総論
・自己免疫性脳炎は、自己の脳組織に対して免疫による炎症が起こっている病態です。現在、8種類以上の自己抗体介在性の脳炎/脳症が知られています(NMDAR抗体、MOG抗体、LGI1抗体、Caspr2抗体、GABAbR抗体、AMPAR抗体、GAD抗体、GlyR抗体、NAE抗体)
・抗NMDA受容体脳炎は、自己免疫性脳炎の一種で、小児から成人まで幅広い年齢層で発症しますが、小児では成人と異なる臨床像を示すことが多いです。
・特に小児では、精神症状よりも言語障害やけいれん、不随意運動が目立つ傾向があります。
病態
・小児では、感染症が抗NMDA受容体脳炎の発症トリガーとなることが多いです。感染症が自己免疫反応を誘発するメカニズムが注目されています。
・NMDAR(N-methyl-D-aspartate receptor)脳炎は、NMDA型GluRに対する抗体が病態に関与しています。抗体は、神経細胞表面のNMDA型GluRを架橋することにより、Internalization(細胞内取り込み)させます。そして、Internalizationは、NMDA型GluRの拮抗作用、つまり機能低下を引き起こし、辺縁系症状発現に関連します。
病歴・症状
先行症状期
・発熱、頭痛などがみられます。
・血液検査では、末梢血リンパ球の減少、血小板の減少がみられます。
・髄液検査で無菌性髄膜炎があると、脳炎症状がなくても本症への進展を警戒する必要性があります。
・先行症状期から辺縁系症状で発病するまでの日数は6.4±4.2日(平均±SD)です。
急性期
・辺縁系症状がみられます。精神症状(統合失調症状、幻覚・幻聴、不安、不眠、滅裂思考、精神運動興奮症状、せん妄)、記憶障害、見当識障害、感情障害など発症します。
・徐々に意識障害が進行し、けいれん発作、けいれん発作の重責・群発が出現します。その後、口の自動症(口がパクパクと動く)がみられる場合もあります。
・無熱のことも多いため、精神疾患と診断されてしまうことも稀ではありません。
検査
血液検査
・血小板低下、リンパ球低下
頭部MRI検査
・海馬にDWI・FLAIR高信号を来す症例もあるが, 14.3%と頻度は少ない。
・ADEM所見(境界不明瞭高信号が大脳白質に散在)がないことを確認するのも、鑑別として重要です。
髄液検査
・無菌性髄膜炎の所見(細胞数増加、蛋白軽度上昇、培養では菌検出せず)
・IgG、IgG-Indexも軽度上昇する。
・髄液中のNMDA型型GluRに対する抗体(ELISA)は、GluN2BのN末(GluN2B-NT2)に対する抗体、GluN1のN末(GluN1-NT)に対する抗体ともに高値をとり、経過とともに低下する。
脳波検査
・急性期は限局性徐波、その後extreme delta brush
治療
・一次性脳炎(ヘルペス脳炎など)が否定されるまでは、抗ウイルス療法を実施。
・上記否定できた場合、免疫修飾療法を行う。
ステロイドパルス(mPSLパルス:MP)
投与法:メチルプレドニゾロン 30mg/kg/day 3日連続
ステロイドにより凝固が亢進するので、パルス終了翌日までヘパリン化:抗凝固療法を行う(ヘパリン 100-150IU/kg/day 持続点滴静注)
免疫グロブリン療法(IVIG)
用量:400mg/kg/day, 5days.
血液浄化療法
・血漿交換など行います。
リツキシマブ(RTX)
上記①〜③の治療を実施、1−2週間で効果判定を行い、効果不十分であれば再度①〜③の
いずれかを実施。それでも改善ない場合、RTX投与を行う(保険非適応)
使用法:リツキサン注10mg/mL(100mg/10mL)
用量:成人には、1回量 375mg/㎡ ※CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫に準じて


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