Intoro
・体重増加不良・発育不全(failure to thrive:FTT)とは、一般に成長曲線で見た場合少なくとも2本のパーセンタイル曲線を超えて体重が少ない場合を指します。また現在の体重が正常でも、急激な体重増加不良で2本以上のパーセンタイル曲線を横切っている場合にはも体重増加不良とします。
・基礎疾患を伴う場合は器質性体重増加不良(organic FTT)、基礎疾患を伴わない場合を非器質性体重増加不良(non-organic FTT)と言います。
・まずは、身長・体重を改めて測定、成長曲線の記載を行うことが重要です
・発育不全の子供を見た場合、以下の3つの基準で注意が必要です。
①1回の測定値が小さい
・測定値が標準曲線の3%タイル(-2SD)未満
②肥満度の低下(痩せ)
・肥満度=(実測体重-標準体重)/標準体重×100(%)が-20%未満となる
③以前からの増加率が低下している
・測定値が標準パーセントタイル曲線を2本以上横切るような発育の鈍化がある。
入院適応
以下のようなケースでは、入院を考慮されます。
・親の子育てで不安な点がある場合
・栄養摂取状況を正確に把握する必要がある場合
・外来治療で改善しない場合
・子供の安全が確保できない場合
・重度の基礎疾患や医学的問題がある場合
・重度の低栄養や脱水症がある場合
外来でまずやること
・以下のポイントに気をつけて診察します
①成長曲線を「適切に」記載する
・発育不全については産科からの紹介もありますが、「適切な」身長・体重測定を行い、それを成長曲線に記載することが重要です。
・早産児では基本的に2歳くらいまでは在胎週数で補正した修正月齢で評価
・ターナー症候群、軟骨無形成症、プラダー・ウィリー症候群、ダウン症候群、SGA低身長はそれぞれ成長曲線がある。
②バイタル測定:緊急度評価
・バイタルサインの測定によって、救急疾患を除外します。
・呼吸数、呼吸様式、脈拍数、SpO2を測定して異常があれば即座に対応します。
・一例として、心不全では徐々にバイタルサインが悪化してきます。
③標準体重の60%以下かチェック
・標準体重の60%以下のやせの場合、入院が必要となります。
体格からの鑑別
・摂取カロリー不足となると、まず体重が減少し、その次に身長の伸びが停滞します。
・頭囲に関しては摂取カロリーと関連は少ないので、頭囲増大のチェックは重要です。
頭囲が小さい場合
出生後早期より頭囲が小さい場合、小頭症をきたす基礎疾患や薬物暴露に注意が必要です
・染色体異常
・先天代謝異常
・TORCH症候群
・神経疾患
・胎児アルコール症候群
・頭蓋骨早期癒合症
・体質性小頭症
・長期かつ重度の栄養障害
体重が小さい場合
身長より先に体重が停滞する疾患では、救急疾患が含まれているので要注意です
・心疾患
・呼吸器疾患
・消化器疾患
・栄養摂取不足
身長も体重も小さい場合
・長期の栄養障害
・GH分泌不全性低身長
症状・検査異常からの鑑別
・発育不全では、まず哺乳量や離乳食の摂取量など経口カロリー摂取不足を考える必要があります。しかし、同時に重大な器質的疾患についても診察を行います。
腎泌尿器系
尿検査で異常がある場合に疑う
・尿細管アシドーシス
・糸球体腎炎
・先天性腎尿路奇形(CAKUT)
消化器系
嘔吐、下痢、腹部膨満、腹痛がある場合疑う
・肥厚性幽門狭窄
・腸回転異常症
・胃軸捻転
・胃食道逆流
・消化管アレルギー
・炎症性腸疾患
・Hirschsprung病
・寄生虫症
脳神経系
嘔吐、意識障害、大泉門膨隆、姿勢反射・筋緊張・腱反射などの異常がある場合
・頭蓋内圧亢進症
・神経筋疾患(脳性麻痺、水頭症、ミオパチー)
肝胆膵系
黄疸、肝腫大がある場合
・肝炎
・胆道閉鎖症
心血管系
頻脈、多呼吸、心雑音、チアノーゼ、ばち指がある場合
・先天性心疾患
・心筋炎/心筋症→鬱血性心不全
呼吸器系
咳嗽、喘鳴がある場合に疑う
・結核
免疫系
易感染の場合
・HIV感染症
・先天性免疫不全症
そのほか
経口カロリー摂取増加などの食事療法で改善がなく、局所所見が乏しい場合
・代謝異常症
・甲状腺機能異常
・糖尿病
・悪性腫瘍
検査
・病歴や身体診察で原因がはっきりしない場合、検査によって異常がないか確認する。
・しかし、何でもすぐに検査を行うのではなく、急性期疾患が否定的であれば、十分な栄養摂取を2-3週試みて改善しない場合での検査、ということでも良い。
・原因不明で検査する場合、以下の検査を行う
血液検査:血算、肝機能、腎機能、電解質、アルブミン、CRP
尿検査:定性(pHあり)、沈渣
・追加で検査するとしたら、
代謝異常症:乳酸・アンモニア・血液ガス
腫瘤・尿路奇形・尿細管アシドーシス:腹部超音波
呼吸器/心疾患:胸部Xp


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