【小児科医blog:免疫・膠原病】若年性特発性関節炎(JIA)について | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog:免疫・膠原病】若年性特発性関節炎(JIA)について

免疫

総論

・若年性特発性関節炎(Juvenile Idiopathic Arthritis, JIA)は、16歳未満の子供に発症する慢性的な関節炎です。6週間以上持続する原因不明の慢性関節炎で、感染症などに起因しません。

・全身型JIA(Still病)では6週間以上持続する発熱や皮疹・リンパ節腫脹・肝脾腫などが特徴です。それらの症状がなく関節炎のみをきたすものは関節型(多関節・小関節炎)と分類されます。

・JIAは小児における最も一般的な慢性リウマチ疾患であり、さまざまなサブタイプが存在します。本記事では、最新の研究に基づいて、JIAの症状、診断方法、治療法について詳しく解説します。


分類基準(ILAR分類表 2001 Emonton改訂)

・若年性特発性関節炎(Juvenile Idiopathic Arthritis, JIA)は、7つのサブタイプに分類されます。

・それぞれのサブタイプは、臨床的特徴や遺伝的要因、病態生理、検査結果、そして予後が異なります。以下に各サブタイプの違いを解説します。

1. 全身型(Systemic JIA)


・全身型JIAは、関節炎に加えて全身症状を伴うことが特徴です。発熱や皮疹(リウマトイド疹)、臓器の炎症(心膜炎胸膜炎など)が見られることがあります。

【定義】1関節以上の関節炎と2週間以上続く発熱(うち3日間は連続する)を伴い、以下の兆候を1つ以上伴う関節炎

①紅斑、②全身のリンパ節腫脹、③肝腫大または脾腫大、④漿膜炎

・このタイプはサイトカイン(IL-6, IL-1, IL-18)の過剰な産生が病態に関与しており、全身的な炎症が強く現れます。

→MAS合併例には要注意!!IL-18はMASの病態への関連強い。

• 予後: 重篤な合併症を伴うことがあり、治療が難航する場合もあります。

2. 少関節型(Oligoarticular JIA)

・少関節型はJIAの中で「最も一般的な」サブタイプで、「4つ以下」の関節が影響を受けます。

・特に膝や足首などの大きな関節に多く見られます。「虹彩毛様体炎」などの目の合併症を伴うことも10-20%ほどあります。よって、必ず眼科を受診しなければならない病型です。

・抗核抗体陽性例も他の病型よりも多い。

【定義】発症6ヶ月以内の炎症関節が1−4箇所に限局する関節炎。以下の2つの型を区別する。

(A)持続型:全経過を通して4箇所以下の関節炎

(B)進展型:発症6ヶ月以降に5関節以上に関節炎が見られる

• 予後: 比較的良好で、多くの場合は治療によって寛解します。

3. 多関節型(リウマトイド因子陽性)(Polyarticular JIA, RF-positive)


・このタイプは「5つ以上」の関節に影響を及ぼし、リウマトイド因子(RF)が陽性です。成人のリウマチと似た特徴を持ち、小さな関節にも影響が及びます。進行すると関節破壊が進む可能性があります。

【定義】発症6ヶ月以内に五箇所以上の関節炎が及ぶ型で、リウマトイド因子が3ヶ月以上の間隔で測定して2回以上陽性


• 予後: 関節破壊が進行しやすく、早期治療(メトトレキサートなど、難治例はTNF-α阻害薬)が重要。

・主病変は滑膜炎

・リウマトイド因子陰性と比べると予後不良。

4. 多関節型(リウマトイド因子陰性)(Polyarticular JIA, RF-negative)


・こちらも5つ以上の関節に影響を及ぼしますが、リウマトイド因子は陰性です。主に大きな関節と小さな関節両方に影響し、成人型リウマチとは異なる経過をたどります。

【定義】発症6ヶ月以内に五箇所以上の関節炎が及ぶ型で、リウマトイド因子が陰性


• 予後: RF陽性よりも予後は良好ですが、長期的な管理が必要です。

5. 乾癬関連関節炎(Psoriatic Arthritis)



・乾癬関連関節炎では、乾癬という皮膚疾患とともに関節炎が現れます。指や趾の腫れ(ソーセージ様指趾)や爪の変形も見られることがあります。

・家族歴に乾癬患者がいる場合も診断の手助けとなります。

【定義】以下のいずれか

①乾癬をともなった関節炎

②少なくとも次の2項目以上を伴う例

(A) 指趾炎 

(B) 爪の変形(点状凹窩、爪甲剥離など)

(C) 親や同胞に乾癬患者


• 予後: 皮膚症状とともに長期的な管理が必要です。

6. 付着部炎関連関節炎(Enthesitis-related Arthritis, ERA)



