【小児科医blog:感染症】ノロウイルス感染症について | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog:感染症】ノロウイルス感染症について

感染症

今回は、小児胃腸炎の原因として最多を占める、ノロウイルス感染症についてまとめます。

微生物学的診断にこだわる必要はなく、あくまで胃腸炎と診断すれば、治療・感染対策は大きく変わることはありません。しかし、もちろん胃腸炎の診断に拘泥することなく、他疾患についての鑑別は重要です。

ウイルスの分類

・カリシウイルス科のウイルスです。ノロウイルスの他には、サポウイルス、ベシウイルス、ネボウイルス、ラゴウイルスの5つの属があります。

・ノロウイルスは直径約38mmの球形ウイルスであり、電子顕微鏡では三角形が重なり合った「ダビデの星」と称される星模様が特徴的です。

・現在10のgenogroupと49のgenotypeが存在しており、Genogroup GⅠ, GⅡ, GⅣが人に対する病原性を持っています。分離される頻度が多いのは、GⅡ, GⅠ, GⅣ

検査

・迅速診断キットと逆転写PCR法(RT-PCR)の2つの方法があります。

・迅速検査の感度は66.0-78.9%、特異度96.4-100%であり、特異度は良好ですが感度は悪いです。よって、陽性の場合は診断可能ですが、検査陰性だからといってノロウイルス感染を否定することはできません。

頻度

・1年中みられるが、特に11-4月に多い。10月下旬〜11月上旬から流行し始め、12月に流行のピークを迎えます。流行は冬の間は続き、初夏までに一旦集束します。

・本邦では胃腸炎の原因として最多。

疾患

・糞口感染により、ヒト-ヒト感染を起こします。

・潜伏期間は24-48時間(通常1-2日)、最大で72時間ほど。よって感染者との最終接触から3日間が経過した場合は発症リスクは低い。

・ノロウイルスは10-100個程度の少ないウイルス量でも感染する非常に感染性の高いウイルスで、感染力を示す基本再生産数は14.05と言われています。

症状・経過

・突然の嘔吐で発症し、その後水様性下痢、腹痛、発熱を認めるのが典型的。

・約90%に嘔吐、60%に発熱がみられ、約3日続く。

・下痢は5-7日続く。

・ウイルス排出は発症後4週続く。

合併症

・Benign infantile convulsions with (mild) gastroenteritis(BICG)と呼ばれる予後良好な痙攣の報告がある。本邦では胃腸炎関連痙攣として知られています。

・ロタウイルスでは発熱を伴う方が痙攣が起きやすいですが、ノロウイルスは熱がない場合の方が痙攣が起きやすいと報告されています。

・また、免疫不全患者では観戦後、慢性下痢症に移行するリスクも知られています。下痢の期間は4週間から長いと数年継続し、体重減少や成長障害を引き起こします。

治療

・基本的に特効薬など特別な治療は必要なく、補液などの対症療法が中心になります。

・予防に重症なのは手指衛生です。ノロウイルスはアルコールが無効なので、石鹸と流水で手指衛生を行います。

・また、周囲への流行、特に家族内感染を防ぐことが重要です。

消毒方法

・ノロウイルスを完全に失活化する方法としては、次亜塩素酸ナトリウムまたは、加熱処理が挙げられます。衣服やタオルなどの布、食器類などそれぞれ適した消毒方法があります。

次亜塩素酸ナトリウム

・衣服やタオルなど、次亜塩素酸ナトリウムに浸漬させておきます。

・その後は水道水で、次亜塩素酸が残らないようにしっかりと洗い流します。

熱湯処理

・通常より高い温度、85℃以上の熱湯が必要です。

・また、消毒時間は1分以上の加熱が有効と言われています。

・食器やコップなどは、熱湯処理で対応しましょう。

登校・登園の許可

・下痢、嘔吐症状が軽減し、全身状態が良ければ登校・登園できる。

注意点・今後の展望

・氷点下~60℃までの温度、およびアルコール消毒に耐性がある。

・現在、ノロウイルスに対するワクチンも開発中。Genotype G Ⅰ.1とGⅡ. 4cに対する不活化ワクチンですが、まだ効果の有効性はしっかりと立証されていません。しかし、ワクチン接種により重症患者数を減らす効果が期待されています。

参考文献

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