【小児科医Blog:免疫】PFAPA症候群(Periodic Fever, Aphthous Stomatitis, Pharyngitis, and Adenitis Syndrome)について | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医Blog:免疫】PFAPA症候群(Periodic Fever, Aphthous Stomatitis, Pharyngitis, and Adenitis Syndrome)について

免疫
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総論

・PFAPA症候群(Periodic Fever, Aphthous Stomatitis, Pharyngitis, and Adenitis Syndrome)は、小児に最も多く見られる周期性発熱症候群です。

・この疾患は、以下の4つの主な特徴を持つことから命名されています。

  • 周期的な発熱
  • アフタ性口内炎
  • 咽頭炎
  • 頸部リンパ節炎

・発症年齢は通常5歳以下で、男女差はほとんどありません(やや男児に多い)

・ノルウェーの研究では、5歳以下人口10000対2.3の罹患率との報告がありました。

・発熱は定期的に現れ、通常は3〜8週間ごとに起こり、3-6日間続きます。発熱以外の症状は、発作期間中にのみ現れ、発作が終わると完全に回復します(発作間欠期)。

・典型例では、次の発熱発作がいつになるかを患児や保護者が予測できるほど規則的(clock-work periodicity)。

・発熱時の随伴症状として、アフタ性口内炎、咽頭炎、頚部リンパ節腫脹の他、倦怠感、食欲不振、嘔吐、頭痛、腹痛、関節痛を認めることもあります。

原因・病態生理

・IL-1βの調節異常やインフラマソームの異常が背景にあることが指摘されています。

・発熱発作期には炎症性サイトカインである血清IL-1β、IL-6、IK-12p70、TNF-α、G-CSFの上昇が認められます。一方、IL-4、IL-10は正常ないし低値であり、1型ヘルパーT細胞(Th1)優位の炎症像を呈しています。

・発作間欠期にも、正常対照と比較してIL-1β、IL-6、IL-12p70、TNF-αが優位に高いです。

・上記の免疫活性により、活性化T細胞が末梢組織である扁桃やリンパ節に集族し、扁桃炎やリンパ節炎を発症すると考えられています。

・また、本免疫活性を誘導する因子として扁桃における微生物感染の関与も疑われています。よって、扁桃はT細胞活性の場となっており、抗原提示能もあることから、扁桃摘出術により一連の症状が改善することが推測されます。

遺伝的要因と免疫応答

近年の研究では、PFAPA症候群が遺伝的要因による影響を受ける可能性が示されています。特に、以下の遺伝子変異が関連していることが報告されています。

  • IL-12A: 免疫系の調節に関与し、異常な抗原提示細胞機能やT細胞の活性化に関連。
  • MEFV遺伝子: 地中海熱(FMF)との関連が示唆されており、一部のPFAPA患者で有効な治療反応を示す。

これらの遺伝的背景は、PFAPAが自己炎症性疾患スペクトラムの一部である可能性を示唆しています。また、免疫系の異常な調節による炎症反応が病態生理に関与していると考えられています。

参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32518111

診断基準

PFAPA症候群は特異的な診断検査が存在しないため、臨床診断が主となります。以下は一般的な診断基準です。

  1. 周期的な発熱: 発熱エピソードが規則的である。
  2. 症状: アフタ性口内炎、咽頭炎、頸部リンパ節炎。
  3. 間欠期の健康状態: 発作間には完全に健康である。
  4. 他疾患の除外: 感染症や他の自己炎症性疾患を除外する。

診断には詳細な病歴聴取と身体診察が重要です。また、血液検査では発作時にC反応性タンパク質(CRP)や白血球数の上昇(好中球優位)、血清アミロイドAの上昇赤沈亢進血清IgD高値を認めることがあります。

