【小児科blog:免疫】マクロファージ活性化症候群(MAS)について | ゆるっと小児科医ブログ
PR

【小児科blog:免疫】マクロファージ活性化症候群(MAS)について

免疫
Screenshot

MAS:macrophage activation syndrome

定義

・血球貪食性リンパ組織球症(HLH: hemophagocytic lymphohistiocytosis)は、骨髄などの網内系組織において炎症性サイトカインにより活性化されたTリンパ球およびマクロファージが増殖し、マクロファージが自己の血球を貪食している像が組織学的に認められる病態。

・HLHは先天的な遺伝子異常に起因する一次性・家族性HLHと、種々の病態に伴う二次性HLHに分類される。

・このうち、全新型若年性特発性関節炎(s-JIA)などのリウマチ性疾患に伴う二次性HLHは、マクロファージの異常活性化がその病態の中心になることから、マクロファージ活性化症候群(MAS)と呼ばれる。

病態

・細胞障害性T細胞(CTL: cytotoxic T lymphocyte)の異常活性化および炎症性サイトカインの過剰産生が中心となる。

・炎症性サイトカイン(IL-1β, IL-6, IL-18)の持続的な刺激がマクロファージの異常活性化と過剰な増殖を引き起こす。その中でも、IL-18の増加は最も病態に中心的な役割をきたしている。

→MASの合併や再燃時に、血清IL-18値は上昇している。鑑別診断と経過予測に有用。

・s-JIA症例においては、慢性的なサイトカインの刺激でCTLやNK細胞の細胞傷害活性が低下してMAS発症の準備段階にある。感染症などのトリガーによりIFN-γの産生が生じると、さらに炎症性サイトカインの過剰産生が生じて、サイトカインストームと呼ばれる異常な炎症病態が生じてMAS発症となる。

診断

・s-JIAの急性期において、血清フェリチンの著増を認め、血小板の減少、肝逸脱酵素やLDHの上昇、フィブリノーゲンの低下や凝固異常を認める場合はMAS合併を疑う。

・MAS発症すると、熱型が弛張熱から稽留熱へと変化し、肝腫大・脾腫大が増大する。

・MASにおいては非常に短時間で病勢が進行するため、同一日内で複数回の評価が必要。

症状

・発熱、肝脾腫、血球減少、肝機能障害、高LDH血症、高トリグリセリド血症、低フィブリノーゲン血症、播種性血管内凝固症候群、NK活性低下などがみられる

・加えて、網内系組織での組織球増殖と血球貪食像を特徴とする。

・MASを発症すると、熱型が弛張熱から稽留熱へと変化し、肝脾腫が増大する。

検査所見

血液検査

・炎症の把握のため、血算、CRP、赤沈、血清アミロイドA、凝固線溶系(FDP, D-dimer)を検査

・血清サイトカインプロファイル:IL-6, IL-18

・ウイルス抗体価:EBウイルス、サイトメガロウイルス、パルボウイルスなど

・関節炎の評価:MMP-3

・sJIAでは、血清IL-18濃度が著増することが特徴。特にMAS合併時には血清IL-18濃度が40000pg/mL以上となる。また炎症が鎮静化したinactive phaseにおいても血清IL-18濃度は高値が持続する。

尿検査

・尿検査:β2-MG

画像検査

・超音波検査、CT・MRI検査:心膜炎や今日貊塩、肝脾腫の有無や程度の評価、悪性疾患など他疾患との鑑別

骨髄検査

・悪性疾患との鑑別、MASの合併が疑われる場合には血球貪食像の有無を評価するために行われる。

MASの分類基準

 Paediatric Rheumatology International Trials Organisation

2016年に提唱された分類基準。S-JIAと診断されている症例または疑われる発熱を呈する症例において、下記の基準を満たす場合、MASと診断する。

1. 血清フェリチン値上昇 > 684 ng/mL

2. 1に加えて、下記の検査項目のうち少なくとも2つ以上を満たすもの

 血小板減少 ≦ 181 × 10*9/L

 AST上昇  >48 IU/L

 TG上昇   > 156 mg/dL

 低フィブリノーゲン血症 ≦360 mg/dL

診断の注意点

・s-JIAに対して生物学的製剤を使用中は、臨床症状がマスクされたり、フェリチンが低値となったりするなどMASの診断が困難となるので注意する。

・MASにおいては、短時間で病勢が進行することもあり、同日内でも複数回の血液検査での評価が必要な場合もある。

・MASの病態把握には、血清および尿中のサイトカイン誘導蛋白の体系的なモニタリングが病態の理解、治療方針の決定に有用である。特に血球減少の傾向は重要であり、AST値、フェリチン値、凝固系の細かな評価も必須である。

治療

・MASを疑う症例では、小児リウマチ専門医と連携して治療を行う。

ステロイド治療

・水様性プレドニン(PSL) 静注 

   用量:1-2mg/kg/日

・メチルプレドニゾロンパルス療法(ソル・メドロール:mPSL) 

   用量:30mg/kg/日(最大1g) 2時間で 連続3日間を1コースとして2-3コース

・デキサメタゾンパルミチン酸エステル(リメタゾン) ※保険適用外  

   用量:2.5-5 mg × 2回/日 静注

シクロスポリン治療

シクロスポリン持続点滴(サンディミュン) ※保険適用外

 用量:1-1.5 mg/kg/日

シクロスポリン経口投与(ネオーラル) ※保険適用外

 用量:3-5 mg/kg/日 分2

抗凝固療法(ヘパリン化)

ヘパリン持続点滴  100-150 IU/kg/日 24時間持続投与 

 メインに混ぜて投与する(メイン輸液+ヘパリンNa注5000IU/5mL ◯mL)

※DICを合併しているような場合には、リコンビナントトロンボモジュリンや新鮮凍結血漿も併用される

コメント

タイトルとURLをコピーしました
google.com, pub-9029171507170633, DIRECT, f08c47fec0942fa0