総論
・アニサキスアレルギーは魚介類の生食が多い日本で数多く報告されるアレルギー疾患である
・海産魚介類を摂取後に蕁麻疹、血管性浮腫やアナフィラキシーが生じ、かつその魚介類への感作が認められない場合、海産魚介類の内部に寄生していたアニサキスの虫体あるいはその成分に対する即時型アレルギー反応を起こしていた可能性がある。
疫学
・日本は魚介類の摂取が多い国ではあるが、実は2021年までアニサキスアレルギーは保険病名として登録されていなかった。そのため全国調査は少ない。
・初診時の病歴から魚介類摂取による食物アレルギーが疑われた成人症例の多くの割合を、アニサキスアレルギーが占めている。
アニサキスについて
・アニサキス(Anisakis simplex)は、回虫目に属する寄生虫である。
アニサキスのライフサイクル
・成虫はイルカやクジラなど海洋哺乳類の胃内に生息する。メスが産んだ卵が、その哺乳類の糞便中に排泄され、水中で孵化して幼虫となる。
・幼虫は、オキアミ等の甲殻類(第1中間宿主)に食べられ、それらを捕食した魚類およびイカなど(第2中間宿主)の腹腔内で成長する。
・これら中間宿主を捕食した海洋哺乳類が最終宿主として、アニサキスが寄生する。
・ヒトは、第二中間宿主である魚類やイカを食べることで感染するが、一般に寄生虫は人間の腸内ではそれ以上増殖しない。
症状
・魚介類の摂取から15分〜12時間後にアレルギー症状(蕁麻疹、血管性浮腫、紅斑、気道症状、アナフィラキシー)に加えて、消化器症状(上腹部痛、嘔気嘔吐、下痢など)が見られる。
・症状のみでアニサキスアレルギーの診断は困難なため、詳細な病歴聴取が重要
検査・診断
・魚介類の摂取と症状発現のタイミングからアニサキスアレルギーを疑う。
・生食がほとんどではあるが、加熱調理した魚介類の摂取でも生じうることに注意
・血中アニサキス特異的IgE抗体抗体価の上昇が起こるが、そもそも日本人は魚介類の生食の頻度が多く、感作はあるがアレルギーまで発症していない健常例もある。そのため偽陽性には要注意であり、「IgE抗体価が高い=アニサキスアレルギー」ではない。
・特異的IgE抗体検査の有用性としては、アニサキスの抗体価陽性を信頼するというよりは、アレルギーの原因と疑われる魚介類の特異的IgE抗体価陰性であることの方が重要である。
・アニサキスのアレルギーコンポ−ネントは不明である。
消化管アニサキス症
・アニサキスの寄生による局所的症状は寄生した部位により名称が異なる。胃アニサキス症、腸アニサキス症、消化管外アニサキス症などをまとめて消化管アニサキス症と総称する。
・頻度の高い「胃アニサキス症」の急性型では、経口摂取された幼虫が胃粘膜に刺入することにより腹痛が引き起こされると考えられてきたが、高い頻度で皮膚・粘膜症状や呼吸器症状を伴うことも知られている。
治療
・急性期には、重症度に応じて抗ヒスタミン薬、アドレナリン筋注などの治療を行う。
・そもそもアニサキスによる胃アニサキス症では、上部消化管内視鏡的な虫体の摘出が有効
・予防としては寄生頻度の高い魚介類の除去。


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