【小児科医blog:神経】小児のけいれんについて | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog:神経】小児のけいれんについて

感染症

今回は小児のけいれんについてです。

コロナ感染症では熱性けいれんの割合も多く、他の小児の病気は減っているものも多い中、あまり割合も変わらず重要な分野ですね。

初期対応

まずはけいれんをみたらどうするのか?

どれも当たり前のことではあるのですが、焦っていると忘れがちなときもあります。時々確認しておきたいですね。また上級医を呼ぶとき、ですが、基本的に軽症のときに呼ぶことはほぼありませんが、もし呼ばなければならないときは躊躇わずに連絡することが重要だと思うので、一応記載しておきました。

けいれんの初期対応

また、ABCD評価ですが、以下のようにまとめてみました。

これはPALSでの評価を参照したものです。

意識評価のAVPUスケールですが、これは成人での意識評価に使用するGCSやJCSが小児には使いづらいからですね。生年月日は?とか今日は何月何日?とか聞かれても小さい子は答えられないですからね。

 

 

けいれんが止まっている時の対応

次は、初期評価を行った後に行うけいれんの対応です。

まずけいれんが止まっている状態で来院した場合を考えます。

熱性けいれんガイドラインには以下のように定められています。

ちょっと視覚的に必要なことをスライドにするとこんな感じです。

 

けいれん持続時の対応

けいれんが来院時の対応は以下の通りです。

けいれん持続時は、ミダゾラムを使用します。使用方法については以下の通りです。

 

ちなみに、ミダゾラムは頬粘膜(口腔内)投与用の製剤、「ブコラム」という製剤もあります。すべての医療機関に置かれているわけではないと思いますが、ルート不要の場合、また患児の体重が不正確な場合も使用しやすいので、ぜひお勤めの施設での採用の有無を確認してみて下さい。

原因検索

・発作が停止し、全身状態が安定している場合は、原因検索に移ります。

・小児で多い鑑別疾患は熱性けいれんとてんかんですが、見逃してはいけない疾患として細菌性髄膜炎や脳炎/脳症、低血糖、電解質異常、頭蓋内出血などがあります。

・また、原因疾患は下記のようなものが挙げられます。神経疾患だけではなく、非神経疾患による意識障害・痙攣も多く鑑別疾患にあがります。

●神経疾患

<感染症>髄膜炎、脳炎・脳症

<頭部外傷>頭蓋内出血、びまん性軸索損傷(DWI)、脳挫傷

<中枢神経疾患>熱性けいれん(発作)、てんかん、脳血管障害、脳腫瘍、ナルコレプシー、片頭痛

●非神経疾患

<感染症>全身症状を伴う感染症

<代謝異常>低血糖、低酸素、アシドーシス、尿毒症(代謝異常含む)、肝不全、脱水、高二酸化炭素血症、高浸透圧

<電解質異常>高Na・Ca血症、低Na・Ca血症、低Mg血症

<内分泌疾患>副腎機能低下症、甲状腺機能亢進症・低下症

<循環器疾患>心不全、不整脈、心筋炎

<呼吸器疾患>肺炎、肺水腫

<消化器疾患>急性腹症

<薬剤>抗てんかん薬の服薬アドヒアランス不良(怠薬:飲み忘れ)、向精神薬(離脱症状)、血糖降下薬、交感神経作動薬、リチウム、イソニアジド、カフェイン、テオフィリン、局所麻酔薬

<中毒>一酸化炭素、鉛、有機リン、アルコール、銀杏、コカイン

<心因性>心身症、詐病

<その他>熱中症、低体温症、アナフィラキシー

・特定の条件下で多いけいれん発作の鑑別疾患については、下記のブログリンクもご参照下さい↓↓

今回はこれで終了です。最後までご覧いただきありがとうございました。

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