現在、経腸栄養剤は窒素源の分解の程度で分類するのが一般的である。
その他にも、栄養剤の剤型、医薬品か食品扱いか、などの基準での分類もある。また、それぞれの病態に応じた経腸栄養剤もある。
しかし、まずは一般的な窒素源の分解の程度の分類からまとめていく。
|
|
経腸栄養剤の分類
経腸栄養剤は天然食品を原料にした天然濃厚流動食と、天然食品を人工的に処理したもの、もしくは人工的に合成したものから成る人工濃厚流動食に分けられる。
例)乳たんぱく・卵たんぱくを使用→天然濃厚流動食
乳たんぱくをカゼインと乳清たんぱくに分けて使用→人工濃厚流動食
①半消化態栄養剤:polymeric formula
・多くの経腸栄養剤や乳児用ミルクはこの分類
窒素源:乳もしくは大豆ベースのタンパク質。浸透圧は低く、下痢は起こしにくい。
炭水化物:おもにデキストリンを使用し、糖製白糖やオリゴ糖シロップなどを適時配合している
・通常の消化プロセスを必要とするので、消化管が十分機能している場合に使用する。
・味はよく経口摂取に適しているが、栄養チューブ先端において腸内細菌の増殖で栄養剤のpHが下がると、蛋白質が変性して固形化(カード化)して詰まりやすくなる。
・薬品扱いの標準的半消化態栄養剤には、エンシュア・リキッド、エンシュア・H、エネーボ、ラコールNF配合系経腸用液、ラコールNF配合経腸用半固形剤がある。
・肝不全用の病態別栄養剤として、アミノレバンENがある。
・適応は、術前術後の栄養管理、熱傷、神経性食思不振症、意識障害、中枢神経疾患、がん化学療法・放射線療法施工時、口腔・咽頭・食道疾患(狭窄、機能障害)
②消化態栄養剤:oligomeric formula
窒素源:アミノ酸もしくは低分子のペプチド(ジペプチド、トリペプチド)。消化吸収能が落ちている病態に適応、吸収に必要なカロリーも少なくて済む。浸透圧が高いものが多い。
炭水化物:デキストリン、甘味としての白糖などは加えていないものがほとんどで、飲みやすさは半消化態栄養剤に劣る。しかし、吸収の程度に変わりはない。
・①と③の中間くらい。消化管がやや弱っている場合に用いる。カード化によるチューブの閉塞の心配も少ない。むしろ味は悪いのでチューブ栄養に適している。
・医薬品では、ツインラインNFL配合経腸用液
・食品ではエンテミールR、ペプチーノ、ペプタメンAF、ペプタメン・スタンダード、ハイネイーゲルがある(ペプチーノには脂質は含まれていない)。
・適応は消化管術後障害(消化吸収不良、短腸症候群、消化管瘻)、放射線性腸炎、蛋白アレルギー、特殊な病態(肝不全、小児)、炎症性腸疾患
③成分栄養剤:elemental diet=ED
窒素源:アミノ酸、化学的に明確な成分より構成されるので吸収が容易。浸透圧が高い。
炭水化物:デキストリン、エレンタールは小児用の成分栄養剤で消化負担が少ない。
脂質:極めて含有量が少なく、全エネルギー量の1-2%しか配合されていない。
・消化管が弱っている場合に用いる。
・短腸症候群や重症急性膵炎、クローン病(寛解導入、寛解維持療法)、膵外分泌機能不全などの吸収不良症候群に用いる。
・脂質が少ないので、長期間EDを使用する際は、必須脂肪酸欠乏に注意が必要。
・浸透圧が高いので下痢に注意。
高濃度・低濃度タイプ
・標準タイプの栄養剤は1 kcal/mLに調整されている。
・高濃度では水分量が少なく高エネルギーの補給が可能であるため、水分制限のある病態や、経口摂取のサプリメント的に使用される。
・呼吸不全時には肺の間質に水分が貯留して、酸素交換能が低下するので水分制限が必要。腎不全時にも水分制限は必要。
・薬品扱いの高濃度タイプは、1.5 kcal/mLのエンシュア・H、1.2kcal/mLのエネーボがある。
新生児〜乳児の選択
・新生児から乳児では、母乳を第一選択
・しかし、母乳ではビタミンKや鉄は少なく、タンパク質量も多くない。児の病態によっては、蛋白需要が増加したり凝固因子の活性が低下するので注意する。
幼児〜小児期の選択
・小児用経腸栄養剤は、エレンタールP(成分栄養剤)やアイソカル(半消化態栄養剤)などがある。
・エンシュア、ラコール、エネーボ、イノラスなどは相対的に蛋白量が多い。また、薬品として処方できるので、患者の負担も少ない。
|
|


コメント