総論
・斜頚とは、常に顔を左右どちらかに向けて首をかしげた状態を指します(cock-robin position)
・小児の斜頚の内最も頻度が高いものが、胸鎖乳突筋の短縮により生じる筋性斜頚であり、頚部線維腫症(fibromatosis colli)とほぼ同義です。
・片側の胸鎖乳突筋が腫瘤状に腫大し、収縮・緊張・短縮を生じることで発症します。
・75%で右側に生じます。
・斜頚の程度が軽症で顔・首の傾きがあまりない場合、頚部腫瘤の主訴で受診することもあります。
・生後2-3週ごろがピークであり、大部分は自然経過で12-18ヶ月頃までに自然治癒が期待されます。
エコー検査のポイント
・高周波のリニア型プローべを使用します
・胸鎖乳突筋の病変のため、筋束に沿った長軸断面(斜冠状断像)と短軸像(斜横断像)で観察する。
・胸鎖乳突筋は逆Y字型の形状であり、尾側側では鎖骨頭と胸骨頭に分岐している。そのため両方の観察が必要となる。
・対側との比較で異常所見が明瞭になるため、必ず両側頚部を確認する。
エコー所見の特徴
・筋性斜頚は、胸鎖乳突筋に腫大や腫瘤状病変を伴うもの、腫大や腫瘤を伴わず筋の緊張を示すもの、両者とも認めないものに分類される。
・片側の胸鎖乳突筋が紡錘型に腫大したり、腫瘤状領域として描出される場合がある。
・尾側側に腫大が生じるのが一般的である。
・エラストグラフィーが病変部の硬度評価に有用な可能性も報告されている。


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