・対して、プロカルシトニンは上昇せず、その他の血液生化学所見でも異常は認めません。

小児リウマチ国際研究期間(PRINTO)の分類基準

・日本から提唱された診断基準です。

必須基準

8日未満(平均4日)持続する38.0℃以上の発熱を少なくとも4回繰り返す。

補助基準

①5歳未満に発症

②白苔を伴う扁桃炎もしくは咽頭炎

③以下の臨床徴候のうち少なくとも1つ伴う随伴症状

・アフタ性口内炎

・頚部リンパ節炎(リンパ節腫脹にしばしば圧痛あり)

・咽頭痛

・嘔吐

・激しい頭痛

④咳嗽なし

⑤家族歴(繰り返す発熱、扁桃炎または扁桃定期出術の既往を含む)

⑥CRPはおよび血清アミロイドA・が発熱発作期には著明に上昇/間歇期には正常値

⑦血清IIgD上昇

⑧副腎皮質ステロイド薬が非常に有効(プレドニゾロン0.5mg/kg)。内服頓服により半日以内に解熱。

診断基準

必須基準および少なくとも5項目の補助基準を満たせば、PFAPA症候群と診断する。

治療法

薬物療法

ステロイド(PSL)

  • 発作時にプレドニゾロンなどを使用することで迅速な改善が得られます。
  • 用量:0.5-1.0mg/kg 1-2回内服(2回目は12-24時間後に内服)
  • 2-24時間以内に解熱効果がえられるのが特徴的
  • 発熱以外の発作症状にはあまり効果がない。
  • ただし、長期使用による副作用や発作頻度増加のリスクがあります。

シメチジン

  • 細胞障害性T細胞の抑制効果が可能性あり。
  • 用量:10-20 mg/kg/day 分2 内服(成人上限の800mg/dayを超えないこと)
  • 数カ月間の内服により、長期的な発熱発作の改善が期待される。
  • 発熱発作の消失率は約30%

ロイコトリエン受容体拮抗薬

  • 発熱発作の予防に有効との報告がある。
  • 用量は気管支喘息に対するプランルカストもしくはモンテルカストの用量に準ずる。
  • 十分な効果が認められない症例に対する漫然とした投与は避けるべきである。

ビタミンD

  • 免疫調節因子としての役割を指示する根拠があり、本疾患において症状とビタミンD欠乏症との間に有意な相関関係が報告された。
  • 用量:コレカルシフェロール 400 IU/day

コルヒチン

    • PFAPA患者への有効性が報告されており、発作頻度や重症度を低下させる効果があります。
    • MEFV遺伝子変異を持つ患者では特に効果的である可能性があります。
    • FMF(家族性地中海熱)に対しては第一選択薬、本疾患には発作間欠期の延長に有効。
    • 参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39085658/

外科的治療

  • 扁桃摘出術
    • 最近の研究では、多くの患者で扁桃摘出術が有効であることが示されています。この方法は特に薬物治療に反応しない患者や再発を繰り返す患者に適しています。
    • 作用機序として扁桃やアデノイドがもつ抗原提示作用の除去が関与している可能性があります。
    • 発熱発作の消失率は約70-90%

参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37467064/

【PFAPA症候群と類似疾患との鑑別】

PFAPA症候群は他の周期性発熱疾患(例:地中海熱やベーチェット病)と類似した特徴を持つため、正確な鑑別診断が必要です。以下は主な鑑別ポイントです。

疾患名特徴診断方法
地中海熱腹痛や胸痛を伴う周期的な発熱。MEFV遺伝子変異との関連。遺伝子検査
ベーチェット病口腔内潰瘍や皮膚病変、多系統への影響。臨床診断
PFAPA規則的な発熱エピソード。アフタ性口内炎や咽頭炎、頸部リンパ節炎を伴う。臨床診断(他疾患除外)

【研究動向と今後の課題】

近年では、PFAPA症候群に関連する遺伝子マーカーや免疫学的特徴について多くの研究が行われています。しかし、その病態生理や最適な治療法については未解明な部分も多く残されています。今後は以下の点についてさらなる研究が期待されます。

  • 遺伝子解析による個別化医療の実現。
  • 新規バイオマーカーによる早期診断法の開発。
  • 長期予後への影響を評価する大規模研究。
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