【小児科医blog:医ケア児】筋緊張亢進について | ゆるっと小児科医ブログ
PR

【小児科医blog:医ケア児】筋緊張亢進について

重症心身障害児

総論

・筋緊張亢進とは、身体の筋肉に力が入った状態が、出現する/持続する状態のことである

・てんかん等で生じる痙攣とは異なる。

・結果として、肢位の異常をきたす、疼痛や関節の脱臼・骨格の変形などをきたす。

・筋緊張亢進は、痙縮(痙性麻痺)と固縮、ジストニアに大別される。この3つは混在することがある。

・原因は中枢神経系の病変によることが多い(特に破壊性)。周産期に生じた脳損傷による脳性麻痺、脳梗塞や感染症に関連した小児急性脳症の後遺症、進行性の中枢神経系疾患などが原因となる。

・主に中枢神経系の異常によって生じるため、重症心身障害児で見られることが多い。

・通常は覚醒時に亢進し、睡眠中は軽減・消失する。

分類

・筋緊張亢進は、「痙縮」「固縮」「ジストニア」に大別される。

痙縮:spasticity

・痙縮は錐体路症状であり、大脳運動野〜脳幹部〜脊髄までの皮質脊髄路の病変。

・深部腱反射が亢進する

・病的反射(Babinski徴候など)が出現する。

・他動的にゆっくり関節を動かすと、あるところまでは抵抗を感じるが、途中で急に抵抗が弱まる(ジャックナイフ現象/折りたたみナイフ現象)

固縮:rigidity

・固縮はParkinson病などで見られる錐体外路症状である。

・他動的にゆっくり関節を動かすと、持続的/断続的に抵抗が感じられる(鉛管様/歯車様)

ジストニア:dystonia

・ジストニアは主に大脳基底核の障害によって生じる

・持続的な筋収縮のため、捻転性の運動や異常肢位をきたす

・四肢や体幹、頚部などに捻れるような肢位の異常が生じる。

治療

内科的治療と外科的治療がある。

内科的治療

・まずは薬剤による治療を試みる。

・眠気が出る薬剤が大部分。

・気道周囲の筋緊張の低下をきたすことがあり、特に寝たきりの重症心身障害児では呼吸障害をきたすリスクに注意を払う必要がある。

・半減期が短い薬剤では、効果があれば1日4-5回に分けて投与しても良い

中枢性筋弛緩薬

ジアゼパム(ホリゾン・セルシン)

 用量:0.1-0.3mg/kg/日

 半減期:20-100時間

 痙縮への効果:あり

 ジストニアへの効果:あり

 注意点:気道分泌物の増加がみられる。 

 ・筋緊張亢進が著しい場合、ジアゼパム坐剤(0.3-0.5mg/kg/回、最大10mg/回)を頓用

バクロフェン(ギャバロン)

 用量:0.1-1.0 mg/kg/日

 半減期:4.5時間

 痙縮への効果:あり

 ジストニアへの効果:ややあり

チザニジン(テルネリン)

 用量:0.05−0.3 mg/kg/日

 半減期:1.5時間

 痙縮への効果:あり

 ジストニアへの効果:ややあり

 

トリヘキシフェニジル(アーテン)

 用量:0.1-0.55 mg/kg/日

 半減期:17.6時間

 痙縮への効果:なし

 ジストニアへの効果:あり

 注意点:抗コリン作用を有するため、口渇や便秘、尿閉をきたすことがある。

末梢性筋弛緩薬

ダントリウム(ダントロレン)

 用量:1-5 mg/kg/日

 半減期:6-7時間

 痙縮への効果:あり

 ジストニアへの効果:ややあり

抗発作薬/抗てんかん薬

ガバペンチン(ガバペン)

 用量:10-70 mg/kg/日

 半減期:5-6時間

 痙縮への効果:あり

 ジストニアへの効果:ややあり

フェノバルビタール(フェノバール)

 用量:2-10 mg/kg/日

 半減期:90-130時間

 痙縮への効果:あり

 ジストニアへの効果:ややあり

その他

リスペリドン(リスパダール)

 用量:0.05-0.15 mg/kg/日

 半減期:3.0時間

 痙縮への効果:あり

 ジストニアへの効果:ややあり

レボドパ・カルビドパ(ドパコール)

 用量:5-20 mg/kg/日

 半減期:~5.0時間

 痙縮への効果:なし

 ジストニアへの効果:あり

外科的治療

・内科的治療でコントロール困難な場合、筋緊張の症状が身体の局所のみに見られる場合、外科的治療を行う

・装具の作成、ボツリヌストキシン筋注、髄腔内持続バクロフェン注入療法、選択的脊髄後根遮断術、整形外科的手術(筋離開術、骨切り術など)、深部脳刺激術などがある。

コメント

タイトルとURLをコピーしました
google.com, pub-9029171507170633, DIRECT, f08c47fec0942fa0