陰嚢底まで下降してきます。
・腹膜鞘状突起は出生前後に近位側が閉鎖しますが、精巣を覆う部分が精巣鞘膜となって残存します。
停留精巣について
上記の精巣発生の中で異常がある場合、停留精巣のような精巣異常をきたします。
総論
・精巣が本来の下降経路の途中(腹腔内・鼡径部・陰嚢上部)で停留し、陰嚢内に下降していない状態を停留精巣と言います。
・精巣の存在部位により、腹腔内精巣、鼠径管内精巣、鼠径管外精巣に分けられます。
・放置すると様々なリスクがあり(下記参照)、正しく診断し小児外科・泌尿器科への紹介が必要。そのため、出生時や健診時に、しっかりと陰部を確認することを忘れない。
・その他の精巣位置異常には、異所性精巣(本来の下降経路から外れた位置に精巣がある)、移動性精巣があります。移動精巣(遊走精巣)は、以前はフォローも治療も不要とされていましたが、成長過程で鼡径部に引き上がって戻らなくなる上昇精巣を来すころがあり、フォローが必要です。
臨床像
・小児泌尿器科疾患の中では頻度は高く、成熟児の2-3%、低出生体重児の約20%に認められるとの報告もあります。
・成長に伴う報告では報告では、新生児期の男児で4.1-6.9%、3ヶ月で1.0-1.6%、1歳時で1.0-1.7%です。生後3ヶ月までに自然に下降することが期待できます。逆にその後は下降してくるケースも少なくなってきます。
・15%は両側性です。
問題点
・精巣形成不全による将来的な不妊
・悪性化(正常精巣の5-10倍)
・精巣捻転の危険性(精巣の固定不良)
画像所見
・超音波検査で見つけやすい。多くは内鼡径輪の近くに存在しますが、腹腔内の観察も必要です。
・停留精巣は対側の精巣より小さいことが多いです。
・またヘルニアの合併についても注意を要します。
・精巣はMRI検査の拡散強調像(DWI)で高信号を呈するので、DWIで観察すると見つけやすいです。
・精巣無発生や消失精巣の可能性もあるため、停留精巣の精査でMRI検査をオーダーした際には精索の有無も確認します。
追記)2023.11.09 ※あいち小児保健医療総合センター泌尿器科の先生より教えていただきました。いつもありがとうございます!
非触知精巣に対するMRIは、感度65% 特異度100%
各国のガイドラインでは、非触知精巣に対する画像検査は推奨されていないようです(どんな結果であれ、手術は回避できないため)
治療
・1歳前後〜2歳頃の精巣固定術が推奨されています。


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