急性膵炎について | ゆるっと小児科医ブログ
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急性膵炎について

消化器

今回は、急性膵炎についてまとめます。

成人ではアルコール性や胆石性などが原因として多いですが、小児では膵胆管合流部異常など構造上の異常が原因となることもあります。

しかし、診断や治療法に関しては、成人の急性膵炎の治療と大枠は変わりありません。

急性膵炎ガイドライン2021を参照して、ポイントをまとめていきます。

基本病因、発症機序

・小児急性膵炎の成因は薬剤性、感染症、外傷、胆道拡張症や膵・胆管合流異常などの解剖学的異常によるものが多いです。

・感染症では、ムンプス、麻疹、コクサッキー、エコー、ロタ、インフルエンザ、EB、肝炎ウイルス、マイコプラズマ、サルモネラ、グラム陰性菌などが原因となります。

・頻度は少ないですが遺伝による膵炎も知られており、原因不明で反復する膵炎の既往がある場合には、チオニックトリプシノーゲン(PRSS1)遺伝子、膵分泌性トリプシンインヒビター(SPINK1)遺伝子などの検索を行います。

診断基準

  1. 上腹部に急性腹痛発作と圧痛がある. 
  2. 血中または尿中に膵酵素の上昇がある. 
  3. 超音波, CTまたはMRIで膵に急性膵炎に伴う異常所見がある. 

上記3項目中2項目以上を満たし, 他の膵疾患および急性腹症を除外したものを急性膵炎と診断する. 

※膵酵素は膵特異性の高いもの(膵アミラーゼ, リパーゼなど)を測定することが望ましい.

膵酵素について

急性膵炎の診断のために, どの血中膵酵素の測定を行うか?

・急性膵炎の診断には, 血中リパーゼの測定が推奨されます.

・ただし, 血中リパーゼの測定が困難な場合は, 血中アミラーゼを測定します. 

・最近の多くの報告では正常上限値の3倍をcut off値として設定しています. (日本ではcut-off値は提示されていない)        

重症度判定基準

A.予後因子(各1点とする)

  1. Base Excess ≦ -3mEq/L, またはショック

  2. PaO2 ≦ 60mmHg (room air), または呼吸不全 (人工呼吸管理が必要)

  3. BUN ≧ 40mg/dL (or Cr≧2mg/dL), または乏尿

  4. LDH ≧ 基準値上限の2倍

  5. 血小板数 ≦ 10万/mm3

  6. 総Ca ≦ 7.5mg/dL

  7. CRP ≧ 15 mg/dL

  8. SIRS診断基準のおける陽性項目数 ≧3

  9. 年齢≧70歳    

   予後因子が3点以上→ 重症とする

B. 造影CT Grade

 ①炎症の膵外進展度

 前腎傍腔 0点, 結腸間膜根部 1点, 腎下極以遠 2点

 ②膵の造影不良域

 ・膵を便宜的に3つの区域(膵頭部, 膵体部, 膵尾部)に分け判定する. 

   各区域に限局している場合, または膵の周囲のみの場合  0点

   2つの区域にかかる場合  1点

   2つの区域全体を占める, またはそれ以上の場合  2点

①+② 合計スコア  1点以下 Grade1, 2点 Grade2, 3点以上 Grade3

 →Grade 2 以上の場合は重症とする.

 

治療

絶食安静

・治療の基本は、絶食をはじめとした膵の安静(膵外分泌刺激の回避)です。

輸液

・絶食安静と同時に、体液・電解質の補正も必要です。

・経口摂取ができない分、輸液で補う必要もあります。

・全身状態が良好で、腹痛が消失していれば飲水から開始します。

蛋白分解酵素阻害薬

・以前は治療に使われる機会も多かったですが、急性膵炎において蛋白分解酵素阻害薬の生命予後や合併症発生に対する明らかな改善効果は証明されていません. 

・軽症~重症まですべての急性膵炎を対象とした検討では, ガべキサートメシル酸塩を含めた蛋白分解酵素阻害薬は致命率や膵合併症発生率を改善せず, 在院日数を短縮させず, 重症膵炎のみの検討においても有用性は示されていません

入院後の栄養について

・重症例における栄養は, 全身性炎症反応により必要量が増加したエネルギーを補給する意味に加えて, 経腸栄養は感染予防策として重要であり, 重篤な腸管合併症のない重症例には経腸栄養を行います. 

→重症急性膵炎では, 激しい炎症のために腸の壁が薄くなり, 腸の中の細菌が漏れ出して膵臓や膵臓の近くに膿が溜まる場合がある. よって, 腸が破れていたり腐っているような疑いがなければ, 経腸栄養を早くに開始して腸の壁を補強することが有用.

・血中アミラーゼや血中リパーゼが正常上限のおおよそ2倍以下となれば、脂肪制限食を開始し、経過をみながら徐々にカロリー、脂肪量を増量します。

Pancreatitis Bundles 2021

診療の主に早期に実施すべき有効性が明らかとなっている診療行為を列挙したものがBundle

治療開始あるいは診断後からいつまでに実施しすべきかが示されています。

急性膵炎診断時

・急性膵炎診断時, 診断から24時間以内, および, 24-48時間の各々の時間帯で, 重症度判定基準の予後因子スコアを用いて重症度を繰り返し評価する. 

・軽症急性膵炎では, 予防的抗菌薬は行わない. 

・初期には積極的な輸液療法を実施する. 

・適切な期間疼痛のコントロールを行う.

 

参照:肝胆膵外科学会HP

 急性膵炎診療ガイドライン(第5版から)|一般社団法人 日本肝胆膵外科学会

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