【小児科医blog:リウマチ性疾患】IgA血管炎の治療について | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog:リウマチ性疾患】IgA血管炎の治療について

膠原病・リウマチ性疾患

以前、IgA血管炎についてはまとめ記事を作成しました。

総論的内容〜診断・検査・治療〜退院後のケアなどは下記記事参照ください↓

今回は、治療についてフォーカスしてまとめていきたいと思います。

総論

・臨床経過は通常良好であるため、治療は対症療法が主体。

・対症療法の原則は、安静、適切な水分管理、疼痛緩和、合併症の対応です。

・しかし、臓器症状の重症度に応じてステロイドや免疫抑制薬を使用する。

皮膚症状

・少数の紫斑の場合は症状も乏しいために経過観察。紫斑は約2週間で徐々に自然消退することもある。

・紫斑が多数となり潰瘍を形成するような場合は掻痒や疼痛を伴うために、副腎皮質ステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬の内服を使用します。

・紫斑が遷延する場合は,短期間の副腎皮質ステロイドやジアフェニルスルホン(Diaphenylsulfone; DDS),コルヒチンの使用を検討します。

・抗ロイコトリエン拮抗薬や止血薬,血管強化薬を使用されることもありますが,いずれも有効性についての十分なエビデンスはないです。

処方例

●抗ヒスタミン薬:皮膚の有痛性浮腫やそう痒感が強い時に使用

アタラックス錠 1回1-2mg/kg 1日2-3回投与

●ジアフェニルスルホン(DDS: Diaphenylsulfone):レクチゾール

作用機序:核酸の合成を停止させ静菌的に作用する。

投与量:0.5~2.0 mg/kg/day(少量から開始)。

副作用:悪心嘔吐、頭痛、過敏症、肝機能障害などがあり、特に問題となるのは溶血性貧血、メトヘモグロビン血症。

重篤な副作用:DDS症候群(投与後2~5週間で発疹が出現し、さらに発熱、心窩部痛、肝腫大、黄疸、リンパ節腫脹、単核症などが出現する)

●コルヒチン

・多核白血球内の微小管を構成するチュブリンに結合し、微小管形成阻害により多核白血球の炎症部位への遊走やライソゾーム脱顆粒の抑制を行う。

副作用:下痢

関節症状

・関節症状は、主に膝、足、股の下肢の大関節に腫脹、圧痛、疼痛を主症状に約75%の症例で認める。

・安静を保ち、症状改善なければアセトアミノフェンや非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)、ステロイドを投与します。

処方例

①カロナール細粒 1回10mg/kg 頓用 1日3-4回まで

②プレドニン錠 1日1-2mg/kg 分3

・症状の改善に乏しい場合には、副腎皮質ステロイドやDDSの使用を検討します。

腹部症状

・消化器症状は50-75%の患者にみられる。腹部の仙痛、嘔吐、消化管出血が主な症状。

・消化管の出血は便に潜血が見られる程度ですが、30%の患者で肉眼的出血やタール便を認める。

・腸重積症は、患者の1-5%に認める。

・腹部症状が強い時は、入院加療が必要となる場合が多いです。副腎皮質ステロイドが有効。

・症状が軽度の場合は外来での内服治療が可能です。症状が強い場合は入院し、腸管の安静のために絶食として補液を行います。

処方例

①ブスコパン注(20mg) 1回 0.5mg/kg 静注

②プレドニゾロン(水様性プレドニン) 1~2 mg/kg/day 分2-3 点滴静注

血管炎・血管障害診療ガイドライン2016

「小児IgAV では、PSL1mg/kg/日を短期間投与(2週間投与、その後漸減2週間)することによって、7-10日後の紫斑の出現は有意に抑制された。PSL2mg/kg/日投与も有効だった」

・症状が消失したら3~7日ごとに漸減し、経口摂取が可能となったら内服薬へ切り替えます。

・再燃した場合はPSLを元の量に戻し、症状が改善しない場合は2 mg/kg/dayまで増量しますが、1~2週間で改善が見られない場合は抵抗性と判断してDDSの内服併用を検討します。

・腹部症状に対してH2-blocker,、胃粘膜保護剤など抗潰瘍薬の有効性の報告もあり、副腎皮質ステロイドやNSAIDsによる副作用予防も兼ねて使用することがあります。

・腹痛が遷延、再燃を繰り返す難治な経過の症例に対しては、ステロイドパルス療法、大量免疫グロブリン療法、免疫抑制薬の併用、血漿交換を行います。

凝固第13因子低下例

・関節や消化器症状が難治で血漿第13因子が90%以下に低下している場合、薬物治療。

・フィブロガミンを投与するが、血液製剤であるため安易な使用は控えたい

処方例

フィブロガミンP静注用 1回0.5-0.8 mL/kg 1日1回 点滴静注 3日間連続

腎症状

・20-50%に認める。頻度として多いので、罹患後は尿検査フォローが重要。

・顕微鏡的血尿は最も一般的な所見であり、患者の10%には肉眼的血尿が認められる。

・蛋白尿は患者の25%に血尿に合併して見られるが、蛋白尿単独はまれ。

・他の合併症と異なり、他の症状出現から数週間〜数ヶ月遅れてから発症する。

軽〜中等症例

・腎症が血尿のみか軽度蛋白尿(尿蛋白量1g/日以下、または早朝尿の蛋白/Cre比 1.0未満)の場合

ジピリダモールなどの抗血小板薬、あるいはACE阻害薬を用いる。

①ペルサンチン錠(25mg)  3-5mg/kg/日 分2-3

ロンゲス錠(5mg) 0.1-0.4 mg/kg/日 分1 最大20mg/日

※2023.11.25追記:現在腎症状に対してジピリダモールは使用しないとのことです。

 軽症ならACE阻害阻害薬、治療については中心はステロイドとなるようです(ステロイドは下記)

重症例

・ネフローゼ症候群、腎機能低下や高度蛋白尿の1ヶ月以上持続を認める場合、専門家にコンサルトし腎生検を行い半月体形成率などの組織学的重症度に応じてステロイドや免疫抑制薬を中心とした多剤併用療法を行う

処方例:上記の軽〜中等症の処方に下記のいずれかを用いる

①プレドニン錠 1-2mg/kg/日 最大60mg/日  分2-3、4週間、その後6-12ヶ月で漸減中止

②ワーファリン錠 0.05-0.1 mg/kg/回 1日1回

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