総論
・先天性甲状腺機能低下症(congenital hypothyroidism: CH)は、濾紙血TSH測定による新生児マススクリーニングが1979年より実施されることで診断機会が増えた疾患である。
・CHは胎生期または周産期に生じた甲状腺の形態または機能異常による先天的な甲状腺ホルモン分泌不全の総称。
・甲状腺ホルモンは胎児期、乳児早期の神経発達に必須のホルモンであり、このホルモンの作用不足により神経細胞の障害を引き起こし、重症な場合は精神運動発達の遅れを来す。
・疫学や、治療開始基準、治療内容については過去の投稿にまとめてあります。
↓
今回は、治療に実際に至る前の段階、どのように診断を行うかをまとめていきます。
問診
・家系内の甲状腺疾患(特に甲状腺疾患の既往)
・抗甲状腺薬やその他の内服(ヨウ化カリウムやアミオダロンなど)状況
・ヨード過剰(妊娠前の子宮卵管造影の既往、妊娠後期または出産後のポピドンヨードうがい薬使用の有無。昆布だしや昆布加工食品の使用頻度)
→ヨード過剰の場合、一過性の甲状腺機能低下症の場合もあり
診察所見
・遷延性黄疸
・四肢冷感
・不活発
・甲状腺以外の合併奇形(とくに先天性心疾患、男児の腎泌尿器系の異常が多い)
・Down症候群などの先天奇形症候群
・便秘
・臍ヘルニア
・体重増加不良
・皮膚乾燥
・巨舌
・嗄声
・浮腫
・甲状腺腫
検査項目
必須項目
・甲状腺機能検査(TSH, FT4, FT3)
・サイログロブリン(Tg)
・両膝正面X線(大腿骨遠位骨端核の確認)
・甲状腺超音波検査
・尿中総ヨウ素
必要に応じて
・母体甲状腺機能検査、母体TSH受容体抗体
・甲状腺関連抗体、TSH受容体抗体(TRAb)または阻害型TSH受容体抗体(TSBAb)
・123I 甲状腺シンチ、ヨウ素摂取率、パークロレイト放出試験
・腹部超音波検査
・遺伝子検査(保険適用外)
鑑別疾患
外的要因
・ヨード過剰/不足(経胎盤移行またはヨード暴露)
・抗甲状腺薬の経胎盤移行/母乳からの移行
・阻害型TSH受容体抗体の経胎盤移行
内的要因
・TSH不応症による偽性副甲状腺機能低下症→Intact PTH上昇など
・ホルモン抵抗性を伴った先端巨大症acrodystosis
・巨大な肝血管腫→腹部超音波検査



コメント