原因不明の発熱について | ゆるっと小児科医ブログ
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原因不明の発熱について

小児

疾患概念

・原因が不明の発熱は持続期間やパターンにより、臨床的には4つに分類される。

有病   期間臨床的な分類原因
数日熱源不明の発熱(fever without localizing signs)尿路感染症、潜在性菌血症、ヘルペス系ウイルス感染症(HHV6など)、薬剤熱、血腫
1週間程度遷延する発熱(prolonged fever)ウイルス感染症(EBV, CMVなど)、深部細菌感染症(深頸部膿瘍、骨髄炎、膿瘍など)、腸チフス、川崎病
3週間以上不明熱(fever of unknown origin)深部細菌感染症、ウイルス感染症、結核、猫ひっかき病、膠原病、悪性腫瘍
期間は不定繰り返す発熱(周期性発熱, recurrent fever : periodic fever)周期性発熱症候群・アフタ性口内炎・咽頭炎・リンパ節炎症候群(PFAPA)、周期性好中球減少症、自己炎症性疾患、不十分な抗菌薬投与が行われた骨髄炎・膿瘍など
原因不明の発熱の分類と原因

不明熱の定義:

1週間以上の入院精査にもかかわらず原因が明らかにならない38.3℃以上の発熱が3週間以上続くもの

原因

・小児の不明熱の原因は感染症50%、膠原病10%、悪性疾患が5%程度、そのほかの要因が10%となっているが、最終的に原因が明らかにならないことも20-30%ある。

・入院では、重篤な疾患の除外が目的である。原因が明らかなにならない可能性についても考慮し、両親にも伝えておくべである。

・原因不明の疾患の多くは良性だが、一部は膠原病や自己炎症性疾患と後に診断されることもある。

・ウイルス感染では、EBウイルス、サイトメガロウイルス、パルボウイルス感染症などが多い。

・深部臓器の評価には造影CTが有用である。

・悪性疾患を疑う場合は、骨髄検査やPETスキャンが有用。しかし不明熱のスクリーニングの検査としての有用性は低い。

遷延する発熱に対する検討事項

①成長曲線

・成長障害は基礎疾患の存在や慢性的な経過をたどる感染症を疑わせる。

 →原発性免疫不全症、炎症性腸疾患、HIV/AIDS、結核など

②身体所見

先天奇形などの随伴所見

 →22q11. 2 欠失症候群、ウィスコット・アルドリッヒ症候群など

全身リンパ節腫脹、肝脾腫、皮疹

 →自己炎症性疾患など

口内炎

 →全身性エリテマトーデス、ベーチェット病など

③末梢血

・WBC左方移動、炎症反応高値

 →細菌性感染症を示唆

④血沈・CRP、生化学検査

・血球減少・炎症反応低値

 →ウイルス感染症を示唆

・血小板減少、肝逸脱酵素軽度上昇、炎症反応上昇

 →リケッチア、腸チフスなどを示唆

⑤IgG、IgA、IgM、補体

・ガンマグロブリン高値

 →慢性的な炎症(自己免疫疾患)、リウマチ熱など

⑥抗核抗体

・自己免疫性疾患

⑦尿検査、尿培養

・膿尿、血尿、蛋白尿

 →尿路感染症に限らず、全身疾患の一部として腎炎を呈することがある。

⑧胸部X線

・縦隔拡大、胸膜肥厚

 →結核、輸入真菌感染症

⑨血液培養

・1回の感度は60-70%

 →感染性心内膜炎、腸チフス

参考文献:

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