・付着部炎関連関節炎は、靭帯や腱が骨と接する部分(付着部)に炎症が起こるタイプです。

・特に下肢の大きな関節(膝や足首)が影響を受けやすく、腰痛や脊椎への影響も見られることがあります。HLA-B27陽性であることが多いです。

【定義】以下のいずれか

①関節炎と付着部炎

②関節炎あるいは付着部炎を認め、少なくとも以下の2項目以上を伴う例

(A)現在または過去の仙腸関節の圧痛±炎症生の腰仙関節炎痛

(B)HLAーB27陽性

(C)親や同胞に強直性脊椎炎、付着部炎関連関節炎、炎症性腸疾患に伴う仙腸関節炎、Reiter症候群、急性前部ぶどう膜炎のいずれかの罹患歴がある。

(D)しばしば眼痛、発赤、羞明を伴う前部ぶどう膜炎

(E)6歳以上で関節炎を発症した男児


• 予後: 脊椎にも影響を及ぼす可能性があり、長期的な管理が必要です。

未分類関節炎・分類不能型(Undifferentiated Arthritis)


・分類不能型は他のサブタイプには該当しないか、複数のサブタイプにまたがる特徴を持つ場合です。このタイプは診断時点では明確な分類ができないため、「未分化」とされます。


【定義】6週間以上持続する小児期の原因不明の関節炎で、上記の分類基準を満たさないか、または複数の基準に該当するもの。


• 予後: 症状によって異なるため、経過観察と再評価が必要です。
これら7つのサブタイプは、それぞれ異なる病態生理や臨床経過を持ちます。そのため、早期診断と適切な治療戦略を立てることが重要です。

原因と病態


・JIAは自己免疫疾患として知られており、免疫システムが誤って健康な組織を攻撃することで発症します。

・基本的な病態としては、関節における滑膜炎が持続し関節軟骨および骨の破壊が進行することで、強直性の変化、関節拘縮を引き起こすためです。

・全身型JIAでは、自然免疫を基盤とした自己炎症性疾患の一つとして考えられており、マクロファージなどから産生されるインターロイキン(IL)-6、IL-1、IL-18といった炎症性サイトカインが深く関与しています。

・一方、少関節炎や多関節炎を括りとした関節型JIAでは、獲得免疫の異常を背景として、抗核抗体やRFなどの自己抗体が陽性になる例も多いです。

・しかし、その正確な原因はまだ完全には解明されていません。遺伝的要因や環境要因が複雑に絡み合い、病態を引き起こすと考えられています。

症状


JIAの主な症状は以下の通りです。

• 関節痛と腫れ: 特に朝方に強く現れることが多く、動き始めると軽減することがあります。
• 可動域制限: 関節の硬直感や動かしづらさが見られます。
• 全身症状: 発熱や倦怠感、食欲不振などが全身型JIAでよく見られます。
• 成長障害: 長期的な炎症やステロイド治療によって成長が遅れることがあります。

診断


JIAの診断は主に臨床的な評価に基づきます。具体的には以下の検査が行われます。

血液検査

・リウマトイド因子(RF)や抗核抗体(ANA)、C反応性タンパク質(CRP)などで炎症マーカーを確認します。

・全身型では、血清フェリチン、sIL-2Rの上昇、MMP-3の上昇を認めます。またMASを合併する場合、肝機能障害とLDH上昇、sIL-2Rおよびフェリチンの異常高値を認め、サイトカインストームを示唆する検査所見がみられます。

・抗CCP抗体は、リウマトイド因子よりも早期の関節リウマチの診断に役立つ。

・MMP-3は関節破壊の指標となる蛋白分解酵素である。

画像診断

・X線やMRIで関節の損傷や腫れを確認します。最近では3Dイメージング技術も使用されることがあります。

治療


・治療には薬物療法と非薬物療法があります。早期診断と適切な治療開始が重要であり、初期段階で積極的に介入することで予後が大きく改善するとされています。

薬物療法

非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)

・炎症と痛みを軽減するために使用されます。

メトトレキサート(MTX)

・JIA治療において最も広く使われている免疫抑制剤です。副作用として消化器症状や肝機能障害が報告されています。

生物学的製剤(TNF-αI, IL-R)

・TNF阻害剤やインターロイキン阻害剤など、新しいクラスの薬剤であり、高い効果が期待されています。

・日本で承認されている抗TNF-α抗体としては、完全ヒト型抗TNFα抗体のアダリムマブがあります。キメラ型抗TNFα抗体のインフリキシマブも使用例があります。

非薬物療法


• 理学療法: 関節可動域を維持し、筋力を強化するために重要です。
• 作業療法: 日常生活活動を支援し、自立した生活を促進します。

予後と管理


・適切な治療を行うことで、多くの場合、正常な生活機能を維持できるようになります。

・しかし、一部の患者では長期的な障害や痛みが残ることもあります。早期診断と積極的な治療介入が予後改善につながります。

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