【小児科医blog:血液・腫瘍】小児がん腫瘍マーカーについて | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog:血液・腫瘍】小児がん腫瘍マーカーについて

検査

総論

・腫瘍には特徴的な物質を産生するものがあり、その物質の内主に体液(血液・尿・組織検体)から採取でき、測定可能なものが「腫瘍マーカー」と言われる

・術前診断や治療反応性、あるいは治療終了後の再発の指標などに有用である。

・悪性腫瘍から特異的に産生されるものが多く、良性腫瘍や正常細胞からは通常産生されない物質であればマーカーとしての有用性がある。

代表的な腫瘍マーカー

α-フェトプロテイン(AFP)

基準値:10 ng/mL以下(1歳以下乳幼児は日齢により基準異なる)

高値をとる疾患:肝芽腫、卵黄嚢腫瘍、一部の腎芽腫(Wilms腫瘍)、膵芽腫

・AFPは分子量約7万の糖蛋白で、1分子あたり1個のアスパラギン結合型糖鎖を有している。

・半減期:5-7日

・胎児期に肝臓、卵黄嚢、腸管で産生され、出生時には50,000-500,000ng/mLの生理的高値

・出生後には産生が停止し、生後10ヶ月までの間に成人における正常値の範囲にまで減衰する。そのため、生後1歳以下の乳幼児は基準値が異なる

バニリルマンデル酸(VMA)、ホモバニリン酸(HVA)

基準値:VMA 6-11 μg/mg Cre

    HVA 11-20 μg/mg Cre

高値をとる疾患:神経芽腫、褐色細胞腫

・バニリルマンデル酸(VMA: vanillylmandelic acid)はアドレナリンおよびノルアドレナリンの最終代謝産物、ホモバニリン酸(HVA: homovanillic acid)はドパミンの最終代謝産物であり、すべて遊離型で尿中へ排泄される

・血中カテコラミンに比べて尿中VMA, HVAの値は安定しており、カテコラミンの代謝の指標として用いられる。

・腫瘍マーカーとしてはクロム親和性の細胞腫、特に神経芽腫で有用。

ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)

基準値:0.7 mIU/mL以下

高値をとる疾患:胚細胞腫瘍(絨毛癌、未文化胚細胞腫、セミノーマ、奇形腫など)、性ホルモン分泌を伴う肝芽腫

・ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)は237のアミノ酸からなる36.7kDaの糖蛋白であり、αサブユニットとβサブユニットからなるヘテロダイマーである。

・胎盤絨毛細胞から分泌され、通常、妊娠によって大量に分泌されるので妊娠の診断や絨毛性疾患の診断に用いられる。

CA19-9

基準値:37.0 IU/mL以下

疾患:胚細胞腫瘍の未熟奇形腫

・結腸癌細胞株を免疫抗原として作製されたモノクローナル抗体NS19-9によって認識される血液型関連糖鎖抗原である。

・成人では膵癌、胆道癌に高値を示す。

CA125

基準値:35.0 IU/mL以下

疾患:胚細胞腫瘍の未熟奇形腫

・卵巣漿液性嚢胞腺癌の腹水培養細胞を免疫抗原として作製されたモノクローナル抗体OC125によって認識される抗原である

・成人では卵巣癌、子宮体部癌、肝細胞癌、胆道癌、膵臓癌のほか、子宮内膜症などで上昇する

神経特異エノラーゼ(NSE)

基準値:10 ng/mL以下

疾患:神経芽腫、神経内分泌腫瘍(Ewing肉腫ファミリー:ESFT)、褐色細胞腫、腎芽腫、膵solid pseudopapillary tumorなど

・NSEはγ-サブユニットを含むアイソザイムである。


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