今回は、ここ数年で急激に増えているピーナッツアレルギーについてのお話です。
※SPY×FAMILYのアーニャも好きなピーナッツですが、日本よりも海外ではピーナッツバターなどはじめ色々と食べる機会が多いかもしれませんね。日本の食生活も徐々に変わってきているのでしょうか。

1. 総論
<要旨>
1. ピーナッツアレルギーは即時型症状で発症することが多い。耐性化は約20%とするとする報告が多い。
2. アレルゲンコンポーネントのうちAra h 2は、即時型アレルギー症状誘発と関連がある。
3. Ara h 2得意的IgE抗体検査は、4.0Ua/mL以上で95%陽性的中率を示す。
4. ピーナッツは豆類であり、木の実類とまとめて除去する必要はない。
上記は食物アレルギー診療ガイドライン2021の記載にある通りです。
アレルギーコンポーネントとは、食物を構成している多種類のタンパク質のうち、アレルゲン性を有する(IgE抗体結合能がある)タンパク質分子のことです。アレルギー疾患患者の50%以上において特異的IgE抗体が認識し、誘発症状を引き起こすことが確認されているアレルゲンコンポーネントを主要アレルゲンといいます。
ピーナッツのアレルゲンコンポーネントはAra h 2がしられていますが、これが陽性となった場合、ピーナッツアレルギーの可能性は高くなります。Ara h2高値(特異的IgEスコア4以上)ならピーナッツアレルギーより、除去。Ara h2低値or陰性でピーナッツ陽となれば、負荷試験で確認する必要があります。もし負荷試験でGrade2のアナフィラキシーなら除去。Grade1(弱陽性)くらいなら、自宅ではOITをすすめて、園や学校では除去が必要です
2. 経口負荷試験(0FC)
OFCは定まった方法はありませんが、今まで数粒食べることができていたけれど、何回目かにアレルギー症状が出た場合、4g(1g→3g)の負荷試験を実施して閾値を判定します。ピーナッツ1個=0.7-0.9gであり、5-6粒の計算になります。
もしピーナッツを始めて食べた時にアレルギー症状があれば、0.2-0.3gほどの極少量からの負荷試験が適切でしょう。
3. 経口免疫療法(OIT)
負荷試験で陰性だった場合、家庭での経口免疫療法を行う必要があります。1粒が負荷試験で食べることができた場合なら、ピーナッツ0.5粒から開始し、2週間継続。週に5日以上摂取。それで大丈夫なら1粒で継続。途中アレルギー症状が出たら、半量に減量し行うことで、摂取を継続します。
海外の研究でIMPACT trialというものがありますが、初期用量 0.1mg-6.0mgでOIT開始し、2週間毎に漸増、最大目標量2000mg(最低用量250mg)で行われました。
OITを行う際、そのままのピーナッツを食べることを嫌がることもあります。その際には、ピーナッツバターの使用も考慮されます。
ピーナッツバターとは、乾燥したピーナッツを炒って砕き、ペースト状になるまでミルやフードプロセッサーにかけた加工食品で「ピーナッツペースト」と呼ばれることもあります。ピーナッツに含まれる油分によりペースト状になるため、副材料はほとんど使用されておらずバターという名称がつくものの乳脂肪分は全く含まれていません。
FDA(アメリカ食品医薬品局)では、原材料の90%以上にピーナッツを用いたものを「ピーナッツバター」と定義しています。
対してピーナッツクリームとは、「ピーナッツバター」をベースに、砂糖や水あめなどの糖類、クリーム、ココアバター、植物油脂、食塩、脱脂粉乳などで調味し、パンなどに塗りやすくした加工食品で「ピーナッツジャム」と呼ばれることもあります。
よって、OITでは不純物のほぼ含まれていないピーナッツバターを使うことが良いでしょう。
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4. 経皮免疫療法(EPIT)
・また、NEJM誌では、ピーナッツの経皮免疫療法(EPIT)の報告がされています。
・米国 コロラド大学のMatthew Greenhawt氏らの多施設共同二重盲検無作為化試験であり、ピーナッツアレルギーの1-3歳児において、12ヶ月間のピーナッツパッチを用いた経皮免疫療法が脱感作の児、アレルギー症状出現の閾値上昇という結果をもたらすことを示しています。
・ピーナッツ蛋白の誘発用量(アレルギー反応を引き起こすのに用する量)が300mg以下の患児を、2対1の割合で無作為に、ピーナッツパッチ(ピーナッツ蛋白250μg含有[ピーナッツ1個の約1,000分の1])による経皮免疫療法を受ける群(介入群)とプラセボ群に割り付け、1日1回の貼付を12ヵ月間にわたって行われました。
・EPITについては、牛乳に関しても研究が勧められており、今後本邦でのアレルギー診療にも普及してくるのかもしれません。
今回は以上です。



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