【小児科医blog:感染症, 抗菌薬】頸部リンパ節炎について | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog:感染症, 抗菌薬】頸部リンパ節炎について

感染症

総論

・小児の頚部リンパ節炎において抗菌薬が必要になるのは、発赤を伴った圧痛の強い急性細菌性リンパ節炎であり、頻度の高いウイルス性リンパ節炎との鑑別が重要。

・また、川崎病の初期症状としてのリンパ節腫脹もあるので注意が必要。

・亜急性の経過をとるものとしては、抗酸菌やバルトネラによるリンパ節炎を鑑別疾患として考える。

急性片側性のリンパ節炎

原因

・乳児では黄色ブドウ球菌によるものが多い。

・幼児ではA群連鎖球菌と黄色ブドウ球菌の頻度が同等。

・新生児ではB群連鎖球菌も原因となる。

・黄色ブドウ球菌は鼻前庭に常在し、リンパ行性にリンパ節炎を起こすが咽頭炎はみられない。

・A群連鎖球菌は咽頭炎から波及することが多い。腫脹したリンパ節は圧痛が強く、発赤を伴い柔らかい。発熱を伴うこともある。

・齲歯、歯周病などの歯科領域感染症から波及する場合は、口腔内嫌気性菌も原因となる。

A群連鎖球菌咽頭扁桃炎を合併している場合の治療

・ペニシリン系を中心とした内服治療

  アモキシシリン 30-50 mg/kg/day 分2-3

  治療期間:少なくとも10日間かつ局所の炎症所見が改善して5日間は継続する。

・ペニシリンアレルギーがある場合の内服治療

  セファレキシン 25-50 mg/kg/day 分4

  クラリスロマイシン 15 mg/kg/day 分2-3

  アジスロマイシン 10 mg/kg/day 分1

・再発を繰り返す場合

  アモキシシリン・クラブラン酸 96.4 mg/kg/day 分2

急性細菌性頚部リンパ節炎の初期治療

内服治療

・セファレキシン 25-50 mg/kg/day 分4

・アモキシシリン・クラブラン酸 96.4 mg/kg/day 分2

静注療法

・セファゾリン 75-100 mg/kg/day 分4

・アンピシリン・スルバクタム 150-200 mg/kg/day 分4

急性両側性のリンパ節炎

原因

・ウイルス性のものが多い。

・風邪症候群ではライノウイルス、コロナウイルス。咽頭炎ではアデノウイルスが鑑別。

・単純ヘルペス咽頭炎に伴うリンパ節腫脹は疼痛を伴う。

・EBウイルスやサイトメガロウイルスによる伝染性単核球症では、全身のリンパ節腫脹の一部として頸部リンパ節炎が見られる。A群連鎖球菌咽頭炎でのリンパ節腫脹は前頸部に見られることが多いが、EBウイルスによる頚部リンパ節炎は後頸部〜側頸部に多い。

亜急性・慢性のリンパ節炎

抗酸菌感染症

・結核菌による単独の頸部リンパ節炎はまれだが、乳幼児では非結核性抗酸菌(NTM)による片側性の頚部リンパ節炎が見られることがある。

・圧痛はなく硬い頚部リンパ節腫脹が特徴。

・経過が長い場合は皮膚を穿破する。外科的切除で治癒するが、完全に切除できない場合はエタンブトール、リファンピシンなどの抗結核薬とマクロライド系の併用療法を行う。

BCG化膿性リンパ節炎

・BCG予防接種を行なった後に、リンパ節炎を起こすことがある。

・基本的な治療方針は、自然消退を期待して経過観察(時間はかかるが自然軽快する例あり)

・3cmを超える大きな病変、複数個のリンパ節腫脹がある際には下記の薬物療法を考慮する。

治療(例:小児結核診療のてびき参照)

INH (8-15 mg/kg/日、分1)+Vit-B6 (1mg/kg/日、分1)

処方例:イスコチン原末 10mg/kg/日、ビタミンB6散 1 mg/kg/日

治療期間:6ヶ月ほど。治癒後も半年ほど経過みて増大あるかどうかフォローアップ

→治癒遷延例には、5%リファンピシン(RFP)軟膏

https://jata.or.jp/dl/pdf/data/syouni_tebiki_202103.pdf

検査

・リンパ節自壊後、膿汁を抗酸菌培養・PCRに提出する。

・経過中、免疫能のスクリーニング検査(T細胞/B細胞分画, 好中球殺菌能・貪食能など)を確認。

・抗結核薬での治療中、肝障害などの副作用を確認する。

・評価のため、造影CTでのリンパ節の評価も有用

・自壊したリンパ節が肉芽を形成するようなら、皮膚科での診察も依頼。

バルトネラ感染症

・Bartonella henselaeによるネコひっかき病で、頸部リンパ節炎が見られる。

・βラクタム系の効果には乏しく、アジスロマイシン、リファンピシン、ニューキノロン系、ST合剤、テトラサイクリン系(8歳以上)などを用いる。

・膿瘍を呈する場合は針吸引をすることで診断と症状改善となる。

後天性トキソプラズマ症

・後頚部リンパ節炎を認めることがある。

・全身症状は明らかではなく、倦怠感がみられる程度の場合もある。

・ネコとの接触や生肉の摂取があれば鑑別。

・軽症では治療は必要ないが重症例や免疫不全例ではピリメタミンとスルファジアジンの併用に葉酸(ロイコボリン)を加えた治療を2-6週間行う。

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