脳腫瘍は小児の固形腫瘍の中で最も多い腫瘍です。
テント下に発生する例が多いのが特徴です。
症状
・小児の脳腫瘍の症状は多彩であり、以下のようなものがある。
頭痛
・脳腫瘍患者の約3分の1に認める、最も多い症状
・頭痛のみではなく、他の神経学的症状(意識障害、歩行異常、脳神経麻痺)などを伴う場合がほとんど。
頭蓋内圧亢進症状
・小児が悪心嘔吐、歩行時のふらつき、頭痛の3徴を呈した時、また特に進行性の場合は脳腫瘍による脳脊髄液腔の閉塞(閉塞性水頭症)を考慮する必要がある。
・嘔吐はしばしば早朝に起こる。
・緊急性が高い症状であり、この3徴があれば頭部CTの適応となる。
視機能・眼球運動異常
・視神経やトルコ鞍上部に発生する腫瘍hが視力、視野を障害する。
・眼球運動異常は、脳幹部・松果体・小脳腫瘍で生じることが多い。
・上方注視麻痺、偽Argyll-Robertson瞳孔、上眼瞼の後退(Collier’s sign)、正面眼位における下向き眼位(落陽現象)からなるParinaud症候群は、中脳背側の腫瘍に特徴的である。
内分泌異常
・頻度の高いものは以下の特徴がある。主に視床下部-下垂体系に発生する腫瘍(下垂体腺腫、胚細胞腫瘍、低悪性度グリオーマ)によって生じる。
思春期異常:早発、遅延
食欲不振:間脳症候群
多飲多尿:尿崩症
けいれん・精神症状
・大脳皮質に発生する脳腫瘍の初発症状として、痙攣を認める。しかし、大多数のけいれんの原因は脳腫瘍以外の疾患が原因であることにも注意。
・基底核、中脳、白質深部に発生する胚細胞腫瘍や低悪性度グリオーマによって、チック、運動障害、学習障害が起こる場合もある。
年少児の場合の症状
・年少児の場合、通常の小児脳腫瘍と症状が少し異なる。これは、年少児で自覚症状が上手く保護者に伝えられないことも理由の一つである。
・頻度の高い症状として、頭囲拡大、不機嫌、不活発が挙げられる。
・体重増加不良は間脳症候群によるもので、ほとんどの場合、その原因は視床下部-視交叉に発生する低悪性度グリオーマである。
・利き手が早期に決まったり変化する場合、上位運動ニューロン異常が原因であり、大脳皮質や脊髄の腫瘍が原因となることがある。
検査
神経学的診察
・評価項目として、意識状態、脳神経、運動神経、感覚神経、腱反射、協調運動、歩行は確認しておく。
・また、全身の皮膚診察も神経線維腫症や結節性硬化症の診断時には必要。
画像検査
・単純CTでは、脳幹部、小脳、トルコ鞍上部の腫瘍、白質の浸潤性腫瘍は見逃されやすいことは要注意の意識をもっておく。
・CT上異常がなくても、脳腫瘍・脊髄腫瘍の否定ができない場合は、単純およびガドリニウム造影MRI検査を行う。
確定病理診断
・原発性脳腫瘍が疑われた場合、原則として確定診断のために脳神経外科手術が必要。
・腫瘍の種類や部位、症状などによって、一期的脳腫瘍摘出術を行うか、生検術を行うかは総合的に判断する。
・開頭術以外にも、水頭症治療のための第3脳室開窓術と同時に行う内視鏡的生検や、定位的腫瘍生検という選択肢もある。
主要な脳・脊髄腫瘍の鑑別
原発性脳腫瘍
低悪性度神経膠腫
発生部位:小脳、視路、脳幹、大脳、脊髄
好発年齢:乳児-学童期
特徴:局在性
高悪性度神経膠腫
発生部位:大脳中心部、脳幹(橋)
好発年齢:幼児-学童期
特徴:びまん性進展
髄芽腫
発生部位:小脳(正中部)
好発年齢:乳児-思春期
AT/RT
発生部位:大脳、小脳
好発年齢:乳児-幼児
上衣腫
発生部位:小脳、大脳、脊髄
好発年齢:幼児-学童期
胚細胞腫瘍
発生部位:松果体、鞍上部、大脳基底核
好発年齢:学童期-思春期
特徴:HCGおよびAFP上昇
頭蓋咽頭腫
発生部位:下垂体、鞍上部
好発年齢:学童期-思春期
脈絡叢腫瘍
発生部位:側脳室、他脳室内
好発年齢:乳児-幼児
原発性腫瘍以外の脳腫瘍
転移性腫瘍
発生部位:大脳、脊髄
好発年齢:乳児-思春期
特徴:白血病、神経芽腫など
脳膿瘍
発生部位:大脳
好発年齢:乳児-思春期
特徴:免疫不全、心疾患、耳鼻科疾患
LCH
発生部位:下垂体、小脳
好発年齢:幼児-学童期
特徴:尿崩症など
変性疾患
発生部位:大脳白質
好発年齢:学童期-思春期
特徴:時間空間的多発
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