総論:FPIESってなに?
FPIESは、正式名称を『食物蛋白誘発胃腸炎(Food Protein-Induced Enterocolitis Syndrome)』と言います。
一般的に「食物アレルギー」と聞くと、食べてすぐに「じんましん」が出たり「ゼーゼー」したりする(IgE依存性アレルギー)のを想像しますよね?
でも、FPIESは違います。
「消化管(胃や腸)が、食べ物のタンパク質に過剰反応して炎症を起こす」タイプのアレルギーです。皮膚には症状が出ず、お腹にだけ激しい症状が出るのが特徴です。
症状チェックリスト:どんな症状が出るの?
「ただの吐き戻しか、FPIESか」を見分けるのは難しいですが、以下のような特徴的なパターンがあります。
• 潜伏期間がある: 原因となる食べ物を食べてから、1時間〜4時間ほど経ってから症状が出ます(直後ではない場合が多いです)。
• 激しい嘔吐: コンコンと咳き込むような吐き方ではなく、噴水のように何度も繰り返し吐きます。
• ぐったりする: 顔色が悪く(蒼白)、活気がなくなり、ひどい場合は脱水症状やショック状態(血圧低下)でぐったりとしてしまうことがあります。
• 下痢: 嘔吐から数時間遅れて(5〜10時間後)、下痢が見られることもあります。
⚠️ ドクターのメモ
「食べてすぐ」ではなく「忘れた頃」にやってくるのがFPIESの厄介な点です。そのため、原因の食材に気づきにくいことがあります。
原因:FPIESを起こしやすい食べ物は何?
FPIESの原因食材は、一般的なアレルギー(卵・牛乳・小麦)を起こす食物もあれば、あまり見られないものもあり、少し傾向が異なります。
鶏卵(卵黄)
一般的な卵アレルギー(即時型食物アレルギー)では、卵白の中のオボムコイドという物質がアレルギーの原因になっていることが多いです。
しかし、FPIESの場合は、卵白ではなく『卵黄』が原因となっている場合が多いです。
牛乳・大豆
世界的に多い原因です(粉ミルクを変えたタイミングなどで発覚することも)。
お米(白米)
日本で意外と多いのが「お米」です。 離乳食初期の「10倍がゆ」で発症することがあります。
そのほか
• その他: 小麦、鶏肉、サツマイモなどでも報告があります。
「食べた直後は蕁麻疹もでず安心」と思っていたら、数時間後に激しく吐いてしまった……というケースは、実はFPIESである可能性があります。
診断・治療
診断
一般的なアレルギー血液検査(特異的IgE抗体検査)では、FPIESは「陰性(反応なし)」と出ます。
ただし、『即時型=いわゆる一般的な食物アレルギー』との合併例では、血液検査でのIgE抗体も高値になりますので要注意!!。これが診断を混乱させてしまうきっかけになることもあります。
そのため、診断は「詳細な問診」がカギになります。
「何を食べて、何時間後に、どんなふうに吐いたか」という記録が、私たち医師にとって最大の手がかりになります。
治療法
原因食材の除去
原因と疑われる食べ物を特定し、食事から完全に取り除きます。
急性期の対応
万が一食べてしまってショック状態になった場合は、点滴による急速な輸液が必要です。
即時型アレルギーではアドレナリンの筋注がアナフィラキシーに有効ですが、FPIESの場合はあまり効果がないと言われています。
予後はどうなの?
怖い話ばかりしてしまいましたが、安心してください。
FPIESは、成長とともに治る(=耐性を獲得する)確率が高い病気です。
多くのお子さんが、3歳〜5歳くらいまでには原因食材を食べられるようになります。一生食べられないわけではありません。
専門医と相談しながら、時期を見て「負荷試験(病院で少しずつ食べてみる)」を行い、解除を目指します。
最後に:ママ・パパへ伝えたいこと
もし、離乳食を与えて数時間後に赤ちゃんが激しく吐いてぐったりしたら、とても怖いですよね。
「私の調理法が悪かったのかな?」「食材が傷んでいたのかな?」と自分を責めてしまう方もいますが、決してあなたのせいではありません。
もし「もしかして?」と思ったら、以下のことをメモして小児科(できればアレルギー専門医)を受診してください。
1. 食べたものと量
2. 食べてから症状が出るまでの時間
3. 吐いた回数と、お子さんの様子(顔色・意識)
FPIESは「正しく知って、正しく避ければ」怖がりすぎる必要はありません。一緒に大切なお子さんの成長を見守っていきましょうね。
この記事が、もしもの時の備えや、現在悩んでいる方のヒントになれば嬉しいです。


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