原因
・頻度として、開腹手術既往のある児の癒着性イレウスが多い(しかし、必ず開腹手術既往のある訳ではなく、原因不明の癒着性イレウス症例もある)。
・結腸捻転、盲腸捻転(重症心身障がい児に多い)、鼡径ヘルニア嵌頓、内ヘルニア(腸間膜裂孔ヘルニア、傍十二指腸ヘルニアなど)、腫瘍、腸重積などの外科的疾患が原因となることが多い。
・また、腹膜炎や腸炎罹患後、甲状腺機能低下症などにより腸管運動が低下する麻痺性イレウスも原因となる。
診断
問診・診察
・既往歴の把握が重要。腹部手術の既往の有無、重症心身障害児かどうかは診察時に把握しておく必要があり。
・機械性イレウスは教科書的には聴診での金属音が特徴的とされるが、絞扼した場合は麻痺性イレウスと同様の病態も混じり、蠕動音は減弱する。
画像検査
・レントゲン検査では、二ボー・小腸ガスを認める場合があり(もちろん、急性腸炎などで腸管運動が制限された場合も認められる所見であり、「二ボー・小腸ガス=腸閉塞」ではない)。
・腹部超音波検査(US)や造影CT検査で、口径差のある腸管が描出されれば腸閉塞を疑う。条件が良ければUSで閉塞部位を描出することも可能。CTに関しては、単純CTで得られる情報量は少なく、撮影するならば造影CTを優先する。
・また、以前癒着性腸閉塞の画像所見についてまとめたので、下記↓参照。
絞扼性イレウスを疑う症状
・腸閉塞を疑う場合に重要なのは、それが「絞扼性」腸閉塞なのかどうか。
・血流障害を伴う腸閉塞が絞扼性腸閉塞であり、以下の点を意識して診察する。
①腹部USで腹水貯留を認める(たとえ少量でも有意な所見)
②造影CT検査での腸管造影不良域を認める
③血液検査で、CK、CRP、ASTいずれかの上昇を認める
治療(絞扼性除く)
・絞扼性イレウスの場合は外科的治療が最優先。それ以外、麻痺性イレウスの場合は減圧や鎮痛での治療を行う。
胃管(NG-tube)による減圧
・なるべく太いチューブを使用する。
・手技的に簡便で行いやすい。
イレウス管(long-tube)による治療
・透視下にイレウス管を挿入する。挿入時に苦痛を伴うため、まずは胃管の治療を行う。
・奏功する症例では減圧により腸管浮腫や虚血が改善し、閉塞が解除される。
・腹部USでclosed loop型(捻転のように2ヶ所で閉塞)が疑われる場合、イレウス管は無効なことが多い。
・たとえ絞扼でなくても、4-5日の治療で奏功しない場合は外科的加療も考慮。
適応
・絞扼所見がない場合
・胃管で減圧できない場合
・イレウス管の届く長さでの閉塞が疑われる場合
輸液
・絶食、輸液の長期化を考慮し、末梢静脈高カロリー輸液を早期から行っても良い。
・胃管、イレウス管からの排液が多い場合、大量の電解質が喪失するため、血液検査でのフォローは細かく行い、輸液組成を調整する。
大建中湯
・しばしば奏功するため行うう場合もある。
・嘔吐やチューブ排液が多い場合は、注腸投与(経口投与と同僚を微温湯に溶解)も可能
用量
・0.3 g/kg/日 経口or経管投与
鎮痛
・通常、アセトアミノフェンやNSAIDsでの鎮痛は有効でない。
・腸管蠕動亢進による痛みに対してはブチルスコポラミン臭化物(ブスコパン)、無効であれば塩酸ペンタゾシン(ソセゴン)を使用する。しかし、鎮痛薬の使用が頻回になる場合は手術を考慮する必要性がある。
ブチルスコポラミン臭化物(ブスコパン)
・0.5 mg/kg, 静注(10分程度)
塩酸ペンタゾシン(ソセゴン)
・0.3-0.6 mg/kg, 点滴静注(30分程度で)
麻痺性イレウスに対して
・麻痺性イレウスに対しては、パンテノール(パントール)が有効な場合がある。
・しかし、漫然と使用するのではなく、腸管麻痺を起こす原因をさぐることがもっとも重要
パンテノール(パントール)
・2 mg/kg/日, 持続静注
・麻痺性イレウスの原因が判明したあとに残存する場合のみ適応
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