総論
・家族性地中海熱(FMF: familial Mediterranean fever)は遺伝性の自己炎症性疾患であり、周期性発熱と漿膜炎を主症状とする疾患。
・元々、地中海沿岸地域で、良性発作性腹膜炎(benign paroxysmal peritonitis)の疾患概念があったが、その後1997年に国際家族性地中海熱研究会によって責任遺伝子が同定された。
・本疾患の責任遺伝子はMEFVで、常染色体潜性遺伝と考えられていたが、MEFVに遺伝子変異を認めない症例もみられる。
・典型的なFMFの発作は、発熱と漿膜炎症状が約1-3日間続くが、非典型例では発熱期間は様々で、微熱や軽度の漿膜炎症状にとどまる。
・疾患名には地中海とあるが、本邦でも症例報告あり。
原因
・MEFVの遺伝子変異によってパイリンの機能異常をきたし、インフラマソームの活性化が誘導される。
・インフラマソームは細胞質に存在する蛋白複合体の総称。NOD様受容体(パターン認識受容体)、アダプター蛋白ASC(apoptosis-associated speck-like protein containing a CARD)、酵素であるカスパーゼ(caspase)1で構成され、活性型IL-1β・IL-18を産生することで炎症を起こす。
疫学
・発症年齢は60-70%が10歳以下、90%が20歳以下で発症する。
・本邦では5歳以下の発症例が少なく、成人発症例が多い。
臨床症状
・38℃以上の発熱を周期的に繰り返す。半日から3日間持続し、無治療でも自然に解熱する。
・発作間隔は通常2-6週間。4週間ごとが典型的。非発作時は無症状。
・発熱に随伴して、漿膜炎症状(胸痛、腹痛)、関節炎、皮疹、頭痛を起こす
・関節炎の報告は諸外国に比べ本邦では少ない。下肢大関節(膝関節・股関節・足関節)の非破壊性単関節炎が原則。
・下肢(特に足関節周囲や足背)に丹毒様紅斑を認めることもあり。
※適切な治療が行われない場合、慢性的に炎症が持続するので、長期合併症としてAAアミロイドーシスにより臓器障害に注意。診断は消化管・腎臓組織におけるアミロイド沈着。
・感染や外傷、ストレスが発作の引き金になることがあり、女性では約半数が生理周期に一致する。
病型
・典型例と非典型例に大別される。
典型例
・38度以上の発熱が12-72時間持続する。
・MEFVのexon10に位置する遺伝子変異(M694I, M694V, M680I, V726A)
非典型例
・発熱が38度未満のことや、発熱期間が数時間程度あるいは4日間以上の場合あり
・漿膜炎症状が複雑(限局する腹痛、腹膜刺激症状を伴わないなど)になる場合あり
・遺伝子変異は同定されにくい
治療
・コルヒチンは有効で、第一選択薬。
・コルヒチンの予防的投与は90%以上の症例で有効。コルヒチンをある程度増量(成人で1.5mg/日、小児で0.03mg/kg/日)しても全く無効な場合、FMFの診断の見直しも検討する。
・コルヒチン無効の場合、カナキヌマブの使用が考慮される。他、抗TNF抗体製剤の有用性も報告されている。
※副腎皮質ステロイドは無効。


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