総論
・肝芽腫(Hepatoblastoma)は、小児における最も一般的な原発性肝臓悪性腫瘍であり、主に5歳以下の子どもに発症します。
・この疾患は胎児期や新生児期の未熟な肝細胞が異常増殖することで発生すると考えられています。
・近年の研究では、遺伝的要因や環境要因が発症に関与している可能性が示唆されています。
参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32383794
診断方法
画像診断と病理検査
- 画像診断:超音波検査(US)、CTスキャン、MRIなどが用いられます。これらは腫瘍の大きさや位置、周囲組織への浸潤を評価するために重要です。
- 病理検査:確定診断には生検が必要であり、組織学的に肝芽腫の特徴を確認します。
血液検査
アルファフェトプロテイン(AFP)の上昇は、肝芽腫の重要なバイオマーカーとして知られています。ただし、AFP値が低い場合でも診断を否定できないため注意が必要です。
治療法
化学療法
・化学療法は肝芽腫治療の基本であり、シスプラチンを中心としたレジメンが一般的です。
・高リスク群では、より強力な多剤併用療法が行われることがあります。
手術療法
腫瘍の完全切除は治癒を目指す上で不可欠です。PRETEXT分類を用いて手術可能性を評価し、切除困難な場合には化学療法後に再評価します。
新しい治療法
- 自家造血幹細胞移植(HSCT):再発または難治性肝芽腫に対して、有望な治療選択肢として報告されています。
参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38830616
- 免疫療法や分子標的薬など、新しい治療アプローチも研究されています。
予後と関連因子
年齢と予後
・診断時年齢は重要な予後因子であり、高齢で診断された患者ではイベントリスクが高いことが示されています。
合併症の影響
・先天性心疾患(CHD)を持つ患者では、生存率がやや低下する傾向があります。
・ただし、適切な心臓外科的介入と化学療法によって良好な結果が得られることもあります。
再発リスク・管理
・再発は特に高リスク群で頻繁に見られます。PRETEXT IV分類や転移性疾患などが独立したリスク因子として挙げられています。
・再発時には外科的切除と化学療法を組み合わせた治療が推奨されます。
リスク因子
肝芽腫の好発因子(リスク因子)は以下のように分類されます。
遺伝的要因
- ベックウィズ・ヴィーデマン症候群(Beckwith-Wiedemann Syndrome)
先天的な腹壁異常や大舌(舌が大きい)を特徴とする遺伝性疾患で、肝芽腫の発症リスクが高いことが知られています。 - 家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)
大腸に多数のポリープができる遺伝性疾患で、APC遺伝子の変異が関与しており、肝芽腫のリスクを増加させます。 - 片側過形成
体の片側のみが異常に成長する症候群で、肝芽腫の発症と関連があります。
出生時の要因
- 低出生体重児
出生体重が1,500g未満の新生児では、標準体重で生まれた新生児に比べて肝芽腫の発症リスクが高いとされています。 - 早産
低出生体重児と同様に、早産児も肝芽腫の発症リスクが高まる可能性があります。
その他の要因
- 遺伝子変異
肝芽腫では特定の遺伝子変異(例:Wnt経路に関連するCTNNB1遺伝子やAPC遺伝子)が高頻度で見られることが報告されています。このような遺伝的要因は、細胞増殖や分化の制御異常を引き起こします。 - エピジェネティクス(DNAメチル化)
最近の研究では、肝芽腫における特定遺伝子領域の低メチル化やASCL2遺伝子の過剰発現が発症に関与していることが示されています。


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