いわゆる「夏風邪」の小児の代表格、ヘルパンギーナが2023年夏に大流行しています…。
どこの小児科もヘルパンギーナが大暴れしており、医療ひっ迫状態となっています。
このやっかいな疾患について、今回はまとめていきます。
総論
・夏季に乳幼児に流行し、口腔粘膜にのみ水疱やアフタをきたす感染症。
・コクサッキーウイルスA群が原因であることが多い。
・多くは予後良好な疾患である。しかし、髄膜炎・熱性けいれんなど合併することがあるので注意。
・幼児におけるエンテロウイルス感染による急性弛緩性麻痺症が報告されている。
・口腔内の水疱、アフタは疼痛を伴うことが多く、哺乳不良や食欲低下による脱水症に注意が必要。
エンテロウイルスについて
・遺伝的類似性に基づいて、4つの種(A,B,C.D)に分類されています。
・ピコルナウイルス科のRNAウイルスです。
・急性期と回復期の血清を比較して、4倍以上の中和抗体価の上昇があればウイルス感染が証明されます。
・糞口感染、呼吸器を介した飛沫感染、接触感染で拡がります。
・環境表面で生存できるため、媒介物から伝播したり、汚染された水や食品から伝播することもあります。
・呼吸器からのウイルス排泄は通常1-3週間以内です。不顕性感染者(症状のない感染者)からもウイルスが排泄されます。
・潜伏期間は通常3-6日です。
エンテロウイルスの予防法は?
・手指衛生(特におむつ交換後)、呼吸器衛生(咳やくしゃみの際には鼻や口を覆う、ティッシュを使用しごみ箱に捨てる、ティッシュに触れた後は手を洗う)が家庭内や施設内での感染予防には最も重要。
・また汚染された用具を避けること、家具の表面を消毒することも重要です。
ヘルパンギーナの症状
・年長児では咽頭痛の訴えが多いです。
・年少児では咽頭痛の結果として、流涎や食欲低下を伴ってきます。
・ヘルパンギーナは高熱を伴うことが多いです。
・年長児では頭痛、年少児では熱性けいれんの合併も多いです。
・エンテロウイルスは腸管向性のウイルスであり、胃腸炎のような下痢・嘔吐症状を伴うこともあります。
手足口病
・手足口病も、実はヘルパンギーナと同じ原因ウイルスがあります。
・コクサッキーウイルスA群(6型、10型, 16型)、エンテロウイルス71型が主な原因ウイルスです。
・こちらも同じウイルスが原因となるので夏季に流行します。
・ヘルパンギーナとの違いとしては、口腔内だけでなく、その名の通り、手足にも水疱疹が出現します
・また、四肢末端の他にも、肘・膝・臀部などにも水疱を形成します。かゆみを伴わないことも特徴の一つです。
・水疱が数ミリ大の楕円形で、周囲に赤みを帯びるのが特徴的です。口腔内では潰瘍化することもあります。
・水疱は瘢痕を残さず自然治癒します。
手足口病とヘルパンギーナの違い
・ヘルパンギーナでは初発時に高熱がみられるのに対して、手足口病では発熱がみられないことも多いです。
・また、手足口病では口腔内の水疱がヘルパンギーナよりも前方(頬粘膜、舌、軟口蓋)にみられ、手や足にも水疱がみられます。ヘルパンギーナは口腔内でも後方(軟口蓋、口蓋弓など)に水疱+アフタが認められます。
・とはいえ、非常に似た疾患です。ヘルパンギーナと診断した後に手足に水疱が出て、のちに手足口病と診断されることも珍しくありません。


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