【小児科医blog:精神, 栄養, 電解質, PICU】神経性やせ症(Anorexia nervosa:AN)について | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog:精神, 栄養, 電解質, PICU】神経性やせ症(Anorexia nervosa:AN)について

精神科

臨床的特徴

神経・精神

症状

・摂食行動の異常(摂食量低下、食物のこだわり、食事時間の延長、食物破棄、食べさせ行為等)

・体重増加の恐怖

・ボディイメージの障害

・過活動

・認知機能障害

・抑うつ、不安

・強迫症、焦燥

・希死念慮、無気力

検査

・頭部CT、MRIで脳実質容積低下

循環器

症状

・低血圧

・徐脈

・不整脈

・浮腫

・起立性低血圧

・心筋症

・心不全

・三尖弁逸脱

検査

・超音波検査:心筋量低下、心嚢液貯留、EF低下

・心電図:低電位、QTc延長

呼吸器

症状

・気胸

・縦隔気腫

・誤嚥性肺炎

検査

・呼吸機能検査:閉塞性パターン

消化器

・腹痛、嘔気嘔吐

・腹部膨満感

・便秘

・胃排出障害

・胃十二指腸潰瘍

・SMA症候群

・下痢(再栄養)

・機能性消化管障害

・肝機能障害

・膵炎

・唾液腺腫脹(反復嘔吐)

検査

・血液:AST↑、ALT↑、AMY↑

・腹部Xp:胃拡張、便塊貯留

・消化管造影・エコー:十二指腸でのto and fro サイン

内分泌・代謝

症状

・無月経、性腺機能低下

・低体温

・成長障害

・高脂血症

・低血糖

・不整脈(電解質異常)

検査

・血液:E2↓、LH↓、FSH↓、fT3↓、fT4↓、コルチゾール↑、GH↑、IGF-1 ↑、K↓(反復嘔吐、再栄養時)

血液

症状

・疲労

・立ちくらみ

検査

・血液:Hb↓、WBC(特に好中球)↓、Plt↓

腎・泌尿器

症状

・腎機能障害(乏尿は認めない)

・濃縮力障害

検査

・血液:BUN↑、Cre↑、Na↓、K↓、P↓

筋骨格・身体

症状

・倦怠感、易疲労性

・低体重

・体脂肪↓

・易骨折性

検査

・X線・骨密度検査:骨塩量↓、骨密度↓

その他

症状

・皮膚乾燥

・産毛密生

・う歯(嘔吐反復時)

・浮腫(再栄養)

・はきだこ

検査

・血液:TP↓、Alb↓、Rapid turnover protaing↓

Refeeding症候群(RFS)

・ANの患者に栄養を与えていく際はRefeeding症候群に注意が必要

・RFSは重度の栄養障害で異化が亢進している患者における、栄養投与後に生じる生命を脅かす代謝性合併症とされており、慢性疾患患者でより発生頻度が高い。

・Naおよび体液の貯留と臓器障害を伴う電解質異常が特徴とされる
・Vit.B1欠乏が臨床像に影響を与えることもある

RFSの病態

・異化(絶食/ストレス/炎症など)が起きているときには、細胞内イオン(K/P/Mg)やNa、微量元素などが失われていく。

・栄養療法が始まるグルコース血液中に増えていき、インスリン分泌が刺激される。

 →そしてグルコースと電解質の細胞内移動/腎排泄の減少によるNaと水の保持が起きる。
 →さらに低P血症・低K血症・低Mg血症と細胞外液量の過多が生じる。

・また解糖系やTCA回路に必要なチアミンは、飢餓状態では貯蔵量が少なく、糖代謝が促進されることで急性欠乏症に陥る可能性がある。結果的に乳酸が生成されてグルコース代謝が損なわれ、乳酸アシドーシスが発生するリスクもある。

・重症患者で高血糖が起きると、superoxideの過剰産生が誘発される可能性もあり、心臓・呼吸器・血液・肝臓・神経筋系に悪影響及ぼす場合もある。

再栄養療法

・Refeeding症候群の予防のため、栄養療法は少ない栄養量から開始し、徐々に増量していきます。

軽度or中等度のやせ(標準体重の70%以上)

・1400-1800 kcal/dayの栄養量で開始

・1日おきに200-400 kcal/dayずつ増量

・1-2kg/weekの体重増加を目標とする

重度のやせ(標準体重の70%未満)

・1000-1200 kcal/day(or 20-25 kcal/kg/day)の栄養量で開始

・1日おきに200 kcal/dayずつ増量

・1 kg/weekの体重増加を目標

・RFSの症状として浮腫や腹水を認める場合もあるため、想定以上に体重増加がある場合は注意が必要。

入院加療の適応基準

以下の1つ以上あれば入院適応あり

・標準体重の75%以下

・脱水

・電解質異常(K, Na, P↓)

・心電図異常(QTc延長、著明な徐脈)

・身体的な不安定

  徐脈(日中HR<50, 夜間HR<45)

  低血圧(90/45mmHg)

  低体温(BT<35.6度)

 起立時の心拍数20bpm以上の増加

  起立時の血圧の低下(収縮期>20, 拡張期>10)

・成長障害

・外来診療での治療抵抗性

・急激な食事の拒否

・コントロールできない代償行動(反復嘔吐、排出行為)

・重度な身体的合併症(失神、痙攣、心不全、膵炎など)

・重度な精神科的併存症(抑うつ、自殺企図、強迫症など)

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