【小児科医blog:ER, 整形外科】肘内障について | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog:ER, 整形外科】肘内障について

救急

疫学

・6ヶ月〜5歳ごろに多く見られ、特に1-4歳に好発、1-3歳で約80%を占めるとされる。

・女児に多い。

病態

・肘関節では、橈骨頭が輪状靱帯に包まれている。

・幼児期の橈骨頭の形態はまだ小さく、輪状靭帯も脆弱である。そのため、手を回内位で強く引くことで、輪状靱帯の遠位に橈骨頭の一部が亜脱臼して生じる。

発症契機

・典型的には、手を引っ張ることで生じると言われている。しかしその病歴がないからと言って肘内障が発症しないわけではない(手を引っ張って発症するのは40-50%ほど)

・上肢を動かさないことで気づくことが多い。手指は基本的に動かせる。

・肘からの転倒や腕の捻りでも生じることがあり、歩行前の乳児の場合、寝返りの際に前腕が体の下に挟まり生じることがある。

・うまく痛い部位を表現できないことも多く、肘ではなく肩・腕・手首の痛みと表現されることもあり、要注意である。

診察所見

・通常、患側の腕を体に近づけて、やや回内し肘を軽度屈曲した状態でいることが多い。

・上肢を動かさないことが多いが、上肢挙上ができるから肘内障を否定できるわけではない。

・神経血管障害や、骨に一致した圧痛、変形、腫脹は通常認めない。それら所見がある場合は骨折など他の診断を考慮する。

画像検査

・肘内障の典型的な病歴で診察上発赤腫脹などを認めない場合には,X線は必ずしも必要ない。

・超音波診断では、近位腕橈関節に嵌頓した輪状靭帯の一部と回外筋の引き込みを描出しうる(Jサイン)

・また、超音波検査では、整復後も患側回外筋の繊維の変化が見られる。

治療

・典型的な病歴から肘内障を疑う場合、画像検査なしに徒手整復を試みる。

・回内法と回外屈曲法があるが、いくつかの報告では回内法の方が成功率が高く痛みが少ないと言われている。

回内法

・患者の肘を支えながら橈骨頭を親指で軽く押す。

・もう一方の手で患児の前腕をつかみ、過剰に回内させる。

・橈骨頭に当てていた指でクリック音が感じられれば整復成功。

回外屈曲法

・患児の肘を支えながら橈骨頭を親指で軽く押す。

・もう一方の手で患児の前腕をやさしく引っ張る。引っ張りながら前腕を回外し完全に屈曲させる。

治療のワンポイント

・整復後数分で「患肢で物をもてる」「上肢挙上の左右差がほぼなくなる」など症状改善あれば成功。

・初回の整復で改善ない場合、反対動作(回内で失敗なら回外)をトライ。

・むやみに繰り返し行うと、局所の腫脹や疼痛の原因になるので注意。

・徒手整復に成功せず、骨折を認めない場合は三角巾やシーネで固定し、数日後再診させ腕を動きを確認する(肘屈曲90度前腕中間位固定)。改善ない場合は骨折などないか再評価を行う。

・肘内障は5-39%再発しうる。手を無理にひっぱると発症しやすいなど親に説明し再発防止に努める。

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