総論
・魚類アレルギーは乳幼児期に発症する即時型症状、もしくは成人における職業性暴露による即時型症状や接触蕁麻疹で発症することが多い。
・乳幼児期発症の即時型の場合、一定数は耐性獲得する可能性が高い。
例)魚(タラ)アレルギーの寛解率は小学校入学前で3.4%、思春期で45%
Xepapadaki P et al. J Allergy Clin Ummunol Pract. 2021, 9:3147-56
・有病率は人口全体で1%以下、小児で0.2-5.6%と言われている。
・わが国のように海に面した魚の消費量の多い地域で有病率が高い傾向にある。
コンポーネント
パルプアルブミン
・脊椎動物特有の筋形質タンパク質(水溶性)であるパルプアルブミンが主要なアレルゲン
・熱および消化酵素に耐性を有するが、高温・高圧処理により低アレルゲン化することが知られている。
・パルプアルブミンのアミノ酸配列の相同性は、魚類間で50-80%と高く、多くの魚で交差抗原性が認められる。
実際魚アレルギーの患者の約50%が他の魚にアレルギー症状を経験している。
・魚肉中のパルプアルブミン含有量は魚の種類によって異なる。
・α-パルプアルブミンは軟骨魚類に多く含まれ、β-パルプアルブミンは硬骨魚類に多く含まれる。
魚別のパルプアルブミン
高(5<mg/g)キンメダイ、アカカマス、イサキ、マダイ、アカムツ、マアジ、トビウオ
中(1-5mg/g)シログチ、ニジマス、マイワシ、サンマ、サバ、シロサケ
低(<1mg/g)ギンサケ、カツオ、メカジキ、キハダ、メバチ、マグロ
コラーゲン
また、コラーゲンも魚類アレルゲンとして重要である。
コラーゲンは不溶性であるため、魚のすり身作製の際に魚肉を水にさらした工程でも残存する。魚種間では交差抗原性を示すが、哺乳類や無脊椎動物(甲殻類、軟体類)とは交差抗原性はない。
エノラーゼ・アルドラーゼ
さらに、エノラーゼ、アルドラーゼも魚類のアレルゲンとして知られる。
どのアレルゲンが魚アレルギー症状の原因となっているかは、どのくらいの種類の魚で感作を認めるかで判断できる。
特異的IgE抗体での感作から推測する原因アレルゲンコンポーネント
①多数の魚に感作を認めるタイプ
・β-パルプアルブミンやエノラーゼ、アルドラーゼの交差反応性に基づき全ての魚類に反応する。
②単一魚類に感作を認めるタイプ
・β-パルプアルブミンの特定のエピトープに基づき一つの魚類に反応する。
③少数の魚類に監査を認めるタイプ
・β-パルプアルブミンではなく、エノラーゼやアルドラーゼに基づく特定の魚類に反応する。
診断手順
詳細な問診
・何の魚か(赤身魚or白身魚)
・調理方法(生、焼き魚、煮魚)
・どのくらいの量を食べて、いつ・どんな症状が出たか
・これまでの魚の摂取歴
・魚だし、ツナ缶での症状の有無
ヒスタミン中毒とアニサキスアレルギーの可能性を検討
・魚、アニサキスの特異的IgE抗体の測定を行う。
ヒスタミン中毒
・魚は鮮度が低下すると、腐敗細菌が発生する。この腐敗細菌と腸内細菌によりヒスチジン脱水素酵素が作られると、ヒスタミンが産生される。
・ヒスタミンはアレルギー症状を引き起こし、ヒスタミン中毒となる。
・摂取直後から嘔気や顔面紅潮、蕁麻疹などの症状が出現する。
・ヒスタミン中毒は、以前に食べて症状のなかったケース、魚特異的IgE抗体価が陰性の場合に疑われる。
アニサキスアレルギー
・アニサキスが寄生しやすい魚種(サバ、アジ、カツオ、イワシ、ブリ、ホッケなど)の摂取での症状の既往があると疑われる。
・アニサキス特異的IgE抗体
クラス4以上では95.2%がアニサキスアレルギー
クラス1,2 では無症状が66.7%
Caballero ML et al. Int Arch Allergy Immunol 2013; 162;39-44
・成人での頻度と比べ、小児では稀である。
・魚の生食後に症状をきたすことが多い。
確定診断
食物経口負荷試験(OFC)を実施
負荷量:10g(少量)から開始。その後30g、60gと増やしていく。
ツナ缶OFC後の診察
①出汁(鰹ぶしなど)、練り物(かまぼこ・ちくわなど)から摂取を開始する。
②ツナ缶:少量摂取→OFC
③パルプアルブミンの少ない魚(マグロ・カツオ・ギンサケetc)のOFCから開始。鮭フレークなどが継続しやすいか?
参考文献
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