【小児科医blog:神経】小児の片頭痛について | ゆるっと小児科医ブログ
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【小児科医blog:神経】小児の片頭痛について

神経

Intro

・脳血管の拡張により三叉神経が刺激され、痛みが生じると言われている。

・頭痛が月に15日以上、3ヶ月を超えて起こり、少なくとも月に8日の頭痛は片頭痛の特徴を持つものは慢性片頭痛という。

診断基準

・前兆がある(14-30%)、前兆がない(70-86%)頭痛かどうかで診断基準が異なる

 ※国際頭痛分類第3版参照

前兆のない片頭痛

A.  B~Dを満たす発作が5回以上ある

B. 頭痛発作の持続時間は4~72時間

C. 頭痛は以下の4つの特徴を少なくとも2項目満たす

 1. 片側性

 2. 拍動性

 3. 中等度〜重度の頭痛

 4. 日常的な動作(歩行や階段昇降など)により頭痛が増悪する、あるいは日常的な動作を避ける

D. 頭痛発作中に少なくとも以下を1項目満たす

 1. 悪心または嘔吐

 2. 光過敏かつ音過敏

E. ほかに最適なICHD-3の診断がない

前兆のある片頭痛

A.  B~Cを満たす発作が2回以上ある

B. 以下の完全可逆性前兆症状が1つ以上ある

 1. 視覚症状(90%以上あり、閃輝暗点)

 2. 感覚症状(唇、顔、舌、指にしびれや疼痛、チクチク感、感覚鈍麻)

 3. 言語症状(言葉が出にくくなる失語)

 4. 運動症状(脱力)

 5. 脳幹症状(呂律が回らない構音障害、回転性めまい、耳鳴り、難聴、複視、運動失調、意識障害)

 6. 網膜症状(視野障害)

C. 以下の4つの特徴を少なくとも2項目満たす

 1. 少なくとも1つの前兆症状は5分以上かけて徐々に進展するか、または2つ以上の前兆が引き続き生じる

 2. それぞれの前兆症状は片惻性である

 3. 少なくとも一つの前兆は片側性である

 4. 前兆に伴って、あるいは前兆発現後60分以内に頭痛が発現する

D. ほかに最適なICHD-3の診断がない。また、一過性脳虚血発作が除外されている

頻度

・有病率は、中学生で4.8%、高校生で15%いるという報告もある

・青年期の0.8%は慢性片頭痛の訴えがあるとの報告例もあり

経過

・片頭痛の前兆症状として閃輝暗点は有名。

・ふとしたときに突然視野の中にギザギザ・キラキラとした光の波ができ、次第に広がって暗くなり見えなくなるという現象。

・閃輝暗点が消えたと思えば頭痛が発症してくる

治療

・片頭痛の治療は、急性期治療(発作時治療)と予防治療に分けられます。

急性期(発作時)治療

鎮痛薬

・頭痛時の頓服として鎮痛薬の使用から開始していくのが本邦では標準的。しかし、重症度に応じて次に述べる他治療を優先させるという治療法もある。

・今回は代表的な鎮静薬を記載する。

アセトアミノフェン 

 用量:10-15mg/kg/回、4-6時間ごと

 ※最大60mg/kg/日(1500mg)

イブプロフェン 

 用量:5-10mg/kg/回、4−8時間ごと

 ※最大600mg/日

 ・添付文章上の適応年齢は5歳以上

保険適用外

スマトリプタン(イミグラン)

・上記の鎮静薬は頭痛に限らず疼痛全般に効果を持つが、トリプタン製剤は片頭痛に特化した薬剤である。

・基本的に、トリプタン製剤は成人のみの適応。

 点鼻:スマトリプタン点鼻(イミグラン)

  用量:20mg (効果不十分なら2時間以上あけて追加投与可能)

  ※最大40mg/日

 内服:リザトリプタン(マクサルト)

  用量:40kg未満 5mg、40kg以上 10mg

・副作用として多いのは、頭痛や倦怠感。胸や喉のつかえ感・圧迫感という独特な症状(トリプタン感覚)が引き起こされることもある。

・脳血管疾患(もやもや病など)には禁忌であり、投与前の画像検査が必要。

薬物乱用頭痛

・鎮痛薬を使う際は、薬物乱用頭痛に要注意。

・鎮痛薬を月に10日以上使い続けるとなりやすい。一定の痛みを超える頭痛には早めに鎮痛薬を使っても良いが、軽い頭痛には鎮痛薬を可能な範囲で避ける指導が必要。

予防薬

・急性期治療の使用頻度が多い(薬剤乱用頭痛の目安となる、月10日以上の使用は頻度が多いとされるでしょう)場合は、予防薬の使用も検討する。

・十分な小児へのエビデンスはないものの、以下の薬剤の有用性がある

アミトリプチン(トリプタノール)

 初期量:0.25 mg/kg/日、分1眠前 ※最大10mg

 増量:〜1mg/kg/日 の範囲内で増量し維持量とする(外来で最初は1-2週おきに調整)

 ※最大60mg、1.5mg/kgだが、少ない量で維持できるなら、その方が良い。

 副作用:口渇、便秘、尿閉、めまい

シプロヘプタジン(ペリアクチン)

 初期量:0.1mg/kg/日、分1眠前 ※最大4mg

 増量:〜0.2mg/kg/日、分2 ※最大8mg

・長年使用されている薬剤だが、眠気やふらつきの副作用頻度が多いことに注意。特に学童では勉強やスポーツなどの支障をきたすこともあるので使いにくい薬剤。

塩酸ロメリジン(ミグシス)

 初期量:10mg/日(思春期以降)、分2

 増量:20mg/日、分2

・他の片頭痛予防薬と比べると、副作用が少ないのは使いやすいポイント。しかし、起立性調節障害を合併している場合は、症状を増悪させることがあるので注意。

プロプラノロール(インデラル)

 初期量:0.5〜1mg/kg(20-30mg)、分3

 維持量:1〜2mg/kg(30〜60mg)、分3

・βブロッカー。頻脈性不整脈にも使用する

・気管支喘息には禁忌。

・副作用は低血圧、めまい、徐脈。

ビタミンB2(リボフラビン)

初期量:10-40mg、分2〜3

・適応はビタミンB2欠乏症であり、片頭痛には適応なし。

・重篤な副作用がない点は使用しやすい。

バルプロ酸(デパケン)

初期量:10mg/kg/日、分2-3 から開始。

維持量:血中濃度20‐50μg/mL (最大500mg/日)

・抗てんかん薬であるが、片頭痛にも有用。

・副作用として、肝機能障害や血球減少、重症薬疹など多様であり要注意。

・血中濃度のチェックが必須なので、他の薬剤よりも使用しにくい。てんかん合併患者には有用である。

・思春期以降の女性にも、催奇形性があるのでNG

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